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子どもたち一人ひとりの可能性を伸ばす学習法を世界に届けたい

公文教育研究会 代表取締役社長 角田秋生さん

 「個人別学習」と「自学自習」を特長とし、算数・数学、国語、英語の教室を展開する公文教育研究会。活動エリアは世界48の国と地域に広がっている。代表取締役社長の角田秋生さんに、活動内容や海外展開への思いなどについて聞いた。

 

角田秋生氏 角田秋生氏

──公文式学習法について、その成り立ちと内容を教えて下さい。

 公文式教育法は、高校の数学教師だった公文公(とおる)が、小学2年生の息子のために手作りした学習教材を原型としています。つまり、一人の父親のわが子への愛情から始まった教育法なのです。創始者・公文公は、教材を作る上で、二つの工夫をしました。一つは、子どもが自習で無理なく続けることができ、かつ着実に学習効果を上げていくような工夫。もう一つは、学年や年齢にとらわれず、自分の学力にあった教材を自分のペースで解く「ちょうどの学習」ができる工夫です。この二つを進めることで、学年を越え、学校ではまだ習っていない内容も解けるようになります。2学年、3学年分先へ進んでくると、子どもたちは自主性、積極性、挑戦力を身につけるようになります。また、学校の授業に難なくついていけるようになれば、読書やスポーツに時間を割くゆとりも生まれます。こうした考え方のもと、積み重ねの学習が生きる読み書き・計算に絞って教材を開発。教材の改訂を絶え間なく続けながら現在に至っています。

──日本を含め世界48の国と地域に教室を展開しています。日本の教育サービスがなぜそこまで広がったのでしょうか。

 世界を見渡すと、子どもの学力差や学習環境差を深刻な課題とする国は少なくありません。そうした中で、公文式学習法は、紙と鉛筆さえあれば年齢を問わず学習でき、高い基礎学力がつくとして高い評価を得ています。

 実は、海外での公文式は、すべて現地のオファーから始まっています。さかのぼると1974 年にニューヨークで算数・数学教室を開いたのが最初で、当初は生徒の大半が日本人駐在員の子女たちでした。それが、公文式の効果が表れるにつれ現地の子どもたちに広がっていったのです。親がわが子にいい教育を与えたいと思うのは万国共通なのでしょう。現在では北米・南米、アジア、オセアニア、欧州、中東、アフリカと、世界中で受け入れられ、現地の指導者による現地の子どもたちのための教育として定着しています。

角田秋生氏 角田秋生氏

──海外展開を進める上で大事にしていることは。

 国や地域によって、文化、習慣、人々の気質は様々なので、教室運営の細かいやり方まで日本の常識を押し付けるのはよくないと思っています。その一方で、公文の基本的な考え方を現地の社員や指導者一人ひとりに理解してもらう努力を絶えずしています。公文は、「われわれは 個々の人間に与えられている可能性を発見し その能力を最大限に伸ばすことにより 健全にして有能な人材の育成をはかり 地球社会に貢献する」という理念を掲げています。この理念に沿い、個人別に手間ひまをかけることの大切さを説いています。指導者にしてみれば、学年ごとのマニュアルがあったほうが楽かもしれません。しかし、それではダメなのです。公文は現在、世界6エリアにグループ会社を有しますが、3カ月に1度、各社の社長が集まる場を設け、理念や行動指針の共有にも努めています。

──社長自ら世界各地に足を運び、教室を訪問しているそうですね。

 東南アジアやアフリカなどの開発途上国では、貧困などを理由に勉強したくてもできない子どもがたくさんいます。学校にも満足に行けない子どもたちが窓の外に鈴なりになってうらやましそうに公文の教室をのぞいている光景も目にしました。兄弟姉妹の上の子から順に一人ずつ公文に通わせている子だくさんの家庭もありました。そうした環境下で公文の教室にやって来る子どもたちは、家族の期待を背負っているとの思いが強く、学習意欲が旺盛です。勉強できるのがうれしくて仕方がないという感じです。彼らの明るい未来を約束しているのだという気概を持って、どの国でも息の長い活動を続けていきたいと思います。

──学びの場をあらゆる世代に広げていますね。

 「親子のきずなを育み、伸びる子どもの土台をつくる」をコンセプトとする0〜2歳の親子対象の「Baby Kumon」、若い女性やご年配の方も通っている書写教室「公文エルアイエル」、認知症の改善や進行抑制を目指す「学習療法」を推進する「くもん学習療法センター」などを展開しています。子どもからお年寄りまで、生涯を通じて学ぶ喜びを伝え、学びを軸とした地域コミュニティーを創造し、地域社会に貢献していきたいと考えています。

──リーダーとして心がけていることは。

 トップダウンで物事を決めるのではなく、現場の声に耳を傾け、集めた情報を整理して再び現場にフィードバックする。そうした情報の循環がスムーズに機能するような組織作りに努めています。

角田秋生氏 角田秋生氏

──愛読書は。

 司馬遼太郎さんの『十六の話』です。特に、人間の生き方についてつづる「二十一世紀に生きる君たちへ」という章が心に残っています。『ノムさんの目くばりのすすめ 捕手型人間で成功する方法』も愛読書です。著者の野村克也さんの人材活用術や人材育成術に多くを学びました。その他、『知性を磨く』『武士道』『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』からも多くを学ばせていただいています。

 

角田秋生(つのだ・あきお)

公文教育研究会 代表取締役社長

1949年群馬県生まれ。大手印刷会社勤務を経て、79年東京公文数学研究会(現・日本公文教育研究会)入社。横浜事務局、社長室、チャイルド事業部長、事業開発室長を経て98年に書写教室を展開する公文エルアイエル代表取締役社長。2005年から現職。

※朝日新聞に連載している、企業・団体等のリーダーにおすすめの本を聞く広告特集「リーダーたちの本棚」に、角田秋生さんが登場しました。(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

広告特集「リーダーたちの本棚」Vol.65(2014年9月29日付朝刊 東京本社版)

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