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旅行業に加え、テーマパーク、ホテル、ロボットなど事業を多角化。世界のナンバーワン企業へ

エイチ・アイ・エス 代表取締役会長兼社長 澤田秀雄氏

 旅行大手のエイチ・アイ・エスが、世界市場を視野に入れ、事業の多角化を進めている。そのきっかけや今後の目標について、代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏に聞いた。

──昨年、12年ぶりに社長に復帰しました。その理由について。

澤田秀雄氏

 旅行業からスタートした当社は、長崎のハウステンボス、蒲郡の複合リゾート施設・ラグーナテンボスなどのテーマパーク事業、「変なホテル」を始めとするホテル事業、九州産業交通グループの事業、航空運送事業、損害保険事業、ロボット事業、電力事業、植物工場事業など、様々な領域へ事業を拡大してきました。ロボット、電力、植物工場は、ハウステンボスの再建にあたり、ランニングコストの効率化を進めるために創出した事業です。旅行業を専門にしてきた幹部には把握しきれない部分も多いので、総合的に見渡す立場の人間が必要だと考えました。

 旅行業のビジネス環境が大きく変化していることもあります。OTA(オンライン旅行社)の台頭に加え、ネットやスマホを介してホテルや航空会社に直接予約を入れる旅行者が増えています。成長を続けるためには、そうした新しい動きに対応していく必要があります。少子化が進む中、日本市場だけでなく、世界市場を見据えた戦略も必要になってくるでしょう。

 というわけで、事業の多角化と旅行業のてこ入れ、大きく二つの理由から、当面は社長を兼務していきます。

──主軸である旅行事業の展望について。

 日本からの海外旅行が伸びていませんが、私はまだ成長の余地があると思っています。というのも、人口5,000万人の韓国の年間海外旅行者数は2,000万人以上。1億2,000万人の日本は1,800万人程度です。社内努力はもちろんのこと、旅行業界全体で課題意識を持って販促や訴求に取り組んでいくことが重要です。

 一方、インバウンドは成長が続いており、アジア各国の発展とともにさらに伸びていくと見ています。当社としては、OTAの機能を備えるべくオンラインシステムを増強。その一方で、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどアジアの支店を拡充し、オンラインと店舗の両輪で新たなニーズに対応しています。

──旅行業におけるエイチ・アイ・エスの強みとは。

 当社は世界68カ国155都市272拠点(2017年10月現在)を有します。近年FIT(個人手配の海外旅行)が伸びていますが、当社で手配していただいたお客様は、旅先でお困りのことがあれば、現地支店を頼ることができる。旅の自由と安心の両立が当社の強みです。また、好調のインバウンドやクルーズ旅行の強化も図っています。一連の取り組みにより、再び2桁成長の軌道に乗り始めました。

──2010年にハウステンボスを子会社化しました。

 花と芸術とエンターテインメントの都としての魅力を高めていきたいと考えています。さらに、未来技術の実験都市、観光ビジネス都市としての機能を拡充しています。ハウステンボスはモナコ公国とほぼ同じ広さ。公的な規制に縛られない私有地なので、最先端技術の実証実験場として活用できるのです。ここでは、クリーンエネルギーを中心とした電源開発も行っています。植物工場も建設、農家の人手不足や食糧不足の解消につながる事業に育てていきたいと思っています。

──ホテル事業が伸びています。

 ロボットやAIを駆使して世界最高水準の生産性を目指した「変なホテル」は、5年先をメドに国内外100棟を目標に掲げています。ハウステンボスに併設する変なホテルは、開業当初、72室に対して約30人の従業員がいましたが、少しずつ効率化を図り、現在は7人で動かしています。ホテルの電力は、最先端の発電システムによって自給自足しています。ホテル名は、日々進化する先端技術を駆使し、お客様からの要望をもとに改良を重ねて変わり続けるという意味合いで名付けました。利便性やエンターテインメント性を追求するため、ロボットの開発会社も作りました。ロボットレストラン、宿泊客への医療など、立地に合った設備やサービスを付与していく計画です。

──リーダー信条は。

 将来の夢や目標を語り、社員が楽しく意欲的に働ける環境を作ること。そのためにアイデアを惜しみません。

──愛読書は。

 『史記』『徳川家康』など歴史物が好きです。また、安岡正篤さんの物の考え方がとても勉強になるので、その著書を複数冊読みました。

澤田秀雄(さわだ・ひでお)

エイチ・アイ・エス 代表取締役会長兼社長

1951年大阪府生まれ。大阪市立生野工業高校卒。旧西独・マインツ大学経済学部に留学。80年インターナショナルツアーズ(現・エイチ・アイ・エス)設立。2009年会長。10年ハウステンボス社長。16年11月から現職。

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(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

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