朝日新聞社広告局 The Asahi Shimbum Advertising Division
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「容疑者への差し入れ 代行します」

2009/07/14

 「便利業」といわれる業者がいます。便利屋さんなどと呼ばれています。「忙しいあなたに代わって犬の散歩をさせます」「部屋の掃除をします」「庭の草むしりをします」「病院に付き添います」など様々な需要にこたえています。
 過日、ある地方新聞に、風変わりな広告の申し込み打診がありました。「拘置所に収容されている未決拘禁者へ差し入れ品の届けを代行します」というものです。
 拘置所は主として、まだ起訴されていない人(容疑者)を収容する所です。拘置所の収容者には、親族に限らず、原則だれでも衣類や本などを差し入れることができます。これに対して刑務所は、刑が決まった受刑者を拘禁しており、差し入れ人は限られます。

 広告申し込みの打診をした業者は、遠い所に住んでいるなど、事情があって差し入れに行けない関係者に需要があると見込んだようです。
 審査担当者は、違法ではないけれども、差し入れを代行して報酬を得ることが社会的に認知されているとはいえないとして、慎重に対応することにしました。代行の仕事を引き受けると、必然的に収容者の氏名や家族などの個人情報を知ることになります。したがって、代行業者が個人情報をもとに関係者を恐喝するなど、反社会的な行為に及ぶ可能性を否定できないと考え、申し込みを受けるべきではないと判断しました。もし収容者の家族が「だんなが悪いことをしたのを世間に知られたくなかったら金よこせ」などと脅されたら大変です。(この業者がそんな人だという意味では決してありません)。

 審査担当者はまた、念のため拘置所に、「差し入れの代行は認められるのか、広告の掲載をどう考えるのか」確認することにしました。拘置所の見解は、「代行は不可ではないが、新聞で広告することは勧められない」だったそうです。
 こうしたことを踏まえ、「同様な広告が申し込まれた場合、業者によっては個人情報の取り扱いが適切に行われない可能性がある」ことを理由に広告掲載をお断りしたそうです。
 掲載を断ったのは賢明な判断だったと思います。もし朝日に打診があったら、この地方新聞と同じ理由でお断りします。それにしても、世の中にはいろいろな商売を考える人がいるものです。こうした「変化球」も審査はきちんと受け止めなくてはなりません。

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