第57回 朝日広告賞(第1部 受賞者インタビュー)
受賞者インタビュー 電通・大山 徹氏/ビーコンコミュニケーションズ・後藤 純氏、石神敦子氏
子どもと大人への社会的メッセージ

大山徹氏
第1部最高賞は、電通のコピーライター大山徹氏と、ビーコンコミュニケーションズのシニアアートディレクター後藤純氏、ブランドチームコーディネーター石神敦子氏が受賞。大山氏と後藤氏は昨年度も組んで朝日広告賞に応募。今年度は、「3人のほうが客観的な目が働く」との思いから、後藤氏が後輩の石神氏にも声をかけた。
「新聞広告なので、時事ネタはどうかと考えながら課題表を見ていったところ、『小学一年生』に目がとまりました。ちょうど食品偽装問題が取りざたされている頃で、子どもが叱られるようなことを、大人たちがやっていると思ったんです。さらに考えを深め、絵として浮かんだのが、産地偽装したウナギの蒲焼きでした」と大山氏。
後藤氏、石神氏もアイデアに納得。子どもが怒られる状況を「ウソ」「食べ残し」「ケンカ」に絞り、「牛肉の産地偽装表示」「大量のゴミ廃棄」「戦争」に結びつけて表現した。アイデアの発端であるウナギの食品偽装を牛肉に変えた理由を大山氏は、「ウナギの他に、鶏肉、タケノコなども候補にあったのですが、広告賞はわかりやすさが大事だと思い、ブランドによる格差が著しい牛肉にしました」と話す。
最後まで悩んだ3点を貫くコピー

石神敦子氏
審査会では、写真のリアルさに注目する審査委員もいたが、プロカメラマンの撮影ではないとか。「ゴミの写真は、都内のゴミの多い場所を探し歩き、某ファストフード店前の実際の光景を撮影しました」(大山氏)。写真の加工を担当した後藤氏は、「プロの撮影でなかったのが、かえって奏功したのでは。唯一、戦争の写真は借り写真ですが、一見して戦争を想起させるわかりやすいものを選びました」と話す。
制作期間は1カ月弱。最後まで悩んだのが、「大事なことは、最初に学ぶ。」というコピーだったそうで、「写真と、叱っているセリフと、『小学一年生』を結ぶ言葉が欲しかった。決めたのは提出前日でした」と大山氏。「僕たちも、このコピーで腑に落ちてもらえないとダメだと思っていました。淡々とした言葉にしたことで、表現がより際立ったのでは」とは後藤氏。

後藤純氏
受賞の知らせを最初に聞いたのは大山氏。「難しい仕事の打ち合わせの最中に電話があって、涙が出そうになりました。現業で弱気な自分を励ましてくれた」と喜びをかみしめる。石神氏は、「クリエーティブの分野に進んでいけたらと思っているので、今後の糧にしたい」。後藤氏は、「一見地味な作品なので、受賞は驚き。お金もタレントも使わずアイデアで勝負するというのが面白いし勉強になる。今後も応募を続けていきたい」。
新聞広告については、「コピーまでじっくり読んでくれるのでやり甲斐がある」(後藤氏)。「過去の朝日広告賞受賞作はすごいけれど、実際の新聞広告はそこまでいっていない気がする。まだできることがあるのでは」(大山氏)と、頼もしい意見を寄せてくれた。今後の活躍に期待したい。















