銀座で商うということ

銀座の街の組織が結集 「オール銀座」として活動する

全銀座会 代表幹事/銀座タニザワ 代表取締役社長 谷澤信一氏

 銀座は通りごとに「会」という組織があり、多くの店舗や企業が加盟している。それぞれが独自の活動をしているが、銀座という街全体についての方針を決めるのが、「全銀座会」だ。その設立の経緯や活動について、6月に代表幹事に就任したばかりの谷澤信一氏に聞いた。

大銀座まつりの見直しをきっかけに組織

谷澤信一氏 谷澤信一氏

――「全銀座会」が設立された経緯は。

 自治組織である「町会」、商店街の組織である「通り会」、さらに業種業態の組合や任意団体など33の組織で構成された銀座地域全体の意思決定機関です。設立は2001年。そのきっかけになったのは、昭和43年から続いていた「大銀座まつり」の見直しでした。

 21世紀を前に、新しい時代にふさわしい銀座の祭りとは何か。それを銀座全体で考えようという機運の高まりを受けて実行委員会が発足しました。そして01年に銀座に店を構える人たちが主体的に企画・運営を行って、新しい銀座の祭りが開催されました。これが現在の「オータム・ギンザ」につながっています。

 銀座全体で盛り上げたこの祭りを契機に、以前からあった「銀座連絡会」を発展的に解消する形で、「全銀座会」の設立に至りました。銀座連絡会は情報交換や報告の場でしたが、全銀座会は審議や決議などに関する会則を定め、役員を選出する正式な組織であることが特徴です。

――性格や沿革の異なる様々な組織が連携するのは簡単ではないですね。

 通りごとに組織されている「通り会」の歴史は大変古く、なかには「銀座通連合会」のように設立から100年近くになる会もあります。つまり、銀座には、我々の大先輩の時代から、自分たちの街をよりよくするために近隣の人たちと連携し、全体で考えるべき問題については、みんなで考え、みんなで動くという伝統がありました。それが、全銀座会にも受け継がれているのではないでしょうか。

 一例を挙げますと、銀座全体で行う震災訓練は今年で32回目を迎えます。町会や通り会などが連携して行っていたこの行事を、現在は全銀座会の防災対策委員会が引き継いでいます。祭りなどの催事も同様で、全銀座会が発足するかなり前から、銀座には横のつながりが強い土壌があり、当たり前のようにこれまでも力を合わせてやってきました。

――活動内容を教えてください。

 今、お話しした防災対策委員会のほか、環境安全委員会、銀座街づくり委員会、催事委員会、広報委員会、総務委員会の7つの委員会に分かれ、様々な活動をしています。

 たとえば、私が前年度まで委員長を務めていた環境安全委員会では、平日は週3回、週末は歩行者天国の時に、区道も含んだ銀座の各通りを、2人1組でくまなく歩き回ってパトロールをする「銀座ガイド」をずっと続けています。その目的は、お客様にとって銀座を歩きやすい、きれいで楽しい街にしていくことです。店舗の敷地から道路に看板がはみ出している店舗には、「この看板を少し中に入れてください」と声をかけたり、公道で宣伝行為をしている人に注意するという、とても地道な努力を続けています。

 もちろんこれだけで公道での宣伝活動がなくなるとは思っていません。しかし、街の人間が頻繁に歩き回って、銀座の環境を守るために尽力していること自体が、力を合わせて銀座をよくしていこうという空気を醸成するのではないでしょうか。

 各組織の代表が集まる定例会は2カ月に1回行われており、ここで各委員会の動きが報告され、全体で討議すべきことについては、この会合で話し合うことになります。

全銀座会組織図

(全銀座会 提供)

変わらぬ銀座も新しい銀座も お客様あってこそ

――現在はどのような催事を行っているのですか。

 大きなイベントを秋に集中して行う方針を改め、現在では、春や夏も含めて年間を通じて催事を行っています。毎年5月5日には、西銀座通りで開催する「銀座柳祭り」、歩行者天国の始まった記念日である8月の第1日曜日には、「浴衣で銀ぶら」をテーマにした催事「ホリデープロムナード」を行っています。そして最も大きいのは、秋の「オータム・ギンザ」。期間中に、銀座の街で野だてを楽しむ「銀茶会」、銀座レストランウイーク、銀座八丁神社巡り、アフタヌーンギャラリーズ、銀座デザインフォーラム・シンポジウムなどを行っています。

――谷澤さんは長く銀座で商売をしていますが、銀座の魅力はどこにありますか。

 何よりもお客様に恵まれてきたこと。お客様あっての銀座であり、お客様に支えられてここで商売をさせていただいています。なぜ、お客様を引きつけ続けることができたのか。それは、銀座という街が、新しいものを積極的に取り入れながら、伝統や文化をしっかり守り続けているからに他ならないように思います。

 いろいろな通りで目を引くのは、その時期に最も勢いのある商売をやっている店です。バブル経済の時期は多くの金融機関が店舗を持っていました。そして、今は国内外のファストファッションブランドが数多く出店しています。その一方で、私どものように、先代、先々代からここで商売を続けている店もある。古くからのお客様の中には、まずトラヤさんで帽子を見てから、うちの店に来て、その後に伊東屋さんへ行くという方がいらっしゃいます。別のお客様は、いつも6丁目の菊水さんをのぞいてから、うちに来られるそうです。何十年も前から、変わらぬ店があること、変わらぬ銀座があることを、お客様も楽しみにして下さっているのでしょう。

 伝統的なものと新しいものが混在していることに加え、変化の多い街並みもお客様にとっては大きな魅力になっているのではないでしょうか。銀座は大通りだけでなく、区道や路地の1本1本が多彩な表情を持っています。また、表通りと奥の通りが「面」として複雑な多様性を生み出しおり、これらが他の街にはない銀座らしさになっています。

 このような銀座が、お客様にとってさらに魅力ある街になるよう、全銀座会としても全力を尽くしていきたいと思います。

谷澤信一(たにざわ・しんいち)

全銀座会 代表幹事 / 銀座タニザワ 代表取締役社長

1955年生まれ。78年学習院大学法学部卒。82年3月銀座タニザワ入社。82年取締役。87年常務取締役。94年3月から現職。2013年銀座通連合会理事長、全銀座会代表幹事に就任。

銀座公式ウェブサイト「GINZA Offcial」 http://www.ginza.jp/

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