アフターコロナ ―広告コミュニケーションのこれから

コロナ禍の自粛ムードを少しでも前向きに クリエーターの想いに寄り添い、消費者の共感を集める

Creema
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「Creema(クリーマ)」は、手作りやクラフト作品を通販・販売できる日本最大級のハンドメイドマーケットプレイスです。運営元であるクリーマは、新型コロナウイルス感染症拡大による自粛ムードが高まるなか、4月4日(土)に朝日新聞朝刊で、「想いは、自粛しない。」のキャッチコピーが印象的な全15段広告を掲載。コロナ禍においても楽しい気持ちを持ち続けたいと願う読者から、多くの共感を集めました。

自粛ムードで暗い世の中を新聞広告で明るく照らしたい

2020年4月4日付 朝刊 1.0MB

 新型コロナウイルス感染症・緊急事態宣言が発令される前ではあったものの、コンサートやイベントの中止が相次ぎ、徐々に自粛ムードが高まりつつあった4月4日(土)。自粛の範囲がはっきりとしないなか、一つの答えを示すかのように朝日新聞朝刊に掲載されたのが、クリーマの「想いは、自粛しない。」の全15段広告だ。象徴的なキャッチコピーの周りを飾ったのは、クリーマで活躍するクリエーターの作品、その数337点。出稿の経緯についてクリーマの名古屋 考平氏は次のように語る。

クリーマ 名古屋 考平氏 クリーマ マーケティングDiv.
ゼネラルマネジャー 名古屋 考平氏

 「クリーマは4月4日・5日に、インテックス大阪で<Creema CraftParty2020(クリーマクラフトパーティー)>を開催する予定でした。しかし新型コロナウイルス感染拡大に伴い、出展クリエーターや来場者の皆さまの安全を最優先に考慮し、3月上旬の段階で中止を判断。出展費用やチケット代金は全額返金させていただきましたが、イベントに合わせて作品づくりに取り掛かっていらっしゃったクリエーターに向けて、我々としてフォローできることはないかと模索するなかで、新聞広告という形にたどり着きました」

 数あるメディアのなかでなぜ新聞だったのか。これについて名古屋氏は、「『新聞に出た』というのはそれだけで非常にキャッチーな出来事ですし、お墨付きを与えられたような感覚があるはず。クリエーターの方々に納得感や満足感を得ていただくのに、一定の効果があるだろうと考えました」と話す。

 クリーマは出稿に向けて、出展予定だったクリエーターへ向け、新聞広告を掲載する旨を告知したうえで、出展予定だった作品を手にのせた画像を募集。一方的にメッセージを発信するのではなく、クリエーターとともに作り上げる広告を目指した。キャッチコピーの「想いは、自粛しない。」には、クリエーターを応援する気持ちとともに、自粛ムードで暗い雰囲気が漂っていた世の中が少しでも前向きになればという願いも込めたという。

 掲載当日、InstagramをはじめとするSNSには、新聞紙面の画像とともに、「私の作品がここに載っています!」と発信するクリエーターの投稿が多く見られ、同時にクリーマのサイトにも「新聞に載ったのが嬉しかった」という声が多数、届いた。またSNSでは、クリエーター以外からも、「キャッチコピーがいい」「想いは自粛しないって言葉に励まされる」などの投稿が見られ、同社の狙いは概ね当たったと言える。共感を集められた点について名古屋氏は、「コピーライターのつくった強いメッセージが響いたことが一番の要因だと思うが、やはりタイムリーだったことも大きかった」と振り返る。新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況が刻一刻と変わっていくなか、「掲載時期には自粛ムードが強まり、生活にも大きな影響が出ているのではないか」との見立てはその通りとなった。今回のような世間の動き、ムードと呼応する形の広告では、時宜を得た展開ができる新聞広告の特性も寄与したと言えるだろう。

具体性をもった提案で生活者の課題にアプローチ

 新型コロナウイルス感染症の影響で世界経済は大打撃を受けている。しかし一方でECサイトの売り上げは急増。日頃は実店舗での購入を習慣にしていた人も、外出の自粛を余儀なくされ、積極的にECサイトを利用するようになったためでもある。クリーマも売り上げや新規顧客が増加しているそうだ。「我々のサービスは家で楽しめるモノ、家を素敵にするモノを扱っているため、『家で快適に過ごしたい』という生活者の想いが、売り上げ増加につながったのだと思います。手作りマスクや、フードのお取り寄せ、インテリア系の作品が人気でした」と名古屋氏。ただ当然ながら同社は、コロナ禍における売り上げ増加は一過性のものだと捉えている。見据えるのは、コロナがもたらした不可逆的な変化の先にあるニューノーマルだ。

 「今後、会社の方針が各社決まっていくなかで、リモートワークを推奨する会社も増えていくでしょう。そうなると家の中をより楽しくする、働きやすくするというトレンドは引き続き盛り上がりますから、クリーマとしてはコンテンツや出品を充実させることで、世の中の声に応えていきます。ただ『おうち時間』など、ふわっとした現象にスポットを当てても意味はないと考えています。『おうち時間』が増えることによって発生する課題にアプローチすることが重要。リモートワークだとオンとオフの切り替えが付きにくいと感じている人にアイピロー、自宅のイスだと腰が痛いと嘆く人にクッションなど、具体性をもった提案をつねに心がけています」

 最後に名古屋氏に、今後の広告コミュニケーション戦略について、そして新聞メディアに期待する役割について伺った。

 「クリーマはECサイトですから、基本的にプロモーションは相性のいいオンラインがメインになると思います。しかし会社としての節目にメッセージを届けたい場合は、オンライン以外のメディアも当然選択肢に入ります。その際は、認知の獲得をしたいならテレビ、にぎやかしがしたいなら屋外広告、ファンづくりがしたいならラジオ、というように各メディアの特性をうまく活用していきたいですね。そのなかで新聞は、『世の中ごと』に近いメッセージを出すのに向いているメディアだと思います。たとえば今回の広告でいうと、掲載日の紙面のどこかに、自粛をしなくてはいけないことを伝える記事があったはずで、だからこそ回答例の一つとして『想いは、自粛しない。』のキャッチコピーが機能したともいえます。このようにジャーナリズムとソリューションがセットになっているような広告の見せ方は、新聞でやるのがベスト。世の中の雰囲気という文脈があってはじめて成立するような広告を打ちたいときは、また新聞メディアの力を借りたいと思います」

 名古屋氏いわく、クリエーターの作品をオンラインで売買する場所の重要度はどんどん高まってきているそうだ。細分化する生活者の趣味・興味にどのようにアプローチするのか、クリーマの動きに今後も注目したい。

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