グループ間の「協奏」と、人と社会と地球にやさしい「KAITEKI経営」をアピール

 三菱化学、田辺三菱製薬、三菱樹脂、三菱レイヨンの4つの事業会社で構成される三菱ケミカルホールディングスグループ。「Good Chemistry for Tomorrow ─ 人、社会、そして地球環境のより良い環境を創るために。」という理念のもと、エネルギー、環境、医療、情報電子など様々な分野で事業を展開している。2010年度からは「KAITEKI」(カイテキ)という独自のコンセプトを掲げ、2013年度からは「THE KAITEKI COMPANY」をコーポレートブランドとして、ブランディングにも注力している。

明確な旗印を掲げ、多種多様な事業のシナジーを促す

池川喜洋氏 池川喜洋氏

 同社が掲げる「KAITEKI」とは、「人にとっての心地よさに加えて、社会にとっての快適、地球にとっての快適を併せもったもので、真に持続可能な状態」を意味するという。日本の製造業から生まれた言葉「KAIZEN」のように、グローバルな浸透を目指している。理事で広報・IR室長の池川喜洋氏は、次のように語る。

 「資源やエネルギーの枯渇、食糧や水資源の不足、生態系の破壊など、地球規模の課題解決が求められる中、企業が持続的に発展していくためには、収益だけではない新たな経営手法が必要であると弊社の小林喜光社長は考え、『KAITEKI経営』というコンセプトを打ち出しました。
  KAITEKI経営とは、営業利益や総資本利益率など財務指標を用いて資本効率を重視する経営「MOE(Management of Economics)」、イノベーションの創出を追求する技術経営「MOT(Management of Technology)」、人や社会、地球のサステイナビリティの向上を目指す経営「MOS(Management of Sustainability)」という3つの経営基軸に時間の要素を加えた弊社独自の経営手法です。この経営から生み出される価値を『KAITEKI価値』と名付け、これを高めることがKAITEKIの実現につながると考えています」

 同社は2012年、丸の内に本社を移転し、4事業会社の本社機能を集約(田辺三菱製薬は東京本社の一部を移転)。この機を捉え、「協奏」をテーマに、人と人とが力を合わせて大きな球形を作っているビジュアルを新聞広告などで展開した。人はグループ各社の多様なビジネスを象徴しており、事業間の連携が大きなシナジーを生むイメージを伝えた。
「今回はさらに踏み込んで、『THE KAITEKI COMPANY はじまる。』というキャッチコピーを掲げ、430社、製品2万点を有するグループの旗印としてKAITEKIという言葉を印象づける狙いがありました」

2013年11月6日 朝刊 2013年11月6日 朝刊

 ビジュアルは、環境の豊かさを計るバロメーターともいわれるカエルをモチーフとし、ボディーコピーで、「世界をもっとKAITEKIにカエル」と意思表明した。カエルの体内に描かれているのは、「促進事業」の現場の様子だ。有機光半導体、炭素繊維・複合材料、次世代アグリビジネス、有機太陽電池、サステイナブルリソース、ヘルスケアソリューションの6事業である。

 同社が発表した2011〜15年度を対象とする中期経営計画「APTSIS15」では、過去10年間の営業利益率の平均値と変動幅に着目し、グループの全事業を、「安定事業」(市況変動による影響が比較的小さく、中長期的に安定した利益が見込まれる事業)、「変動事業」(外部要因による大きな変動が不可避と予想される事業)、「促進事業」(グループとして戦略的に売上高成長率を高めていくことを目指す事業)の大きく3つに区分し、各カテゴリーに適した事業戦略を策定している。

 「最も収益を上げているのは、電子・産業用フィルム、医薬品、炭素関連製品などの『安定事業』で、今年度は総収益のおよそ4割を占めています。ですが、ルーキー選手を主力に育てるように『促進事業』に経営資源を投入し、次世代の収益の要に育てていくことも重要だと考えています。まさにその期待分野を広告で紹介しました」

 例えば、紙面右下にあるヘルスケアソリューションのコピーは、「いつものドラッグストアで健康セルフチェック」とある。これは、ドラッグストアで購入できる簡単な採血キットを用いて自己採血し、その血液サンプルをドラッグストア経由で同社グループの三菱化学メディエンスが検査、一週間から10日後にドラッグストアで健康チェックと検査結果を受け取れるサービスを指している。ちなみに三菱化学メディエンスは、世界ドーピング防止機構(WADA)からアジア初、日本で唯一認定されたドーピング検査における分析機関だ。
「こうした画期的な取り組みを新聞広告で紹介し、詳しい情報を提供しているウェブサイトへの誘引を図りました」

新しい時代に入ったケミカル事業の真の価値を伝えたい

 KAITEKIという旗印の浸透にあたり、コミュニケーションツールの拡充も図っている。今年度から、KAITEKI経営の年次報告や財務情報をまとめた統合レポートを発行。2014年の1月には社内報、4月には同社ホームページを全面リニューアルする予定だという。

 「ブランディングの最大の目的は、従業員がKAITEKI経営のコンセプトを100%理解し、取引先と共有すること。そのためにツール拡充は必須と考えています。また、事業の7割程度がB to Bなので、従来は、顧客取引先、株主、従業員への訴求が中心でしたが、今後は広告メディアを積極的に活用して学生や地域社会への情報発信にも力を入れていきます。朝日新聞はマルチターゲットに訴求でき、特に企業の役職クラスや学生にリーチできるメディアとして評価しています」

 学生への訴求の狙いは優秀な人材の取り込みだ。その課題について池川氏はこう続ける。
「今の時代はシェールガスやバイオマスなど原料の多様化が進んでおり、弊社の小林社長が会長を務める『石油化学工業協会』では、“石油化学”に代わる“新しい化学”にふさわしいネーミングの募集をこの12月から始めたりもしています。若い世代に、ケミカル事業の真の価値を伝え、当社の取り組みに興味を持っていただきたい。広告訴求を増やしていく中で、反響や評価の分析もしっかり行っていきたいと思います」

 最後に、今後のコミュニケーションの展望について、池川氏はこう締めくくった。
「『KAITEKI経営』のコンセプトは、一度や二度の情報発信ではなかなか伝わらないと考えています。あらゆるメディアを駆使し、継続的にコミュニケーションしていくつもりです」

三菱ケミカルホールディングスの企業広告事例

2012年7月4日 朝刊 2012年7月4日 朝刊
2012年3月28日 朝刊 2012年3月28日 朝刊
2010年12月15日 朝刊 2010年12月15日 朝刊
2010年4月1日 朝刊 2010年4月1日 朝刊