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人々のクオリティー・オブ・ライフの向上に貢献する製品を

第一三共ヘルスケア 代表取締役社長 西井良樹氏

 OTC医薬品(市販薬)、スキンケア製品、オーラルケア製品など多彩な商品ラインアップを抱える第一三共ヘルスケア。「セルフメディケーション」の重要性が増す中、どのような成長戦略を描いているのか。代表取締役社長の西井良樹氏に聞いた。

──OTC医薬品に対する期待やニーズが高まっています。

第一三共ヘルスケア 代表取締役社長 西井良樹氏 西井良樹氏

 超高齢化時代に向けた医療費の適正化が社会的な課題となる中、OTC医薬品の購入費用が一定の条件を満たせば対象となる「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が昨年スタートしました。軽い症状であれば市販の医薬品を利用するなどして、自分自身で健康管理や疾病予防を行う「セルフメディケーション」を国や業界全体で推進しています。OTC医薬品への期待やニーズの高まりは、こうした動きが背景にあります。啓発活動とともに、セルフメディケーションに寄与する製品を生み続けることが当社の使命だと考えています。

──製薬会社オリジンの研究開発力や、製品ラインアップの強みは。

 第一三共ヘルスケアは、製薬4社のBtoC事業が統合してできた会社です。各社に新薬系のバックボーンがあるので、オリジナルの成分から新たな作用を発見したり、スイッチOTC化したりと市場創造型の商品を提供できる。安全性や有効性のエビデンスもしっかり取っている。これが大きな強みです。

──看板商品の「ロキソニンS」をはじめ、商品ラインアップにおける今後の展望は。

 「ロキソニンS」は、2011年の発売以来、スイッチOTCの代表ブランドとして広く認知されています。発売後、胃にやさしい成分を加えた「ロキソニンSプラス」、頭痛への高い効果が認められた「ロキソニンSプレミアム」と、ニーズに合わせてエクステンション製品も生まれています。2016年には「ロキソニンSテープ」「ロキソニンSゲル」など外用薬シリーズの展開も開始し、「飲む・貼る・塗る」のラインアップがそろいました。外用薬シリーズのニーズはかなり高いので、積極的に情報を発信していきたいと考えています。

 近年はスキンケア製品やオーラルケア製品にも力を入れています。スキンケア製品の看板商品「ミノン」は、赤ちゃんからお年寄りまで安心して使える、敏感肌・乾燥肌向け固形せっけんとして1973年に誕生。以後、ニーズに合わせて液体ソープやヘアケア製品などエクステンション製品を充実させてきました。スキンケアのカテゴリーにおいても製薬会社ならではのエビデンスが強みであり、高付加価値商品として支持されています。

 オーラルケア製品は、「セルフメディケーション」の観点からも重要です。歯周病の影響は口腔(こうくう)内にとどまらず、全身に及ぶことが指摘されています。当社が貢献できることは多いと考えています。

──今後の成長に向けて、どのような取り組みに注力していきますか。

 2009年に発売した「ミノン アミノモイスト」は、デリケートな肌をいたわるだけでなく、キメやハリ、つやのある美しい理想の肌に導く基礎化粧品シリーズです。近年、このシリーズのインバウンド需要が急伸しており、この動きを追い風にしてアウトバウンドにも力を入れていきたいと考えています。中国では2016年から販売を開始し、売れ行きは好調です。ASEAN諸国でも展開を開始し、支持を広げています。

 成長に向けた取り組みとして、販売チャネルの拡充も進めています。一つは通販で、2015年にグループに仲間入りした高松市の化粧品通販会社のネットワークを軸に拡販を図っています。また、海外でも販売チャネルの開拓を進めており、ベストパートナーを見つけて商品を乗せていきたいと考えています。

──第一三共グループの中では、唯一のBtoC企業です。消費者との接点が多い会社として、マーケティングやコミュニケーションにおいて留意していることは。

 医薬品、スキンケア製品、オーラルケア製品、それぞれに共通しているのは、製品の特長や効果・安全性において取得した科学的な根拠を、お客様にいかに分かりやすくタイムリーに伝えるか、日々研究しているということです。

──今も心に残っている職務経験や、リーダーを務めるうえで糧になっている経験は。

 大学病院のMR(医薬品の品質や安全性などに関する情報を医師や薬剤師に提供する営業担当者)をしていた時に、深刻な病状の患者さんを多く抱える専門医の先生から「あなたに勧めてもらった薬のおかげで白血病のお子さんの命を救うことができた」と言われ、製薬会社で働く喜びを実感しました。あの言葉はずっと胸にあります。

 キャリアの中で最も多くかかわった製品は、1986年に発売した消炎沈痛薬「ロキソニン」です。MR時代は大学病院に通って製品の説明にあたりました。その後、ロキソニンのプロダクトマネジャーとして営業戦略の立案にかかわり、さらにロキソニンのライフサイクルマネジメントなどについて戦略を立てる仕事に携わりました。2006年に第一三共ヘルスケアに移ると、ロキソニンのスイッチOTC化に取り組み、2011年に店頭販売開始を見届けました。発売初日に薬局で「ロキソニンS」を買った時は感無量でしたね。

──リーダーとしての信条は。

 社員に三つの約束をしています。一つ目は、一人ひとりが自ら考えて行動する組織風土づくり。仕事に追われるのではなく、自らやるべきことを追いかけて先へ先へと手を打ち、「そんな手があったのか」「そこまでやってくれるのか」という成果を出せるような組織風土を目指しています。二つ目は、「現場」の意見を吸い上げる仕組みづくり。「現場」というのは、商品開発の現場、営業の現場、そしてもちろんお客様の声も含みます。現場の声を商品企画に生かすためのCS(カスタマーサティスファクション)推進部を昨年新設しました。三つ目は、社員を大切にする経営。当社の理念は、生活者満足度の高い製品・サービスを継続的に生み出し、より健康で美しくありたい人々のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に貢献すること。そのためには社員のQOLの向上が不可欠です。コンプライアンスの徹底、社員の健康増進、働き方改革などあらゆる面で留意し、QOLの向上に努めていきたいと考えています。

──愛読書は。

 農薬や化学薬品による自然破壊に警鐘を鳴らした名著『沈黙の春』です。大学時代はあちこちで無差別な農薬散布が行われていたため、関心を持って読みました。製薬会社の基本行動のバイブルになる本だと思っています。

西井良樹(にしい・よしき)

第一三共ヘルスケア 代表取締役社長 

1955年大阪府生まれ。78年岡山大学農学部卒。同年三共(現・第一三共)入社。営業職を経て、同ヘルスケア製品戦略部長。2006年第一三共ヘルスケア製品戦略本部長。取締役営業本部長を経て12年4月から現職。

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(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

広告特集「リーダーたちの本棚」Vol.110(2018年7月15日付朝刊 東京本社版)1.3MB


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