審査では広告への読者苦情にも対応しています。苦情を見ていると、世相が敏感に反映されていることが分かります。ナイフなど刃物による殺傷事件が相次いだときは、「刃物」広告に対して頻繁(ひんぱん)に苦情が寄せられました。次のような内容です。
「こんなときに刀の広告を載せるのはいかがなものか。芸術的価値があるのは分かるが、誰にでも簡単に手に入ってしまうのは怖い」「先日も街中で高校生が包丁を振り回して人を傷つけた事件があったばかりだ。こんな時期に刀の広告を出せば、またこうした事件を誘発するかもしれない」「朝日の自覚を疑う。子どもを持つ親として、朝日が載せるべき広告ではないと抗議する」「犯罪の多いこのご時世に、刃物の広告は事件の増加を助長させるようなものだ」
2004年に長崎の小学校で6年生の女子児童が同級生にカッターナイフで切られて亡くなった事件がありました。事件直後、男性がナイフ片手に魚を狙っているイラスト付きの広告に対し、「生き物に刃物を向けるような広告をなぜ載せるのか。事件のことを考えないのか」という抗議がありました。
練炭を使った集団自殺が続いたときには「生きる絶望と死ぬ希望」というコピーがある書籍広告に、「若者の集団自殺の風潮をあおることにならないか」と心配する声が寄せられています。
バラバラ事件が連続して起きた際は、「こんな時期に人体解剖マニュアルのDVD広告は控えてほしい」という声が数件ありました。
「全国の○△姓を皆殺しにせよ」という書籍広告のコピーに対して、小学生の子どもをもつ○△姓の母親が不安を訴えてきました。「この広告を見た学校の子どもたちが、うちの子をいじめの対象にするかもしれない」という内容です。学校でのいじめ問題が盛んに報じられていたときです。
ちなみに「○△」はよくある姓です。過剰反応とも思われる苦情もありますが、こうした読者の気持ちに配慮するのも審査では重要なことです。例えば、刃物による大きな事件の後には、刃物類の通販広告の掲載を一時見合わせていただくなど、タイミングに配慮することがあります。












