アフターコロナ ―広告コミュニケーションのこれから

COVER PICK-UP ART

「EVEREST」 写真家 石川直樹氏

 広告朝日29号「アフターコロナ ―広告コミュニケーションのこれから」のCOVER PICK-UP ARTは、写真家 石川直樹氏の「EVEREST」です。

『広告朝日』29号 表紙

 2つ以上の領域を掛け合わせて生み出されるものは、今までにない新しいものになる。それを体現しているのが、写真家の石川直樹さんだ。石川さんは、北極点から南極点への人力踏破や世界7大陸最高峰の登頂にも成功。世界最高峰のエベレストには2度登頂を果たし、エベレスト以上に難関と言われている世界第2位のK2の登頂にも挑戦している。国内外の辺境の地への旅を写真と映像で包括的に記録し、文章でも発表する。高所登山と旅、写真という3つの領域を掛け合わせた記録は、誰もなし得ていなかった表現であり、石川さん独自の芸術作品だ。「僕は、誰も通ったことがない道を開拓して登山をしているわけじゃなく、ノーマルルートで登頂しています。それは自分自身にとっては冒険ですが、前人未到の何かでは全くありません。だから僕は登山家でも冒険家でもなく、写真家なんです」

 旅と写真が生業となった石川さんのルーツは、読書だ。子どもの頃から冒険小説やノンフィクション、エッセ-など、さまざまなジャンルの本を読んでいたという。本に描かれている風景を見てみたい-。読書を通じて旅に憧れた石川さん初の一人旅は、中学2年生のとき。坂本龍馬の故郷である高知を訪ね、それをきっかけに国内を旅するようになったという。その後、高校2年生のとき親にはシンガポールに行くと伝え、一人でインドとネパールへ。並外れた行動力と好奇心の強さを想像できるエピソードだ。

 写真家としてのデビューは23歳のとき。北極点から南極点まで人力で旅する国際プロジェクトに参加し、1年間シャッターを切り続けた。その記録をまとめ写真展を2003年に開催。写真集や本も出版した。「このとき、朝日新聞社から36枚撮りのフィルムを300本提供していただき、写真を撮りまくりました。心が反応したらシャッターを切る。それができるようになったのは、この旅がきっかけです」

 長らく毎年旅を続けてきたが、今年は新型コロナ禍の影響で中断している。「旅の楽しさは、毎回新しい驚きと発見があること。日本での常識や価値観が当たり前ではないことに気付き、感覚がリセットされる」と石川さん。新型コロナ禍によって旅の在り方も変わる可能性がある。だが、それに応じながらも石川さんは旅を続けるのだろう。その記録から生まれる新しい作品を楽しみにしたい。

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クリエーターインタビュー
旅をしながら写真を撮る。未知の世界との出会いが面白すぎて、飽きることなど決してない 写真家 石川直樹氏

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