関西経済は、少子高齢化や、東京一極集中による企業流出もあり、「元気がない」と言われるようになって久しい。一方で、「水都・大阪」をはじめとする都市開発が進み、期待も高まる。大阪商工会議所副会頭などを務め、地域経済の活性化などに積極的な提言を続ける京阪電気鉄道の佐藤茂雄・代表取締役CEOに、自社の経営戦略なども交えて、お考えをうかがった。
── 関西での人口減少や生活スタイルの変化が、鉄道にどのような影響を与えていますか。
関西が元気かどうかは鉄道の旅客数でみると一番よく分かります。関東は右肩上がりになっていますが、関西は91年度に乗降客数がピークを迎えたあと減少が続き、ここ数年でようやく横ばいになりつつあります。この観点で言えば、関西はまだまだということでしょうか。
ガソリン価格の高騰でマイカーから鉄道へのシフトが進んでいるという見方もありますが、阪神高速道路の利用台数の減少は、そのまま鉄道に流れているかというと、必ずしもそういうわけではありません。生活スタイルも多様化し、もはや単純に鉄道のライバルは車という時代ではないようです。
若者の車離れの話を聞くと、少々とまどいを感じます。今の若者は活動領域が狭まっているのかもしれません。将来を担う若者には、福沢諭吉が『学問のすゝめ』で示すように、もっと、ものに接して人に交わってほしいと願います。
── 大阪では、今年10月に市中心部のビジネス街を東西に結ぶ、京阪中之島線が開業します。
1965年4月京阪電気鉄道入社
1995年6月同社取締役
1999年6月同社常務取締役
2001年6月同社取締役社長
2007年6月同社代表取締役 CEO 取締役会議長(現在)
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2004年5月(社)関西経済同友会 理事・常任幹事(現在)
2005年11月大阪商工会議所 副会頭(現在)
2007年5月(社)日本民営鉄道協会 会長(現在)
中之島線が開業すれば、6月にサミット財務相会合が開かれた大阪国際会議場などと、国際観光都市の京都が一本の路線で結ばれます。関西の鉄道網が「ハイモビリティー(移動性の高い)・ネットワーク」としての魅力を高めることにもつながります。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)近くに大型ホテルを今年出店しましたが、中之島線を含むこうした経営インフラを最大限生かし、関西の魅力を全国にもっと発信していきたいです。
── 大阪を「水都」として、アピールする重要性も訴えておられますね。
江戸時代の浮世絵版画「浪花百景」の約6割の景色に水が描かれているほど、大阪は昔から水に親しんでいる街です。このように都心部に河川が流れ、緑も多いという都市は少なく、貴重な存在であることに気づいて欲しいですね。海外ではシンガポールリバーのように、川を街の活性化にうまくつなげた例もあります。当社のグループ会社が大阪市内の河川を走る水上バスを運行していますが、船上から見る夜景などは本当に見応えがあります。今後はさらに、御堂筋へ水を引き込んでつくる「せせらぎの道」や、リバーカフェをはじめ、たくさんのアイデアを具体化させ、大阪の魅力を高めていくべきだと考えます。
──自社の経営面では、「運輸業依存型の転換」を訴えておられますが。
運賃改定をしたのは95年が最後ですが、それまでの鉄道会社は運賃に頼る経営をしてきました。ただ、今後は運賃値上げが期待できません。鉄道業界も「あれもやり、これもやる」から「選択と集中」の時代に入っています。当社も今後は、不動産賃貸、流通、ホテルの3事業に経営資源を集中させる方針です。特にホテル事業では、「ホテル京阪」を全国主要都市へチェーン展開していこうと考えています。すでに首都圏でも展開している「ジューサーバー」(駅構内のジューススタンド)もそうですが、沿線にとらわれることなく、収益源をさまざまなところに求めるどん欲さが鉄道会社にも求められていると思います。
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中学時代はバスケットボール部で主将、京都大学時代はボート部で琵琶湖に通った。両足首に0.5~1kgの重りを付け、日々仕事をこなすスポーツマンだが、俳句を趣味とする文化人の一面も持つ。67歳。
撮影/長尾純之助
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