Data&Analysis

企業コミュニケーションにおける 新聞広告のリクルーティング効果

─ J-READとJ-MONITORのデータから ─
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売り手市場が続く昨今の就職活動において、母親の意見が大きく影響していると言います。より優秀な人材を確保するために、企業はどのようなコミュニケーションを行えば良いのでしょうか。企業コミュニケーションにおける新聞広告の役割について、リクルーティングの側面から探りました。

企業情報への意識が高い子供を持つ親

 厚生労働省と文部科学省が、2017年3月に大学を卒業する者を対象に行った共同調査によれば、就職内定率は97.6%、調査を開始した1997年以降最も高い割合となった。これほどの売り手市場の中で、より優秀な人材を確保しようとリクルーティングに一層注力する企業は少なくない。

 就職情報会社マイナビによると、親向けに就職ガイダンスを開く大学は6割以上、就職活動について最も多く話す相手は母親が約7割という調査結果があり、昨今の就職活動は本人の意思だけでなく親の意思が大きく影響しているようだ。

 そこで今回は、子供を持つ親の企業情報、企業広告に対する意識について、J-READとJ-MONITORのデータを使って見てみたい。

新聞購読者の親の企業広告への意識

 まずJ-READで「企業情報」に対する意識をみると(図1)、子供を持つ親の6割弱が「企業の動向に関心がある」「興味のある企業の広告はきちんと見るようにしている」と答えている。さらに新聞を購読している親と購読していない親とでは、新聞購読者の親の方が「企業情報」に対する意識が高いことが分かる。

第16回全国新聞総合調査(J-READ2016)

 では、新聞購読者の親は企業広告に対してどれほど意識しているのか。朝日新聞購読者とそれ以外の新聞購読者に分けて集計した(図2)。最も多かったのが「企業情報を新聞から入手している」で、続く「新聞広告で企業・商品・サービスに改めて注目することがある」も6割前後と高くなっている。「新聞広告は企業の考えや訴えたいことがわかる」「新聞広告は企業に対する信頼感がわく」は他新聞購読者は5割弱だが、朝日新聞購読者の親で見てみると5割を超えている。それ以外にも朝日新聞購読者の親は他の新聞購読者の親よりも企業広告への意識が高く、企業広告から企業へのシンパシーをより感じていることがうかがえる。

第16回全国新聞総合調査(J-READ2016)

企業の印象が変化する企業広告の内容

 次に、新聞広告共通調査プラットフォーム「J-MONITOR」のカスタム調査で朝日新聞購読者に企業広告に関する質問をしてみた。「これまで新聞に載っている企業広告を見て、企業の印象が変わったことがあるか」をたずねたところ、図3の通り全体で6割以上の人が「ある・計」と答えた。その中で子供がいる男性(父親)、子供がいる女性(母親)だけを抽出してみると、父親、母親ともに全体値より高くなり、母親は父親より高い結果となった。

(J-MONITOR)

 さらに、「企業の印象が変わったことがある」と答えた人に、「どのような企業広告の内容によって印象が変わったか」をたずねたところ、「その企業の商品やサービスが社会にどのような役割を果たしているか」「その企業のものづくりや事業に対する企業姿勢」が上位となった(図4)。特に母親は「その企業の商品やサービスが社会にどのような役割を果たしているか」が高く、「その企業の社会貢献への取り組み」や「その企業の環境への取り組み」も父親よりも高い結果となった。また「その企業で働く人々を大切にする企業姿勢」も父親より高い割合となり、母親にとって、企業がどのように社会に役立っているのか、そしてそこで働く人々を大切にする企業かどうかが、企業の印象が変わる大きな要因となっていることが分かった。

(J-MONITOR)

 現代のリクルーティングを目的とした企業コミュニケーションでは、企業情報に敏感な親に対して、いかに企業の印象を変化させる情報発信を行えるかが重要となる。新聞広告はまさにそのようなターゲットに、企業の真摯(しんし)なメッセージを送る手段として、数少ない有効な媒体ではないだろうか。

(朝日新聞大阪本社メディアビジネス局 マーケティング・ディレクター 折井華子)


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調査概要

■第16回全国新聞総合調査(J-READ2016)
調査地域: 全国47都道府県
調査対象: 満15~69歳の個人
抽出方法: RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)で、調査対象者を抽出。
調査方法: 調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効回収数: 28,805
規正標本サイズ: 88,168(推計人口に対応。単位:千人)
調査時期:2016年10月16日(日)~ 10月22日(土)
調査主体: :ビデオリサーチ
※ J-READ2016の標本サイズ(n数)はすべて規正標本サイズです

■J-MONITOR
調査地域: 首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)
調査対象: 調査対象地域に居住し、朝日新聞を朝夕刊セットで定期購読する15~69歳の男女個人
抽出方法: 新聞広告及びインターネット調査モニターパネルからの公募
応募者をJ-READの当該地域・対象者の性×年齢・職業・家族人数等の属性に従い割付
調査方法: パソコンを利用したウェブ調査
標本サイズ: 首都圏236 近畿圏228
調査実施日: 2017年4月18日(火)
実査機関・レターヘッド: :ビデオリサーチ
※J-MONITORの詳細はJ-MONITORオフィシャルサイトに掲載されています。


◆PDFでもご覧いただけます
icon_pdf冊子『広告朝日』16号掲載 Data&Analysis(673KB)

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