インパクトある新聞広告とムービーでグループブランド新設をアピール

 国内外で87社、500拠点でサービスを提供する、総合人材サービスのテンプホールディングスは、6月末に新しいグループブランド「PERSOL(パーソル)」を発表。インパクトある新聞広告とともにブランドムービーを制作し、社内外にアピールした。この新グループブランド発表キャンペーンを担当したグループ経営戦略本部の曽根誠人本部長に話を聞いた。

新しいグループブランドの思想「はたらいて、笑おう。」の元で、社員約4万人の気持ちをひとつに

曽根誠人氏 曽根誠人氏

 パーソルグループは、女性の事務職をメインとした人材派遣会社テンプスタッフの創業から数え、今年で43年目を迎える。近年、アルバイト求人情報サービス「an」や転職支援サービス「DODA」を運営するインテリジェンスなど数々の企業をM&Aでグループに加え、新卒・中途採用、アルバイト・パート採用支援、ITアウトソーシング、設計開発、エンジニアリングにまで業態を広げている。

 「おかげさまでこの4年で売り上げは2.5倍、利益は3倍強と事業は好調です。一方で、雇用や労働の課題が重要な社会課題となっている現代において、私たちはこれまで以上に顧客の課題に向き合い、グループとして提供する価値を拡大していかなくてはなりません。そのために、まずは一つのグループとして個人や法人から認識され、信頼していただく必要があります。しかし、グループ名の『テンプ』という言葉は英語で派遣そのものを意味しており、女性事務職のイメージが非常に強い。つまり、現在のグループ全体を表すにはそぐわなくなっていました。そこで、グループ全体を包含し、現在の事業実態に合った新たなブランドをつくろうということになりました」

 数年前から議論を重ね、「人と組織の成長創造インフラへ」とのグループビジョンを決定。また「人は仕事を通じて成長し、社会の課題を解決していく。だからこそ、働く人の成長を支援し、輝く未来を目指したい」との思いを込めて、新しいグループブランドを「PERSOL(パーソル)」と決めた。「PERSON」(「人」の成長を通じて)と「SOLUTION」(社会の課題を「解決」する)を組み合わせた造語だ。さらにタグライン「はたらいて、笑おう。」を発表。ブランドムービー「Under the same sky ~同じ空のしたで~」を制作し、新グループブランド発表に際してはまず全社員約4万人の気持ちをひとつにすることを目指し、全国6カ所7回の社員総会を完遂した。

 「モノを扱わない私たちのビジネスでは、社員のモチベーションがとても重要です。社員一人ひとりがこのグループに入って良かったと感じてこそ、社会に存在する人や組織の問題を心から解決したいと思うことができます。よって、社員一人ひとりがパーソルグループの一員であることに誇りをもてる環境づくりやコミュニケーション施策には力を入れています。今回のグループブランド発表キャンペーンでは、サービスを使用していただいている求職者やスタッフ、また法人顧客に向けてのメッセージはもちろんですが、社員やその家族に向けて発信したいとの思いも強くありました」

 ブランドムービーは7月20日(水)より、ホールディングスのコーポレートサイトとパーソルグループ公式YouTubeチャンネルにて一般にも公開。大手ゼネコン社員、アパレル企業社員、フランス料理のシェフ、ヒーローショーのキャスト、花火職人など国籍、年齢、性別、職域を超えたさまざまな働く人が登場し、苦しみ、迷い、傷つきながらも懸命に仕事に向き合う様子が描き出されている。

 「幸せや成功の価値観が多様化してきている時代においては、仕事は大変なこと、思い通りにいかないこと、葛藤のほうが多いかもしれません。でもそのなかで奮闘し、お客様に喜んでもらったり、自分の成長を実感したりすることで、達成感や笑顔が生まれます。ムービーではそんなプロセスを表現したいと思いました。見る人にご自身の働くシーンと重ね合わせて共感してもらいたかったので、井浦新さんと村川絵梨さんという実力派の俳優を起用し、働く人の神髄となるストーリー、リアリティーにこだわりました。単に人気や知名度があるだけでなく、わずかなセリフや表情で仕事の大変さや苦労を表現できる演技力をもちながら、身近にいそうな親しみやすさを持っている。そのような観点から2人には役作りをしてもらえて、狙い通りの内容になったと思います」

 ムービーへの社内外からの反響は大きく、「自分たちの仕事の裏側にあるものをきちんと表現してくれている」と評価された。ソーシャルメディアでも、「今までのテンプのイメージと違って新鮮」との声があがっているという。

最後まで社内で議論があったモノクロポートレートの新聞広告

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2016年7月20日付 朝刊 2016年7月20日付 朝刊

 ムービーの一般公開と同じ20日付朝刊で、全国紙に村川絵梨さん、地方紙に井浦新さんを起用した15段の新聞広告も掲載した。

 「掲載した案と、機能的な告知に絞った案とで最後まで社内で議論がありました。ただせっかく新聞広告を掲載するのなら、決まった情報を伝えるだけでなく、紙面をめくった時のインパクト、感性に訴えることも大事ではないか。クリエーティブでしっかりと新たなブランド思想の『はたらいて、笑おう。』を徹底したほうが良いのではないか、との結論に至りました。その結果、『笑おう』といいながらあえて笑顔ではなく、いろんな思いがにじみでてくるような働く人のモノクロポートレートを掲載しました。『さすがにアップすぎるんじゃないか?』との声もありましたが、大きな変化のタイミングだからこそ強気で攻めたいと思ったんです」

 社内からは「インパクトがあっていい」「こんな暗いテイストでいいのか」など賛否様々な声があったが、曽根氏は「批判を含めて大きく注目されたことが成功」ととらえている。各社やサービスの特徴であるビビッドな色のロゴ部分のみカラーにし、働く人の表情をモノクロで表現。結果的に、前向きに働く人の強い精神性が伝わるビジュアルとなった。

 「あらゆるものがネット化していくなか、紙ならではの質感や伝わりかたがあることを改めて実感しました。地方紙に出したのも、その地域の社員や、社員の故郷のご家族や友人などにも直接メッセージを届けたいと考えたからです。これからも他のメディアと連携させながら、新聞ならではのメリットをうまく活用していきたいですね」

 これまでは各企業やサービスごとに広告プロモーションを行っており、グループ全体での本格的な広告出稿は今回が初めて。今後、パーソルというブランドの認知を広げ、その価値と信頼感をより高めていくことが課題となる。

 「今後、様々な広告展開において、グループブランドとしてのパーソルを露出する機会は増えていくでしょう。多くの人や組織の成長を支援するブランドとして、広く認知・信頼していただけるように、時間をかけてじっくり進めていきたいと考えています」

 同グループでは2018年4月までに、主要会社の社名にパーソルという冠をつける方向で検討中だという。国も一億総活躍社会を掲げ、雇用・労働にかかわる問題が大きな課題となっている今、その解決に向け新たなスタートを切ったパーソルグループの今後に期待したい。