マンUとタッグ 「人と社会に“再生力”を」 新聞広告3ページで宣言

 3月11日付の朝日新聞全国版朝刊に、カゴメの全面広告が3ページにわたって掲載された。同社は、英国の名門サッカークラブ「マンチェスター・ユナイテッド」と、日本国内における公式飲料スポンサー契約を結び、「リジェネレーション・チャレンジ・プロジェクト」を発足。その取り組みについて広く認知してもらおうという内容だ。

「トマトの力」と名門サッカークラブ その関わりをしっかり伝える

西村晋介氏 西村晋介氏

  「カゴメといえば自然や健康というイメージが強いと思いますが、2005年ごろからトマトと運動の関係についても研究を重ねていました」と話すのは、同社コーポレート・コミュニケーション本部メディアコミュニケーション部広告グループ課長の西村晋介氏。トマトにはリコピンをはじめ、糖、有機酸、ミネラル、アミノ酸などの多くの栄養成分が含まれており、カゴメの研究ではトマトを食べることによって、運動後の疲労軽減効果が期待できる、という結果が得られている。

  12年6月からは、マラソン選手の藤原新氏とスポンサー契約を結び、トマトジュースを中心とした野菜飲料や、トマトを使った調味料を提供するなど、食を通じたサポートを行っている。
「プロのアスリートはもちろん、一般の方の日常生活においても、健康を維持するためには適度な運動と栄養バランスの取れた食事が非常に大切です。カゴメでは、これをより多くの人々に知っていただく方法を検討していたのですが、まさにそんな時にマンチェスター・ユナイテッドからスポンサー契約についての打診がありました。いいタイミングだったので本当に驚きました」と西村氏は振り返る。

 カゴメがマンチェスター・ユナイテッドと「日本における公式飲料スポンサー」の契約を結んだのは12年10月。その後、同クラブと協議を重ね、13年3月7日に「リジェネレーション・チャレンジ・プロジェクト」を発足させ、このタイミングで新聞に広告を掲載した。
「今後、3年にわたり『リジェネレーション』をキーワードに、人の健康と東北再生を応援する様々な活動を展開していきます。その宣言として新聞広告を掲載することにしました」と西村氏。

 3月11日付の朝日新聞で全面広告を3ページにわたって掲載した。
「12年10月にスポンサー契約を発表した際、『カゴメはマンチェスター・ユナイテッドと組んで一体何をやっていくのか?』という疑問を持った方も多かったと思います。新聞広告では、「再生力」をキーワードとして同クラブとタッグを組んだ理由や、東北の子どもたちを応援する活動、運動とトマトの関係について、さらには今後の具体的な取り組みについてもしっかりと伝えていこうと考えました。盛り込みたい情報が多かったので3ページで掲載することになりました」

 できるだけわかりやすくするため、最初のページは「なぜマンチェスター・ユナイテッドは、カゴメをパートナーとして選んだのか?」と、あえてマンチェスター・ユナイテッドを主語にして、その理由やテーマである「再生力」についてつづられている。マンチェスター・ユナイテッドのホームスタジアム「オールド・トラッフォード」をバックに香川真司選手をはじめ主力選手が並んだ写真に加え、カゴメとマンチェスター・ユナイテッドのロゴも配したインパクトの強いビジュアルを採用した。

2013年3月11日 朝刊 ページ送り

2013年3月11日 朝刊 22面 カゴメ 22面
2013年3月11日 朝刊 20面 カゴメ 20面
2013年3月11日 朝刊 18面 カゴメ 18面

 「マンチェスター・ユナイテッドとカゴメ、それぞれのロゴの赤を基調に、グラウンドの芝の緑色もアクセントとして生かしています。緑色はカゴメにとってはトマトや野菜を育てる畑の色で、とても大切な色の一つです」と西村氏。同クラブは「いい芝こそがいい選手を育てる」として、英国の厳しい気候でもピッチの芝を美しく保つ努力を欠かさない。これはトマトを育てる土を大切にし、「畑は第一の工場」と考えるカゴメの姿勢にも通じるという。

  「リジェネレーション・チャレンジ・プロジェクト」を宣言するメディアとして新聞を選んだ理由について同氏は、「企業が社会的なメッセージを広く発信する際は、折り目正しく、しっかりと伝えるため、信頼できるメディアを選びます。それには新聞が適していると判断しました。カゴメにとって2013年は、『愛知トマト』という社名から『カゴメ』に変更して50年という節目の年でもあります。今回の広告は、次の50年に向けた方針を発信する機会にもなりました」と語る。

新たな社会貢献プロジェクト 「社会に生かされている企業」だからこそ

 「リジェネレーション・チャレンジ・プロジェクト」の背景には、2012年度から発信している「Think GREEN KAGOME ~ひとくちから、未来を考える。~」というコーポレートキャンペーン・メッセージがあった。これは、超高齢化社会における健康問題と、東日本大震災からの復興という2つの大きな社会問題を踏まえ、「人と社会の健康長寿に貢献したい」という思いを表したものだという。

 「社長は日頃から『カゴメの成長は、社会と共にある』と言っており、特に東日本大震災以降は従業員一人ひとりが『社会に生かされている』という意識を強く持つようになりました。食を供給する企業として健康長寿に貢献したいという思いと同時に、東日本大震災からの再生も大きなテーマでもあり、カゴメのものづくりを支えている東北地方の農家の再生も重要な課題の一つ。そうした状況の中、企業として掲げた言葉が『再生力』でした。それを世界屈指のサッカーチームであるマンチェスター・ユナイテッドと共に発信していければ、きっと新しい社会貢献ができるのではないかと考えました」(西村氏)

 マンチェスター・ユナイテッドは130年以上の歴史があり、これまで数々の困難を乗り越え「再生」してきたチームでもある。この2012-2013シーズンでも、通算20回目となるリーグ優勝を決めた。「世界的ビッグクラブに所属する選手たちは、常に全力で試合に臨めるように日々『再生力』を発揮しています。また、ファンを第一に考え、社会貢献活動も積極的に行っていることでも知られています。絆や共助という気持ちを大切にしているチームだからこそ、再生力というテーマにも賛同していただくことができたのだと思います」(西村氏)

 プロジェクト初年度の今年は、「人の健康(トマト×運動)」と「地域社会の活性(東北再生)」の2つの「再生力」を発信していく。3月26日~30日には、岩手・福島・宮城で、「マンチェスター・ユナイテッド・サッカースクール in 東北」を開催し、地元の多くの子どもが参加した。7月23日に横浜・日産スタジアムで開催される「マンチェスター・ユナイテッドVS横浜F・マリノス」のプレシーズンマッチでは、マッチ名を「カゴメ・リジェネレーション・チャレンジ」とし、マッチスポンサーとして特別協賛する。
  「3月のサッカースクールには、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドの一人、アンディー・コールさんも参加していただきました。7月のプレシーズンマッチには、東北の子どもたちを無料招待します。それ以降の活動についても、逐次発信していく予定です」(西村氏)