店頭から始まった大型キャンペーン「母の日に真っ赤なガーナ」を文化に

 ロッテは、ガーナチョコレートの母の日キャンペーンを展開した。ロッテ商事販売戦略部の古市丈二氏とロッテ・アド制作部の千葉秀起氏にお話をうかがった。

売り場の店員から始まった企画

── 母の日の恒例キャンペーンといった感があります。これまでの経緯をお聞かせください。

古市丈二氏 古市丈二氏

 きっかけは、2001年にとある社員が、「母の日にお馴染みのカーネーションに真っ赤なガーナをそえて贈ったらお母さんも喜ぶのでは」というアイデアで、売り場で手作りPOPにて訴求したのが始まりです。非常にご好評を得て、翌年から全社的に展開するようになりました。

 マスメディアを使ったコミュニケーションを本格的に始めたのは03年からです。06年からはロッテのCM契約タレントである人気の若手女優を複数起用。ご自身のお母さんに対する感謝の気持ちを自分の言葉で語ってもらいました。今年はさらに、男の子にも、もっとお母さんに感謝の気持ちを伝えてもらいたいと、最年少プロゴルファーの石川遼選手を起用。これは、ガーナを贈られる側のお母さん世代の女性からも非常にご好評を得ました。

── 母の日に先駆け5月8日、朝日新聞夕刊に、全4面を使った広告を出稿されました。

 昨年も同様の展開をしましたが、今年のこだわりは、中面に6人が勢ぞろいした縦使いの紙面。ポスターのように取っておいてもらえたらという思いを込めました。この紙面の成功は、新聞社の技術力の向上なくしてなかったと思います。クオリティーが高く、再現性のよい紙を使えるのはもちろん、女優さんたちの肌の色やガーナの赤がこれだけきれいに表現できる印刷技術もすごい。メッセージをきちんと伝えられることもあわせ、母の日キャンペーンに新聞は不可欠な媒体と思っています。

── 反響は。

千葉秀起氏 千葉秀起氏

 お客さまからは非常にご好評をいただいております。テレビCMの調査でも「新聞広告もよかった」といった声が複数ありました。得意先の流通さまではポスターのように店頭に張ったところもあったようです。そして、社員のモチベーションが向上していることも実感しました。新聞広告を見て「母の日ガーナもここまできたか」という感慨深い感想や、「自慢できる気持ちで得意先に持参できた」といった営業からの声も聞こえてきます。成功体験の共有は、ひとつのキャンペーンの成果にとどま店頭から始まった大型キャンペーン「母の日に真っ赤なガーナ」を文化にロッテらない好影響を社内全体に与えていると思います。

 今回もうひとつ非常にうれしかったことは、ブログでの反響です。家族でスーパーに買い物に行ったとき、幼い子どもたちが「自分たちのおやつはいいからお母さんにガーナを買って」と父親にお願いし、母親に気づかれないようにレジに並んだことや、ガーナのCMが流れるとなぜか子どもたちがうれしそうな顔をしていたことなどを、贈られた母親がブログでつづっていました。とてもほほえましくて温かくて、心から感動しました。母の日ガーナならではのシーンが生まれつつあることで、お客さまに認知され、浸透してきたという手ごたえを感じています。

── 実際の買い物の場となる店頭での展開は。

 このキャンペーンの始まりは店頭で活動する一人の社員による企画でしたが、それを現在も続けており、各営業社員が独自の売り場作りを進めています。社内コンテストも実施しており、それぞれがアイデアを練って意欲的に取り組んでくれています。手作り感あふれる売り場が母の日にぴったりのようで、店舗の方からもご好評をいただいております。また今年は、ガーナを2個購入でカーネーションの造花をプレゼントするなど、店頭用の販促ツールを何種類か用意したこともよかったようです。

「母の日にガーナ」を文化に育てたい

── 売り上げなど成果は。

売り場作りの社内コンテスト。 「各営業社員が独自の売り場作りを進めています。社内コンテストも実施しており、それぞれがアイデアを練って意欲的に取り組んでいます。手作り感あふれる売り場が母の日にぴったりのようで、店舗の方からもご好評をいただいております」 売り場作りの社内コンテスト。 「各営業社員が独自の売り場作りを進めています。社内コンテストも実施しており、それぞれがアイデアを練って意欲的に取り組んでいます。手作り感あふれる売り場が母の日にぴったりのようで、店舗の方からもご好評をいただいております」

 おかげさまで今年の売り上げも絶好調でした。キャンペーンをスタートした8年前から常に前年を超える売り上げを記録しています。通常、気温が上がるこの時期になるとチョコレートの売り上げは落ちるのですが、直前、当日はもちろん、その後も大きく下がることなく、順調に推移しています。1個100円という単価の低い商品にもかかわらず、 量販店さまではチョコレート商品の売り上げベースで常に上位を占めるようになりました。ガーナチョコレートは1964年に誕生した歴史あるブランドですが、この母の日ガーナのキャンペーンなどを通じ、今なおブランドが育ってきていると実感しています。

── 今後の展望は。

 8回目を迎え、反響、売り上げとも、確実に上がってきたという実感があります。成功の要因は、お母さんに感謝の気持ちを伝えたい、ガーナがそのお手伝いをしたいという企画の軸足がぶれなかったからととらえています。今後も一貫したコンセプトを守りながらも、常に前年を超えるような新鮮な企画を続けていきたいですね。母の日には真っ赤なガーナを贈ることが定着し、「日本の新しい文化」に育ってほしい。それが私たちの目標であり、願いであります。

5/8 夕刊 センター版

中面
終面
フロント面

新聞広告がポスターに

 夕刊のセンター4ページに専用の高白紙を使用。中面の見開きを縦使いにしたのが特徴的だ。「今年のこだわりは、中面に6人が勢ぞろいした縦使いの紙面。ポスターのように取っておいてもらえたらという思いを込めました。この紙面の成功は、新聞社の技術力の向上なくしてなかったと思います」