アフターコロナ ―広告コミュニケーションのこれから

医療従事者への感謝の気持ちを届けたい 創業以来受け継がれる企業姿勢を伝えるメッセージ

ナガイレーベン
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医療用白衣のリーディングカンパニー、ナガイレーベンは5月13日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために医療現場で働く医療従事者に向けて、感謝の気持ちを伝えるメッセージ広告を朝日新聞に掲載しました。新聞広告を活用したことで、医療支援を長年にわたって手掛けている同社の姿勢を、幅広いステークホルダーに届ける機会となりました。

本社にあるギャラリーと新聞広告の共通点

2020年5月13日付 朝刊 327KB

 ナガイレーベンは、医療用白衣の全国シェア60%超の最大手メーカーだ。1915年に白衣専門店「永井商店」として創業して以来、大手繊維メーカーと技術提携しながら、機能性はもちろんデザイン性にも優れた医療用白衣を開発してきた。現在は約370万人の医療・介護従事者に年間600万着以上のウエアや周辺商品を販売し、カラー・サイズを含めたアイテム数は数千種類にも及ぶ。医療市場に特化した製品の企画から製造・販売まで一貫して手掛け、高い信頼を得ている業界のパイオニアである。

 そんな同社は、5月13日付朝日新聞朝刊に全15段の広告を掲載した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと過酷な医療現場で懸命に働く医療従事者に対して、感謝の気持ちを伝えるメッセージ広告だ。新聞広告を掲載しようと思ったきっかけについて、ナガイレーベン 代表取締役社長の澤登一郎氏は、次のように話す。

ナガイレーベン 代表取締役社長 澤登一郎氏 ナガイレーベン 代表取締役社長
澤登一郎氏

 「私どもは、メディカルウエアの着用者である医療従事者の方々を通じて、医療の仕事を間接的に応援しています。まさに医療従事者の方々に支えられている仕事であり、日頃から医療従事者の方々に感謝しながら働いています。ですので、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために最前線で働く医療従事者の方々に感謝の気持ちを伝えたいという思いは、ごく自然に芽生えてきたことでした。その方法として、毎日読んでいる新聞広告を活用してみてはどうかという考えに至りました」

 その考えをナガイレーベンのブレーンを務めているデザイナーに伝えると、翌日に新聞広告の原案となるデザインが届いたという。メーンビジュアルは、実際に掲載した広告と同じ、クマの親子を描いたアーティストの宮嶋結香氏の作品だった。「仮のキャッチコピーが入っていたのですが、見た瞬間に心が揺さぶられました。これはやるしかないと、新聞広告の掲載を決めました」と澤登氏は振り返る。

 同社が医療従事者と寄り添う姿勢は、長年にわたって蓄積されたものである。その象徴の一つが、本社2階にある「いとなギャラリー」というナースのためのアートギャラリーだ。「いとな」という名称は、「命」や「生きる」の頭文字「い」と「ナガイレーベン」や「ナース」の頭文字「な」を組み合わせた造語である。

白衣などの歴史資料が並ぶ「いとなギャラリー」

 いとなギャラリーは2015年、創業100周年の記念に「ナースが自由にくつろげる癒(いや)しのスペース」として開設。年に4回ほどアート展を開催している。明治時代以降、実際に使用されていた白衣や薬棚、ミシンといった医療に関わる歴史的資料の複製や実物などを常設で展示し、看護関連の本や雑誌などを所蔵したライブラリーも併設している。5階には白衣の試着ができるナースルームがあり、そこを訪れた帰りに「いとなギャラリー」に立ち寄る看護師も少なくないそうだ。

白衣の展示・試着ができるナースルーム

 新聞広告のメーンビジュアルの作者である宮嶋結香氏は、当初7月からいとなギャラリーでも作品を展示する予定だったという。

新聞広告はステークホルダーに幅広く届く

 「新聞広告には社名をいれなくてもいいと思ったくらい」と澤登氏。医療従事者へのメッセージを最も際立たせたいという思いから、キャッチコピーは検討の結果、「あなたの勇気、忘れない。」に決定。自社のアピールは一切排除し、社名はできるだけ小さく配したという。その結果、余白をたっぷりとった、見る人たちの想像力をかき立てる印象的なデザインに仕上がった。

 新型コロナ禍において、医療従事者への感謝の気持ちは読者の多くが感じていることだ。また、不要不急の外出を自粛しながらも、日常生活を送ることができるのは、様々なエッセンシャルワーカーの存在があってこそ。そうした人とのつながりの大切さについては、世界中で語られるようになった。そんなタイミングで掲載されたナガイレーベンの新聞広告は、まさに読者の気持ちを代弁したものでもあった。

 実際に掲載される前、「広告の意図が伝わらないのではないかと、実は少し緊張していた」と澤登氏。たとえば、大変な時期なのに目立とうとしていると誤解されたりしないか葛藤があったという。結果として、広告掲載に対しネガティブな反応はなく、社内外からの評判もとてもよかったという。「最近少しずつ人との交流が始まりました。昨日も、5月に掲載されていた新聞広告を見たよと言われ、そうした交流の広がりを感じています」(澤登氏)

 医療従事者に向けたメッセージ広告を新聞で展開したことで、医療支援を長年にわたって手掛けている同社の姿勢を、幅広いステークホルダーに伝える機会にもなった。読者層が厚く、時宜を得た内容を全国に発信できるのは新聞媒体の強みでもある。最後に澤登氏はこう語った。「新聞広告を主体的に掲載するのは、今回が初めてでした。お世話になっている医療従事者の方々へ感謝の気持ちを伝えることはもちろん、株主や仕入れ先、繊維メーカーや地域の方々など、全国のステークホルダーにもメッセージを届けることができた。社員にとってもこの広告は誇りになったと思います。新聞広告の効果や可能性を実感できました」

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