企業の存在価値を高める環境広告シリーズ

先端の軸受技術で豊かな自然環境を守る

 牧孝夫氏 牧孝夫氏

 「地球は青い惑星なんだ」と改めて感じさせる広告が「be on Sunday Television」の1面に、2カ月に1度掲載されている。水中写真の第一人者中村征夫(いくお)さんによる、多様な生命の存在を連想させる美しい水中写真が目に飛び込んでくる。ベアリング(軸受)メーカーNTNの企業広告だ。ベアリングはDVD機器から自動車、ロケットまで、あらゆる機械の回転部分で使われ、スムーズな回転を促すことで省エネルギーに貢献している。

 そんな生活を支える身近な存在であり、かつ、環境への取り組みを進める同社だが、広告・宣伝はこれまで、一般紙での展開はあまり行ってこなかった。生活者に向けた一連の広告展開は、同社鈴木泰信会長の「コーポレートカラーであるNTNブルーを世界に広めよう」という決意から生まれた。総務部副部長の牧孝夫氏は、その背景について次のように語る。

 「近年、CSRに対する取り組みの重要性が増すなど企業のブランドイメージが改めて注目されるようになってきました。広告宣伝を直接、製品の売り上げ増につながるかどうかだけでとらえることもありますが、BtoBの企業だからこそ、これからは製品や企業について社会一般に広くアピールし、ブランドイメージを構築して、企業の存在価値を高めることが必要不可欠だと思います。そして、それが優秀な人材確保にもつながります」

 「週末別刷りの『beテレビ』をあえて選んだのも、就職活動中の学生たちだけでなく、子どもの就職先選びに影響を与えると思われる親、特に母親を意識したためです。『beテレビ』は1週間は保存されるので、手にするたびに広告を目に留めてもらえます」と、総務部広報グループ主任の西口恵氏は言う。

活字媒体ならではの『温かさ』を表現

 西口恵氏 西口恵氏

 コーポレートカラー“NTNブルー”を浸透させるために考案したのが今回のシリーズ広告企画“エコロジーブルー”だ。

 「ブルーは、海や空も含めた地球全体としての環境の良さを象徴しています。緑化による環境保護のその先にある、青い地球を将来に残したい、という地球との共生を考える当社の思いを表しました」と西口氏は言う。

 無機質に受け止められがちな機械部品の企業だからこそ、クリエーティブについては、有機的な温かさにこだわった。例えば2回目に掲載したのは、カマスの大群が陽光の中、潮流に向かっていく写真。環境に対する思いのこもった中村さんのエッセーとの相乗効果で、読者の想像を広げ、はるか昔から続く多様な生物の命の繰り返しへと思いを至らせる。「新聞広告を使うことによって、活字メディアならではの『温かさ』を伝えたかったのです。」(牧氏)

 今回のシリーズでは、企業の認知向上と、イメージ浸透に徹した。「製品について、詳細に説明するよりも、NTNの製品がなぜ省エネにつながるの?と興味を持ってもらうことがねらいでした」(牧氏)。さらに掲載当日の朝刊本紙1面では、ブルー単色で目立たせた突き出し広告で、多くの読者を別刷り「beテレビ」へと誘導した。

 読者からの反響は「ベアリングが風力発電に使われていると初めて知った」など、環境に対する意識の高さを感じさせるものから、美しい写真について毎回感想を寄せる方まで、想像以上だったという。「当社の認知や企業イメージが向上していくことを実感しています。社員が家族にもシリーズ広告を誇らしく説明するなど、社内でも好評です」(牧氏)

地球環境への思いを継続的に伝える

 朝日新聞への出稿は、同社の認知を高める広告展開の先駆けの一つだ。「幅広く知らせるには、多様な人々が読んでいて、かつ、信頼性と社会性を持つ新聞しかないと考えました。朝日新聞は、質の高い読者を抱えており、私たちの思いを訴求したい層と一致しています」(牧氏)

 「NTNブルーを体現するこのシリーズ広告には、強い思い入れがあります。紙面を、ホームページでも掲載したり、中村さんの個展などメセナ活動の中でも紹介していければと思い描いています」(西口氏)

 NTNでは、製品だけでなく、生産工程でもエコロジーを意識している。風力や太陽光による発電で生産時の電力を補充し、生産工程の廃熱は暖房に利用、途中行程で出る金属粉などのリサイクルにも取り組んでいる。「地球環境との共生を大切にする当社の姿勢や考えを、企業としてアピールしていきたい。会社の思いを伝える企業広告は、読者の中にイメージが積み重なっていくと思います。そのためにも、これからも継続的な情報発信の必要性を感じています」(牧氏)

毎回、本紙1面の突き出し広告からbeへと誘導

2007年11月18日付 朝刊

5段広告を日曜「be」Televisionの フロント面に掲載

 2007年5月27日付 be
 2007年8月12日付 be
 2007年9/月23日付 be
 2007年11月18日付 be
 2008年1月20日付 be