2022年3月、日本発で世界中のファンを熱狂させるVTuber事務所「ホロライブプロダクション」初の全体イベント「hololive SUPER EXPO 2022」が、朝日新聞朝刊15段を活用したプロモーションを3回にわたって行いました。なかでもホロライブの全所属タレントが登場した47都道府県切り替え広告はSNSで大きな話題を呼び、当日の全都道府県の掲載紙セットが即日完売するなど、たいへんな盛り上がりを見せました。出稿の意図や経緯、そして反響について、ブシロードムーブ 営業部 プロデューサー兼チーフディレクターの宮元恵美氏にお話を聞きました。
新聞を活用したプロモーションでホロライブの認知を拡大
近年、VTuberを見かける機会が増えている。VTuberとは、バーチャルYouTuberの略で、主に2Dや3Dのアバターを使用して活動するYouTuberのこと。最近ではインターネット上だけでなく、テレビ番組やCM、イベントにも登場し、多方面で活躍している。そんな躍進するVTuberを支えているのが事務所の存在だ。なかでも多くの人気VTuberを抱えているのがホロライブプロダクションで、女性VTuberグループ「ホロライブ」と男性VTuberグループ「ホロスターズ」を展開し、着実に活動の場とファンを増やし続けている。
そんなホロライブプロダクションが、2022年3月19日(土)、20日(日)に幕張メッセで初となる全体イベント「hololive SUPER EXPO 2022」を開催した。イベントのプロモーションを担当したブシロードムーブ 営業部 プロデューサー兼チーフディレクターの宮元恵美氏は全体の企画を立てるにあたり次のように考えたという。
「プロモーション全体を通して話題を獲得したいというのはありましたが、既存のホロライブファンの方に喜んでいただきながらも、まだ知られていない層にもリーチして興味や認知を拡大し、全体の価値向上につなげるきっかけにしたいと考えていました」
宮元氏がプロモーションの一つに選んだのが新聞広告だ。3月1日(火)には朝日新聞朝刊でイベントに参加するホロライブプロダクションの所属タレントが全国47都道府県ごとに登場。イベント開催当日となる3月19日(土)にはキービジュアルを全面に展開、3月22日(火)には「つながるホロライブゲーム」と、3回にわたってそれぞれ15段で出稿した。
とくにTwitterをはじめとするSNSで話題が広がったのが、3月1日(火)の47都道府県切り替え広告だ。ホロライブプロダクションの全タレントを47都道府県別に掲載。各タレントを想起させるエッセンスを入れたり、背景のデザインにそれぞれの都道府県にまつわるモチーフを描いたりするなど、徹底的に“ご当地感”にこだわった。
「47都道府県別のビジュアルを作成することで、ファンの人たちに喜んでいただけると同時に、すべての人たちが“自分の地元”というバイアスを通してホロライブを知り、興味を持つきっかけになるのではと考えました。タレントの配置やご当地モチーフについては、カバー様としっかり協議しながら決めていったものです」
このスケールの大きなプロモーションは、ファンはもちろん、多くの人の心をつかんだ。SNSでは紙面を写真にとって投稿するアカウントが多数登場、なかには“なぜこのタレントがこの県なのか”と配置について考察する様子も見られた。
「3月1日には、#つながるホロライブというハッシュタグのツイート数が1日約4万というレベルに達し、SNSでの盛り上がりは想像以上に。新聞を通したSNSでの話題づくりの効果の大きさを実感しました」
また今回の盛り上がりを想定し、朝日新聞社は3月1日(火)付朝刊を、希望するエリアまたは全47都道府県のセットをインターネットで販売。ホロライブ公式サイトで告知したところ、全47都道府県セットは当日中に完売した。
「大成功御礼広告」でファンの熱量を持続
ファンの熱量が頂点に達するイベント開催初日の3月19日(土)には、「hololive SUPER EXPO 2022」のキービジュアルを一面にデザインした新聞広告を出稿。奇をてらうことなくストレートにキービジュアルを使用。圧倒的な数のタレントを有する規模感が際立つビジュアルだ。ホロライブの「成長」をアピールする効果もあった。
そして広告掲出3回目となる3月22日(火)には、日本全国から幕張へとつながった思いをイメージして作成したオリジナルのすごろく「つながるホロライブゲーム」を載せた大成功御礼広告を出稿した。
「イベントの終了後、盛り上がりがパタッと消えてしまうのは非常にもったいないこと。とくにファン心理としては高まった気持ちを共有しあいたいという思いがあるのではと考え、御礼広告を出稿しました。「つながるホロライブゲーム」は、プレイヤーが各自の出身地からスタートし、日本列島を巡りタレントのカードを獲得しながらゴールである幕張を目指すといった内容で、今回のプロモーションのために作成した完全オリジナルゲームです。老若男女誰でも楽しめるゲームとすることで、遊びながらホロライブに興味を持ってもらえればと考えました。すごろくは大きな一枚紙でなくては遊びづらいゲームですから、まさに新聞広告向きの企画だったと思っています。なおこのゲームは、別刷りして全国のアニメイトの店舗に来られたお客様に無料で配布する企画も実施しました」
3回にわたる新聞広告の出稿を含めたプロモーションについて「ファンはもちろん、VTuberならびにエンタメ業界全体で非常に反響が大きい企画でした」と振り返る。
「新聞広告は、“広告”と名前のつくものではありますが、今回のプロモーションにおいては、コンテンツの一部として考えています。今回非常に反響が大きかった事からも、新聞広告はファンを動かすコンテンツになり得るということを実感しました。ファンの手元に実際に届くという点も、新聞広告ならではの強みだったと思います。広告をコンテンツとして捉えると、紙面のアイデアもまた広がっていくもの。今後もそのコンテンツをどのように発信するとファンの方に喜んでいただけるのかを考えながら、エンタメ業界全体を盛り上げていきたいと思っています」
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