水まわりのトップメーカーとして、環境活動を先導する決意と責任

 2010年4月、TOTOは創立100周年を迎える2017年に向けた環境ビジョン「TOTO GREEN CHALLENGE」をスタート。以前から推進してきた環境活動を加速させ、商品・サービス、ものづくり、社会貢献・ひとづくりの3つの視点から環境負荷の軽減に取り組む。5月15日の朝日新聞朝刊には、そのスタートを社会に向けて宣言した全15段広告を掲載。環境経営企画室 清水康利室長に話を聞いた。

 

製品の環境性能が環境負荷に直結する水まわり

TOTO 清水康利氏 TOTO 清水康利氏

――「TOTO GREEN CHALLENGE」がスタートした経緯は。

 現在、日本全体のCO2排出量は年間約13億トンといわれています。政府が「温室効果ガスを2020年までに25%削減する(1990年比)」という大きな目標を掲げた中、それを実現するためには企業も家庭もすべての分野で環境負荷の削減を考えなくてはいけません。
その中でTOTOが何をすべきか、何ができるかを考えた時、全社をあげて取り組んできた環境活動の取り組みを加速させ、それを広く世の中に知ってもらい、ご理解いただくことが、今後のさらなる推進力になると考えました。

 TOTOはこれまでも製品の環境負荷の削減活動を継続的に続けてきました。例えば国内のトイレの洗浄水量は、古くは20リットル、現在リフォームの時期が到来しているような便器は13リットルが主流ですが、現在は技術の進化によって4.8リットルで流すトイレが登場しています。また、お風呂の場合はリラクゼーション空間ですから、浴槽の放熱性の低減や、少ない湯量でも満足感が得られるシャワーの開発など、快適性と環境性能を両立させた進化を重ねています。

 同時に、広報活動にも力を入れてきました。住宅設備は一度購入されれば長く使うものです。20年に1回程度でしか訪れない適正な買い換えのタイミングに、より環境にやさしい製品を買っていただかなければ、長期間にわたって環境負荷が高止まりしてしまうからです。「TOTO GREEN CHALLENGE」のメッセージには、個々の水まわり製品で行ってきた環境負荷の取り組みをTOTO全体の姿勢としてお客様に伝え、水まわりのトップメーカーであるTOTOが、業界の環境活動のリーダーシップをとっていくという決意と責任を込めています。

――チャレンジの柱のひとつとして、「水まわりからのCO2削減」を強調しています。

 日本のCO2排出量の約21%は家庭(自動車等含む)からであり、新聞広告で取り上げたように、さらにその中の約23%が「水まわり機器」です。つまり、日本のCO2排出量の約5%は家庭の水まわりから。これは非常にインパクトの大きな数字です。さらに水まわりはトイレに代表されるように生活の基本行為にかかわるものですから、エアコンのように温度を調整したり、自動車のように乗る回数を控えて公共交通機関を利用したりするといった、ユーザーの意識変革による負荷削減ができにくい面があります。毎日使う設備を提供する企業の使命として、節水技術の進化などによって、「水まわり」からできる環境対策を進めていきます。

――新聞広告では、「家電、自動車。つぎは、水まわり。」というキャッチフレーズを使っています。

 温暖化の主な原因はCO2ですが、家庭からのCO2の排出量は、いまも大幅に増え続けています。実は、トイレやお風呂、キッチンなどの水まわりも、自家用車や家電並みにCO2を排出してしまっているのです。昨今「環境」というと、自動車や家電に注目が集まりがちですが、水まわりからCO2が排出されるという事実は、まだあまり世の中に知られていないのではないでしょうか。今回のキャッチフレーズは、そのことに気づいていただくことを目的としました。また、エコカーやエコ家電の時代において、次に取り組むべきは「水まわりからのCO2削減」であり、TOTOは節水技術などの進化で貢献していくのだ、という強い思いを伝えました。

 

無関心層を含む社会全体に「気づき」を与える新聞広告

2010年5月15日付 朝刊 2010年5月15日付 朝刊

――トイレをクルマに見立てたビジュアルは、「トイレがCO2を排出する」という意外な事実を読者に分かりやすく伝えています。

 新聞はさまざまな情報が掲載されているメディアです。ぱっと読者の目に飛び込んで興味をひき、文章も読みたくなるような、分かりやすくインパクトの強いビジュアルを用いました。現在、自動車業界ではエコカーが主流になりつつあり、制度的な社会支援もありますが、水まわりだって、最新の節水技術などを通じて環境に貢献できるということを表しています。
また、現在の状況を示す意味で、あえて古いトイレと最新型の節水トイレが入り混じるビジュアルにしました。細かく見ると道路標識や交通標語にもトイレや節水に引っかけた遊びの部分を作って、読者の方が隅々まで面白く読み解いていただける紙面にしています。

――社会的なメッセージの中にも楽しさがある全15 段のカラー広告になりましたが、反響は?

 社内外のさまざまな方から「インパクトがあり印象に残る」「水まわりがCO2の排出源になっているとは初めて知った」「商品からのCO2削減に期待しています」といった多くの反響をいただきました。新聞は、普段TOTOの製品に関心のない方にも私たちのメッセージを直接届けることができるメディアですし、環境への取り組みのようなコーポレートメッセージの情報発信媒体としてふさわしいことを改めて実感しています。
今回の新聞広告をフックに、今後は「TOTO GREEN CHALLENGE」のマークがアイキャッチとして機能するように、メッセージと商品がお客様の中できちんと結びつくようなコミュニケーションをしたいと思っています。

――「TOTO GREEN CHALLENGE」は2017年に向けた長い取り組みになりますが、今の思いは。

 ものづくりとしての7年は、普及活動という点で、むしろあまり時間がないと考えています。少しでも早く、より環境に配慮した商品を使用していただくためには、商品や技術を進化させると同時に、水まわりからのCO2削減に関するコミュニケーションを通じて「気づいて」いただくことが重要です。そのためにも、環境コミュニケーションはTOTOの企業姿勢を理解していただく重要な取り組みだと思っています。

 

◇媒体資料「朝日新聞にみる環境広告」はこちらから:
http://adv.asahi.com/modules/media_kit/index.php/kankyo_tokyo.html