新聞コンテンツを活用したキャンペーンで「省エネ」を身近に感じてもらう

 地球温暖化防止の対策として、製造事業者や家電販売事業者に努力義務を課し、省エネ製品の普及を目指している資源エネルギー庁。省エネルギー新エネルギー部省エネルギー対策課 省エネルギー対策三係長(トップランナー基準担当)の山田哲也氏にお話をうかがった。

省エネ製品の普及と情報提供に腐心

山田哲也氏 山田哲也氏

── 資源エネルギー庁が進めている「省エネ家電」の普及対策とは。

 省エネ法に基づき厳しい基準を製造事業者に課し、省エネルギー化を促しています。具体的な対策として、「トップランナー制度」があります。これは、自動車の燃費基準や電気製品などの省エネ基準を、それぞれの機器において現在商品化されている製品のうち最も優れている機器の性能以上にするというものです。目標年度も設定し、機器の開発期間や技術発展の見通しを勘案して決めています。

 さらに、目標年度を迎えた機器に新たな基準を課し、一層の努力を求めています。この方式は、1999年に自動車やエアコンなどエネルギー消費の多い11機器からスタートし、現在は21機器が対象となっています。

── 取り組みを消費者にどのようにアピールしていますか。

 トップランナー方式の導入により、各種機器のエネルギー消費効率は大幅に改善しました。しかし、せっかくメーカーが努力しても、消費者の購入につながらなければ意味がありません。そこで、2000年に「省エネラベリング制度」を開始しました。メーカーカタログや小売り事業者の店頭表示に活用してもらい、消費者に対し省エネ効果の高い商品をアピールしていこうという取り組みです。2006年には、省エネ性能の相対評価をよりわかりやすく伝えるべく、家電小売り事業者への努力義務として、多段階評価制度(5つ星表示)や年間の目安電気料金を加えた「統一省エネラベル」を打ち出しました。省エネ性能の向上に伴って定期的に評価基準を改正し、最新の情報を提供しています。

 また、2003年より省エネルギー型製品の積極的な販売、情報提供を行っている販売事業者を「省エネ型製品普及推進優良店(eshop)」に指定する表彰制度を実施しています。

エリア広告を家電量販店に配布

── 昨年末に朝日新聞紙上で展開した広告キャンペーンの概要は。

 1週間に小型広告4回、5段広告1回、エリア広告(東京・大阪・名古屋)と、情報を小分けに提供し、読者の意識を高めると同時に、エリア広告の増し刷り30万部を家電量販店に配布し、コミュニケーションツールにしてもらいました。大きかったのは、エリア広告のコンテンツに、朝日新聞に掲載された報道写真を活用できたこと。世界各地で起こっている地球温暖化の現象を伝えた写真の数々は大きなインパクトになりました。さらに、一連の報道写真をスライドショー化し、ナレーションと音楽を加えた朝日新聞社製作のテレビCMを放送するなど、新聞を中心とした複合メディア展開が実現しました。従来、省エネルギー関係のインフォメーションは省エネ月間にあわせて2月に行うことが多かったのですが、今回は年末のボーナス商戦期に照準を合わせました。新聞広告で地球温暖化や省エネルギーについて意識を高めてもらい、店頭で増し刷りしたエリア広告やインフォマーシャルを見て「買うなら省エネ家電」という気持ちになってもらい、「統一省エネラベル」を基準に商品を選んでもらう、という流れを作るのが狙いでした。

── 新聞メディアの可能性についてどのようにお考えですか。

 生活に身近な家電製品に関する情報なので、情報発信するメディアも生活に身近な新聞広告、という発想でしたが、今回はエリア広告などを通じて新聞のコンテンツ力を再認識しました。環境問題は自分に関係があることとして実感しにくく、「統一省エネラベルとは」などと淡々と解説したところで共感は得られなかったでしょう。記事体や写真を通じて「世界でこんな深刻な問題が起きている。自分にできることって何だろう」と気づきを与えることができたと思います。

── コミュニケーションにおける今後の目標は。

 昨年10月、経済産業省、環境省の協力のもと、家電メーカー、小売り事業者、消費者団体などが連携し、国民運動として省エネ家電製品の普及を促進していくことを目的とした「省エネ家電普及促進フォーラム」が設立しました。「ハロー! 省エネ家電/省エネ家電フォーラム&チーム・マイナス6%」の文字が入った共通ロゴマークも作りました。今後、京都議定書の削減約束の達成と省エネ家電製品の普及のため、キャンペーンや情報提供の充実をはかっていきたいと思います。

2007年 11/23 朝刊
社会面で小型広告を4回にわたり展開

2007年 11/30 朝刊
「地球温暖化フォーラム」〔主催:朝日新聞
社、共催:NEDO(技術開発機構)〕の採録
2007年 12/1 エリア広告