時計見本市「ジュネーブサロン」に見た、世界経済の縮図

 スイス・ジュネーブに出張した。目的は、毎年この地で行われるSIHH(高級時計国際サロン)、通称「ジュネーブサロン」(1月17日~21日)と呼ばれる時計の見本市を視察するためだ。

各社のブースでは新作時計の趣向に合わせた凝った会場造りが目立った 各社のブースでは新作時計の趣向に合わせた凝った会場造りが目立った

 今回、訪れるのは2回目だが、毎回出展される各ブランドの新作には目を見張るものがある。全世界からバイヤーが訪れ、この見本市で今年の目標の大半を売りさばくブランドもあるというくらいだから、各社の熱を帯びた交渉がそこかしこで行われている。

 おもしろいのは、時計という高級消費財を通して世界経済の縮図が垣間見られることだ。数年前までは中東系のバイヤーが多く見られたようだが、昨年、今年と圧倒的に中国人バイヤーやメディア関係者が会場をにぎわしていた。他の欧米メディアも同じ考えだったのか、私たち一行を中国人バイヤーだと勘違いし、フランスの新聞メディアに逆取材をされそうになった一幕も。中国人が好むとされるゴールドや紫などをストラップや文字盤に配した時計が登場するなど、ここ最近は各ブランドも中国市場を意識した時計作りに腐心しているようだ。各社の戦略がうかがわれ、非常に興味深い体験となった。さて、肝心の日本市場だが、リーマンショック以来の落ち込みにようやく歯止めがかかり、高級時計が売れ始めているとか。

 自分自身とは程遠い世界だが、まだまだ日本も捨てたものではないな、と妙に感心してしまった1週間だった。

(東京本社広告第2部 先崎博文)

ジュネーブサロン 入り口の様子
ジュネーブサロン 入場口からみた出展社ののぼりと
遠くに見えるアルプス山脈