キャンペーンリポート

新聞から雑誌、ウェブ、交通広告と ブランドの世界観を立体的に展開

セイコーウオッチ

 セイコーが最高峰の腕時計を目指し、1960年から世に送り出しているハイエンドシリーズ「グランドセイコー」。搭載する9Fムーブメントが25周年、9Sムーブメントが20周年を迎えた2018年3月から約半年間に渡って、その魅力と世界観を改めて伝える大規模なキャンペーンを展開した。作家の矢島裕紀彦さんに時計にまつわるオリジナルストーリーを書き下ろしてもらい、新聞、雑誌、ウェブ、地下鉄の中づり、ブックレットなど幅広い媒体で立体的に展開したキャンペーンは、社内外から大きな反響を得た。

2018年6月8日付 朝刊 全5段広告382KB

2018年6月8日付 朝刊 全5段広告280KB

2018年10月13日付 朝刊 全5段広告394KB

2018年10月13日付 朝刊 全5段広告271KB

オリジナルストーリーを書き下ろし、ブランドの世界観を情緒的に伝える

 「グランドセイコー」は、セイコーが長年培ってきた緻密(ちみつ)なものづくりと、先進技術を融合させた国産腕時計の最高峰。同社では、それまでセイコーブランドの傘下にあった「グランドセイコー」を、2017年に独立ブランド化。改めてグランドセイコーとしてのブランド認知を広げ、ブランドとしてのステージをもう一段あげるためのプロモーションに力を入れていくことにした。

土屋雄嗣氏

 「2018年は『グランドセイコー』に搭載しているクオーツのムーブメント『キャリバー9F』が開発されて25年、機械式時計のムーブメント『キャリバー9S』が開発されてから20年目の節目でもありました。周年とからめながら、いかに『グランドセイコー』のさらなる認知を広げ、プロダクトの魅力を伝えていくか。それが今回のキャンペーンの最大の課題でした」と同社広報宣伝部 部長(現 マーケティング一部長)の土屋雄嗣氏は語る。

 ただ自社の歴史を振りかえる周年企画は、どうしても開発ストーリーやものづくりの苦労話など、手前みそな内容になりがちだ。それでは時計にそれほど関心が高くない一般のお客様には読んでもらえない。

 「単なる機能やスペックの紹介だけでなく、ブランドの世界観をもっと情緒的に伝える必要があると考えました。そこで今回は、作家の矢島裕紀彦さんに時計にまつわるオリジナルストーリーを書き下ろしてもらい、それを軸にキャンペーンを展開することにしたのです」

 書き下ろしてもらった9つの物語には、老棋士やクリニックの女性院長、野球選手、パリで活躍する新進デザイナー、世界各地を旅する鉄道写真家など、さまざまな分野で、ステータスを築きあげた人たちが主人公として登場。自身の人生の節目となった場面で、いかに時計が大きな役割を果たしてきたかを語る。

 「時計は単なるモノではありません。その人の人生とともに、大切な時を刻む人生のパートナーでもあります。今回の企画では、よい時計をもつことがいかに人生を豊かにするか、といった腕時計を身につけることの魅力を、あらためて伝える内容になりました」

 新聞広告では、まずはストーリーを楽しんでもらいながら、プロダクト紹介へ自然と導く流れに配慮。全5段モノクロと全5段カラーを見開きで使い、右のモノクロページから物語が始まり、商品をアップで載せた左のカラー広告にまで物語が一部流れ込む見せ方とした。

2018年3月7日付 朝刊1.7MB

 同じ内容を、雑誌『AERA STYLE MAGAZINE』(ASM)とウェブサイト、地下鉄の中づり広告でも展開。ウェブサイトでは新聞に載せきれなかった物語のロングバージョンを掲載した。さらに全9話をまとめて一冊のブックレットにし、店頭に置いてお客様に配布した。今回の企画では矢島氏のブッキングをはじめ、新聞広告、ASM本誌広告のクリエーティブ制作、ウェブサイトでの展開など、ASM編集部が持つネットワークや企画力、編集力が活用された。

 一つのコンテンツの見せ方を媒体に合わせて少しずつ変えることで、さまざまなターゲットに届けることができました。おかげ様で反響は大きく、お客様相談室には普段、新聞広告を単体で打ったときよりはるかに多い件数の問い合わせがありました。それも『この時計はどこで買えるのか』といった直接購買につながる問い合わせが多く、期待以上の結果に喜んでいます」

地下鉄の中づり広告

「T-JAPAN」とのタイアップで、ブランドの自分ごと化を図る

 キャンペーンでは、朝日新聞社と集英社が編集・運営するハイクオリティーマガジン・ウェブサイト「T-JAPAN」とタイアップし、レディースモデルのプロモーションも行った。「グランドセイコー」はもともと圧倒的に男性からの支持が多かったが、2016年から天海祐希さんを起用した広告を展開するなど、女性をターゲットにした施策にも力を入れてきた。

雑誌『T-JAPAN』

 「おかげさまで女性の顧客も年々増えています。さらに女性たちが『グランドセイコー』は自分たちのブランドなのだと、直感的に感じていただけるようなアプローチが必要だと考えていました。そこで今回は、T-JAPANの編集部に企画や紙面構成を託し、より読者の視点に立ったかたちで、女性に対するブランドの自分ごと化を図りたいと思いました」

2018年6月1日付 朝刊730KB

 できあがった紙面では、天海さんが「グランドセイコー」を身につけた写真とともに、「凜(りん)とする時間」「心地よい時間」「華やぐ時間」の三つのテーマで、日々の仕事や生活のなかでの時計との関わりが紹介されている。

 「ちょっと緊張感をもった仕事モードのとき、友達とともにリラックスしたいとき、パーティーで華やかな気分のとき。そんなシチュエーションに合わせた時計と一緒に過ごす時間を、天海さんのすてきな写真とコメントでお伝えすることができました。写真も記事も、ハイクオリティーマガジンの編集力、クリエーティブ力が表れたもので、同時につくってもらった全15段の新聞広告も、我々が普段つくるものとは異なるテイストで新鮮でした」

 今回のキャンペーンでは、制作のイニシアチブをメディア側にゆだねたうえで、統一した世界観、トーンのバランスをとりながら、新聞、雑誌、ウェブ、交通広告、ブックレットといった幅広い媒体で立体的に展開したことが成果につながった。

 「おかげさまで今期、グランドセイコーは過去最高の出荷を記録しています。今後もさらにブランドのステージをあげていくために、ブランドの世界観や情緒価値をしっかり伝えていける広告展開に力を入れていきたいと考えています。さらにグローバルなブランドとして、認知を世界に広げていきたいですね」

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