世界のあらゆる国と同様に、中国においても消費の主体は、やはり女性であると言われている。
中国女性の消費というと、独身女性と思われがちだが、既婚女性においても同様のことが言える。つまり、家庭の中でも、女性は自分自身のファッション消費だけではなく、夫や子供の日常消費も妻が主導権を握っているからである。特に、中国では、40%以上の家庭では女性が財布のひもを握っている。男性主導の家庭はたった20%しかない。(*1)
1年に一度、年末に開催される「年度新漢語コンテスト」で、2008年に、ある新しい消費者群の呼び名である「試客」という言葉が人々の注目を集めた。「試客」というのはサンプル商品をもらい、新商品などの試用に熱心な人々のことを表現している。中国では数年前から、サンプル、クーポン券などが利用されており、店頭や街中でサンプルなどを配って、消費者の興味を引き出し、さらに商品購入まで誘導するという方法が浸透している。さらに、2年前から専門の「サンプルサイト」が相次いでオープンし、サンプルの配布チャネルも多様化してきた。
中国最初のサンプルサイト「試用網」のコンセプトは“I try before I buy”。シンプルであるが、確実に消費者に新しい購入決定プロセスを提示した。設立後1年で、すでに会員数は300万人を超え、その多くは25~30歳、月収3,000元(*2)以上の高学歴層だそうだ。そのうち80%は、ほぼ毎月各種のイベントに参加する熱心な会員である。
現在、中国の「試客層」は約400~500万人にまで増え、そのうち20~40代のホワイトカラー女性が最も多いと言われている。先日、中国青年報社会調査センターが北京益派コンサルティングとともに3,314人に実施したアンケート結果を見ると、83.3%の人が「試客」になりたいと答えた。また、76.6%の人は「80後」と呼ばれる80年代以後に生まれた人たちである。「どんな商品のサンプルがほしいか」との質問に対しては、79.1%の人が「電子製品」と答え、「日常用品」(63.9%)、「旅行体験商品」(54.6%)、「服・アクセサリー」(53.8%)、「美容サービス・化粧品」(41.1%)、「食品」(37.4%)が続いた。また、消費者の74.5%は「試客」が新しく、かつ理性的な消費概念をリードしていると思うと考え、「試客」という消費形式により衝動買いを回避できると思うと答えた消費者は、6割近く(58.1%)に及んだ。(*3)
さらに、もっと「理性消費(*4)」を徹底している女性消費者は、「不三女」と呼ばれている。「衝動買いをしない」「流行に流されない」「人と比較しない」というのが3つの原則だ。
「不三女」の登場によって、「理性消費」という概念は、ますます中国消費者の中で浸透してきている。急速な経済成長は確実に消費者の財布を膨らませたが、一方で、より合理的な消費を求めようとする人々も増え続けている。それは日常の消費活動だけではなく、中国人にとって最もお金をかけると言われる結婚披露宴でも同様で、最近では従来のコース料理よりビュッフェの人気が高まりつつある。経済の成熟とともに、中国の消費者は、自分に必要な商品やサービスを理性的に選択する選別眼と、消費マインドが浸透し続けているようだ。
(アウングローバルマーケティング株式会社 セールスグループ)
- *1 王光亜 現代女性消費心理マーケティング戦略, 2007
- *2 1元=約13.2円(2009年9月29日現在)
- *3 中国青年報 http://zqb.cyol.com/content/2009-06/16/content_2712476.htm
- *4 理性消費:必要かどうかを考え、計画的に購入すること。
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