『SPUR』×『ジェイヌード』タイアップ企画が実現

 「美・食・住・遊・知」をテーマに多彩な情報を扱い、カフェ、シアター、ホテルなど、1都3県約450拠点で配布している朝日新聞社発行の『ジェイヌード』。昨年、同紙10月2日号で、集英社発行のモード誌『SPUR』とのタイアップ企画が実現した。  モードの最先端をとらえ、ハイセンスで知的好奇心の高い女性たちに支持されている『SPUR』。同編集部は、昨年11月号で特集したファッション、コスメ、旅情報などを再編集し、新規に作成したコンテンツも加え、『ジェイヌード』計13ページにタイアップ出稿した。集英社シュプール編集部編集長の内田秀美氏、朝日新聞出版開発部ジェイヌードチーフエディターの齋藤正弘氏に振り返ってもらった。

ダブルカバーで両誌の世界観を発信

『SPUR』編集長 内田秀美氏 『SPUR』編集長 内田秀美氏

内田 『SPUR』は2008年で創刊20周年となりました。それに合わせて、常に新しいチャレンジを続けてきた当誌らしい何かができたら……と思っていたので、タイアップ企画はまさに渡りに船でした。『ジェイヌード』は、おしゃれな女性たちに読まれているイメージがあり、読者層が共通していると感じますし、設置場所のセンスもいいですよね。私もタリーズコーヒーでよく手に取り、楽しく読ませていただいています。

齋藤 ありがとうございます。今回の企画では、御社広告部のご提案を受け、両誌の紙面をダブル表紙で編集し、それぞれ右開きから読めるよう工夫しました。『ジェイヌード』としては、表表紙と裏表紙が逆さの紙面を街で広げてもらう。そのインパクトを打ち出せただけでも大歓迎の企画。さらに記事面も、お互いの世界観を損ねず、かつ情報共有したことでバランスの取れた内容となり、非常にありがたかったです。

『ジェイヌード』チーフエディター 齋藤正弘氏 『ジェイヌード』チーフエディター 齋藤正弘氏

内田 再編集に加え、独自編集も行った広告企画は『SPUR』編集部でも前代未聞でした。そこで、当誌を読んだことのない人にリーチできる絶好の機会ととらえ、『SPUR』の世界観を伝えました。新しいターゲットに向け、本誌では省くようなファッションの基本情報を盛り込み、カフェでコーヒーを飲みながらゆっくり読めるような配慮もしました。広告面は、クライアントのご賛同を得て、情報を最小限に抑えてイメージ重視で展開しました。

齋藤 『SPUR』のすごいところは、ターゲットリーチや部当たり単価といったコストパフォーマンスにとらわれず、読者とのきずなの強さや編集者の姿勢で勝負し、その世界観が広告主から評価されていることです。また、タイアップ企画のクオリティーも高い。広告主の意向を独自のテイストで加工し、価値を高めて発信する手法にはつくづく感心します。

内田 私たちにとっては、編集面も広告面も同じ『SPUR』で、とにかく編集者が楽しんで作っているんです。それが、広告主も読者もハッピーになれる紙面作りの秘訣(ひけつ)かなと思います。

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2008年 10/2 『SPUR』フロント面

独自性で読者を魅了し広告主の信頼を得る

斉藤 『ジェイヌード』とのタイアップ企画に対する周囲の反響はいかがでしたか。

内田 ある海外ブランドは、本国の広告担当者から「Good job!」と言われたとか。他媒体や取引先から、「この企画はどうやって実現したんだ」との問い合わせもとても多かったです。それはやはり、組んだ相手が『ジェイヌード』だったからだと思うんです。他のフリーペーパーとは明らかに違う存在感がありますよね。

齋藤 既存メディアの再加工でなく、独自の視点で記事を作り、読者との結びつきを強めているところが、新聞社発行のメディアならではの持ち味だと思っています。

内田 オリジナリティーで勝負し、読者やクライアントの共感を得ているところは『SPUR』と似ていますよね。

齋藤 読者の年齢層が幅広いので、ターゲティングを明快にできない難しさもありますが、新聞社系のメディアとして読者の信頼が高く、クライアントに喜ばれることも多いんですよ。

内田 実は、『SPUR』も年齢でターゲットを区切っていないんです。あえて区切るとすれば「テイスト切り」。おかげで固定ファンがついて、40代になった読者から「娘と情報を共有しています」といったお便りもあります。読み物としても楽しめると定評のあるモード誌で、そこも幅広い年齢層をカバーできているポイントのようです。

齋藤 いい読者、いいファンがついているんですね。

内田 はい。コンテンツに対する読者の信頼が厚く、掲載商品や広告に対するレスポンスが確実に取れるところも、クライアントの評価につながっています。

齋藤 20周年を迎えた今年の展開を聞かせてください。

内田 クライアントと読者と一緒に20周年をお祝いできるようなプレゼント企画など、様々な趣向を用意しています。また、英語コンテンツを備えたウェブサイトを立ち上げ、日本発のモード誌を世界にアピールしていきます。3月には再びタイアップ企画が控えていますので、楽しみにしていてください。

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『ジェイヌード』フロント面