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キャンペーンリポート

企業理念を現場の実像から伝えるシリーズ広告トヨタ自動車

2008/05/01

『広告月報』2008年05月号

お客様第一主義の原点を現場の肉声から伝える

 国内外で好調な販売を展開するグローバル企業として、マクロな側面から語られることが多くなったトヨタ自動車。創立70周年という節目に、同社はその企業活動の原点を、ミクロな視点から再確認するシリーズ広告を登場させた。「お客様さまにとって、かけがえのない一台」をキーメッセージに6回にわたって展開した、企業広告シリーズである。

お客様との距離を改めて近づける

水谷雅史氏今、「世界のトヨタ」に外部の目から死角は見えない。ところが、宣伝部ブランド推進室オールトヨタグループ長の水谷雅史氏は、「現状へのある種の危機感が、今回のシリーズ広告の背景にはあります」と語る。そこには、「世界生産販売台数でトップが見えた」、「営業利益2兆円企業」といった報道が過熱する中で、一人ひとりの消費者がどのようにトヨタを見ているのかという、現場レベルの現状認識があるようだ。

 「会社が大きくなっていることが、お客様の視点から見て、トヨタとの距離感がだんだんと開いてきているのではないか。2007年にトヨタが創立70周年を迎えたこの機会に、そのことを見つめ直し、トヨタとお客様との接点となる販売店を舞台にコミュニケーションすることが重要だと思いました」(水谷氏)

 本シリーズには毎回、トヨタの販売店で働くスタッフが登場している。現在4つのチャンネルをもつトヨタの販売店は、それぞれに代理店契約を結ぶ別法人だ。

 仮にユーザーがトヨタに対して厳しい意見をもつことがあれば、それを最初に受け止めるのは、販売店のスタッフたちのはずだ。店頭を舞台にコミュニケーションをしていくことが、「お客様の理解を深めると同時に、日々頑張っている販売店の方への元気づけになると思いました」と、水谷氏は語る。

一枚絵の強さと現場のリアリティー

浅井ちほ氏毎回の登場者は、すべて実在するスタッフである。広告制作を担当し、彼らの声を生で聞いた宣伝部ブランド推進室の浅井ちほ氏は、「特別な経験や技術をお持ちのスタッフに限って、取材をお願いしたわけではありません」と語る。トヨタ販売店で働く、すべてのスタッフの思いを共有する、その代表として一人ひとりの姿が描かれ、彼らの言葉がトヨタのメッセージとなった。

 「原稿に反映したエピソードは、実際に話していただいたもの中から選んで構成しています。若手の方も多かったのですが、本当に根底の部分で、お客様のためになりたいという気持ちがあることを私自身も改めて実感しました」(浅井氏)

 ビジュアルについては、複数の写真を使うパターンも検討されたが、「一枚絵の強さを、新聞という大きなスペースで生かすことにした」と浅井氏。笑顔で接客にあたり、納車前に心をこめて洗車をする営業スタッフ。お客様の愛車を真剣なまなざしで点検するサービスエンジニア。彼らにとっては日常的な一瞬が、トヨタという企業の肖像画だ。写真から伝わってくる生真面目なリアリティーが、ぬくもりのある味わいと、誠実感を与えている。

 「今回のシリーズは、新聞媒体のみで展開しました。コピーをじっくりと読んでいただきたかったことと、メディアとして信頼性が高いからです。掲載以来、販売店の方からも好評で、『紙面をポスターにして店頭に張りたい』というご要望もいただいています」(浅井氏)

時代に流されず真面目にこだわる

 企業姿勢を伝える手法や、様々な形のCSR広告が増えている今の時代。ここまでストレートにまじめさを伝えることが、社会にどこまで受け入れられるか、社内に議論がなかったわけではない。

 「それでも、やはり原点に立ち返ろうという決断を後押ししたのは、『ブレない姿勢にこだわりたい』という豊田章男副社長の言葉でした。モノクロの写真を使った控えめな表現も、メッセージに説得力をもたせることができた要因だと思います」

 読者からの反響も、好意的な声が圧倒的だという。「新聞のモノクロ広告の面白さと難しさを、改めて実感した企画になりました。今後は地域のお客様により密着した形で、コミュニケーションの内容を深めていきたい」と、両氏は語った。

2007年 11/3 朝刊 2007年 11/24 朝刊 2007年 12/22 朝刊

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