脈々と息づく企業姿勢をCSR活動として昇華

 「喜びのタネをまこう」をスローガンに、商品・サービスの提供を通じて社会に喜ばれる企業活動を推進するダスキン。広告室長の合田昇氏に聞いた。

──CSRに対する考え方は。

合田 昇氏 合田 昇氏

 CSRという言葉が市民権を得る前から、当社にはその土台があったのではないかと認識しています。経済のみならず、環境面や社会貢献面からも企業を評価する「トリプルボトムライン」を観点にCSRを考えるとしましょう。主力のダストコントロール事業は、レンタルシステムの中で繰り返し使われ、最終的には資源化・燃料化される仕組みも確立されています。創業期から「自然からいただいたものは最後まで使い切って、またきれいにして自然に帰す」という理念があるように、環境面では持続的活動がビジネスモデルとして既に完成していたのです。

 社会貢献面では1981年、障害者の自立と社会への完全参加を目的とした「広げよう愛の輪運動基金」を設立。障害のある方を海外研修に派遣するなど、これまで27年間、障害者リーダー育成の支援を行っています。2006年の上場を機に、もともとあったこれらの取り組みを整理し、当社のCSRとして生活者に正しくご理解いただき、アピールすべきだと考えるようになりました。

── 愛の輪運動は、昨年10月15 日付の朝日新聞朝刊でも広告展開されています。

 障害のある方を広告で起用することに不安もありましたが、批判めいた意見はなく、逆に「ダスキンがこんな取り組みを行っているのを初めて知った」という声が大半でした。フランチャイズ制を敷く当社は、加盟店の人員等を含めると、約10万人規模になります。限りなく一般消費者に近い方もおり、広告には「ダスキンの一員」として、また「生活者の一人」としても接触します。そういう意味では、グループ内のインナー効果も大きかったですね。

── 環境に関する句を募集し、エコかるたを生活者と一緒に作るという取り組みもユニークです。

 環境面でも企業ブランド向上を狙っていましたが、マスメディアを使った一方的な情報提供には懐疑的なところもありました。生活者と双方向にコミュニケーションできないか、と考えていたところに新聞社から提案がありました。読者から応募いただいたものの中から選び、「かるた」として紙面で発表するという「アナログ感」に面白さを感じましたね。昨年10月には「身近に、未来に、エコのタネまき」をキーワードに「ダスキンの環境宣言」を発表しましたが、これらの環境面におけるPRが企業ブランド向上にどう結実するか、今後が楽しみです。

朝日新聞創刊130周年を記念した「『エコかるた』を作ろう」(特別協賛・ダスキン)には多数の句の応募があり、2008年12月7日付朝刊の広告紙面(二連版30段)で発表された(上は、完成したかるたから抜粋)朝日新聞創刊130周年を記念した「『エコかるた』を作ろう」(特別協賛・ダスキン)には多数の句の応募があり、2008年12月7日付朝刊の広告紙面(二連版30段)で発表された(上は、完成したかるたから抜粋)
2008年 10/15 朝刊2008年 10/15 朝刊