キャンペーンリポート

介護やオムツのことを自分ごと化し、オープンに話せる社会を目指す。草彅剛さんを起用したキャンペーンを展開

大王製紙

 今年、発売40周年となる大王製紙の大人用紙オムツ「アテント」は、8月に草彅剛さんを起用したテレビCMや新聞広告による大規模なキャンペーンを展開した。介護やオムツのことを自分ごと化してもらい、誰もがオープンに話せる社会にしたい。そんな同社のメッセージは、幅広い層から大きな共感を集めた。このキャンペーンの背景や狙い、反響について、同社ヘルスケア・ブランドマーケティング部部長の大蔵孝浩氏と、同部ヘルスケアグループ課長の宇都秀和氏に聞いた。

2020年8月4日付 朝刊 全15段

2020年8月4日付 全国版朝刊 全15段119KB

2020年8月22日付 朝刊 全15段

2020年8月22日付 全国版朝刊 全15段102KB

幅広い人に語りかけるように、新聞広告を通じて介護への思いを伝える

 「アテント」は、1980年から発売されている大王製紙の紙オムツブランドだ。テープタイプ、パンツタイプ、パッドタイプなど用途に合わせた多種の製品があり、医療や介護の現場で広く使われている。2023年には50歳以上人口が50%を超え、在宅介護も増えることが予想される日本では、今後ますますニーズの高まっていくであろう商材だ。とはいえ同社では、大人用紙オムツというアイテムならではの課題を長年抱えていた。

大蔵孝浩氏

 「誰もが年をとれば、病気やけがでいつ紙オムツが必要になってもおかしくありません。でも多くの方は、紙オムツを自分とは関係ないものと思っています。そしていざ必要になっても、使用に抵抗を感じたり、拒否されたりする方が多いのです。親に紙オムツを使ってもらいたいけど、使ってもらえず困っている。そんなお子さんの声もよく聞きます。紙オムツに対する情報の不足から、悩んだり、とまどったりしている方も多くいらっしゃいます。そこで何とかみなさんが、介護や紙オムツを自分ごとととらえ、オープンに話しあえる社会にしていけないかと、常々感じていました」(大蔵氏)

 これまでも同社では、介護情報冊子を無償配布したり、店頭で介護相談員による相談会を開催したりするなど、さまざまな情報発信をしてきた。しかし介護やオムツは自分にはまだ関係ないと思っている人には、そのようなアプローチだけでは不十分と感じていた。

 「そこで発売40周年を機に、当事者意識をもっていない方にも介護やオムツに対する認識を深めてもらえるような、大規模なキャンペーンを実施することにしました」(大蔵氏)

 かつてない大きなキャンペーンでもあり、戦略や施策には1年半をかけ、徹底的な調査を実施。お客様の声を丹念に吸い上げ、どのようなメッセージをどのような媒体で展開すべきか、議論を重ねた。最終的に、草彅剛さんを起用したテレビCMを『24時間テレビ43「愛は地球を救う」』(日本テレビ)で放映することを核に、新聞広告で広く社会にメッセージを投げかけ、SNSで話題を広げる、といった内容に固まった。

 キャンペーン開始の宣言ともいえる8月4日の全15段の新聞広告は、大きな紙オムツの写真を真ん中に載せ、『かくさないパンツになろう。』のコピーを配した、非常にインパクトあるものだった。

 「『おむつについて、つつみかくさず、あなたと話したい』との私どもの考えには、介護関係者をはじめ多くの方からたくさんの共感の声をいただきました。この紙面を手に販売店を訪れ、商品を購入された方もいると聞いています」(大蔵氏)

 続いて24時間テレビの放映日となる22日の朝には、草彅剛さんが紙オムツを手にもつ写真を使った15段新聞広告を掲載。こちらは「ひとりで生きていく、なんて、言わないでほしい」のコピーのもと、草彅さんが読者に語りかけるようなメッセージを載せた。

 「介護はひとりで抱え込んでしまいがちなので、頼れるものには頼って人生を楽しんでほしい。この広告にはそんな思いを込めました。うれしいことに、草彅さんが持っているオムツを見て、これならはいてみようと思ったとの声もいただきました」(宇都氏)

 「新聞媒体の良さは、こちらの思いをしっかり言葉で伝えられること。草彅さんに登場いただいたこの新聞広告を、ツイッターでアップされているファンの方も多くいました。朝日新聞は認知症支援の取り組みにも積極的で、社会課題への関心が高い読者も多い。掲載媒体として選んだのは、そのような層へアピールしたかったのも大きな理由です」(大蔵氏)

草彅さんが自分ごととして語ったCMに大きな共感が広がる

 24時間テレビでは、草彅さんが介護やオムツについて語る13バージョンのCMが順次放映された。ファンのなかには、すべてのバージョンを見ようと24時間テレビを見続けた人も多い。新しいCMが流れるたびに、感想のツイートも拡散した。その結果、このキャンペーンはSNS上でも大きな話題となる。さらに特設サイトやツイッターアカウントから「#常識をはきかえよう」で介護やオムツに関する悩みや本音を募ったところ、CMへの感想を含め、2日間で約7300件ものツイートが寄せられたという。

宇都秀和氏

 このキャンペーン成功の最大の要因が、草彅さんの起用にあることを言うまでもない。幅広い世代からの好感度が高く、強い芯をもちながらも穏やかで優しい。そんなイメージに加え、今回のキャンペーンでは草彅さん自身が強い当事者意識をもってCMや広告の制作に携わったことも大きかったようだ。

 「草彅さんは現在46歳。3年後には50歳近くなり、まさに親の介護を意識しだす世代です。ですから私どもの話にも、とても共感していただけました。13本のCMのなかには、台本とは別に、草彅さんがその場でこれからの日本社会や介護のことを考え、自分の思いを口にされたものを、そのまま使っているものもあるんです」(宇都氏)

 介護を自分ごと化し、みんなで考えていく。そんな同社の思いは、CM制作そのものにも体現されていたわけだ。そんな風に草彅さんが、自分の思いを自然体で、本音で語ったからこそ、このCMは幅広い人の共感を得たのだろう。

 「今後も草彅さんを起用したキャンペーンは続けていきますが、とりわけ今回、『#常識をはきかえよう』にコメントをいただいた方々は、私どもの宝だと思っています。ここには草彅さんのファンはもちろん、朝日新聞の読者、介護関係者、みんなで支え合う社会を目指す方々など、多様な方々が集まっています。そんな方々から介護に関する本音や悩み、紙オムツに対する要望をたくさんいただきました。今後もこのハッシュタグを継続的に活用しながら、社会のさまざまな方々の思いに応え、製品づくりやマーケティング施策に取り組んでいきたいと考えています」(大蔵氏)

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