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誰にとってもわかりやすい「究極のマニュアル」を世界へ

グレイステクノロジー 代表取締役 松村幸治氏

 大手メーカーやIT系企業のマニュアル制作を手がける、グレイステクノロジー。今年8月に東証1部に上場、AIを搭載した「究極のマニュアル」やクラウドサービス「e-manual」の普及を目指している。代表取締役の松村幸治氏に聞いた。

──マニュアルを取り巻く環境について、お聞かせください。

グレイステクノロジー 代表取締役 松村幸治氏 松村幸治氏

 当社は1984年の創業以来、約1,800社、約25,000冊、600万ページ超のBtoB製品のマニュアル制作にあたってきました。この間、マニュアルを取り巻く環境は、進展するどころかむしろ後退している印象があります。というのも、IT化もあって製品はどんどん複雑化しています。おのずとマニュアルは分厚くなり、しかも技術の進歩の速さに合わせて時間のない中で更新していかなければならない。ところが、物書きのプロではない製品設計者や技術者に、マニュアルの制作を任せているメーカーが今も多いのです。これについて長く問題提起をしてきましたが、今年8月の東証一部上場を契機に社会の関心を高めていきたいと考えています。

──よく見受けられるマニュアルの問題点とは。

 当社はメンテナンスのマニュアルを得意としていますが、コンサル前のマニュアルは、難解な製品断面図がそのまま印刷されているだけだったり、文章の辻褄(つじつま)があっていなかったりと、わかりにくいものがとても多い。例えば、製品を分解して洗浄して組み立て直す、という作業をマニュアルで理解させることができないと、メーカーに問い合わせやクレームが入ることになります。BtoB製品は、日本の製品が海外で使われたり、海外の製品が日本で使われたりしますから、国をまたいでそうした問い合わせやクレームが行き来することになる。回答できるのは技術者だけなので、彼らが仕事を中断して説明しないといけない。場合によってはメンテナンスの人員を海外に派遣する必要も出てくる。いくらトップクラスの製品を作っていても、マニュアルのまずさでトラブルやクレームが多発すれば、ラインごと入れ替えられてしまう可能性も出てきます。

──グレイステクノロジーが提案するソリューションは。

 メーカーが制作したマニュアルを当社が書き直すと、厚さが何倍にもなります。製品パーツや作業手順を写真やイラスト入りで解説し、注意点や警告点も丁寧に記しているからです。多言語対応ですから、輸出においても、外国人に作業を任せる日本の現場においても有用です。

グレイステクノロジー 代表取締役 松村幸治氏

 タブレット技術の進展を受け、写真やイラストの他、動画や音声を駆使するようになりました。さらに私たちが目指すのは「究極のマニュアル」です。今年発表したAIマニュアル「グレイスビジョン」は、AIを搭載した専用メガネにAR(拡張現実)を表示し、音声と画像で誘導する「完全誘導型マニュアル」。誘導に従うだけなので、ページをめくる、文字を読む、工程を覚える、という労力なく作業ができます。声で質問もでき、搭載カメラが作業を記録しているので、誤りを指摘してくれたり、該当部品が認識されると光って教えてくれたりする。ベテランの技術者が隣で教えてくれるような感覚です。多言語に対応させることができ、通信機能を使って離れた場所にいる上司や仲間と作業の進捗(しんちょく)状況を確認し合うこともできる。作業員の教育時間の短縮につながり、事故防止や問い合せの減少にも貢献します。すでに実用化が始まっており、様々なメーカーから問い合わせをいただいています。

──クラウドサービス「e-manual」を展開しています。

 「e-manual」は、当社が構築したフォーマットに従ってテキストを入力するだけで、高品質のマニュアルを簡単に制作・管理できるクラウドサービスです。これにより、制作費の削減、業務の効率化、制作者の負担軽減を実現しています。

──今後の抱負は。

 実は、当社のクライアントは外資系企業も多くいらっしゃいます。今夏に上場がかないましたので、満を持して来年にはアメリカ法人を立ち上げる予定で、ナスダック上場も視野に入れています。また、ヨーロッパや東南アジアにもクライアントを抱えているので、究極のマニュアルを一気に広めていきたいと考えています。

──リーダー信条は。

 「変わらず、変わり続ける」ということでしょうか。先を走る競合がない中、常識にとらわれず、新しい試みを重ねてきました。変わることを恐れず、変わることを面白がっていけたらと思っています。

──愛読書は。

 1世紀以上前に書かれた自己啓発書『「原因」と「結果」の法則』は、仕事で悩んでいる時に読んでとても励まされました。藤田 田さんの『ユダヤの商法』にも多くの影響を受けました。

松村幸治(まつむら・ゆきはる)

グレイステクノロジー 代表取締役

1955年大阪府生まれ。翻訳会社勤務を経て84年に日本マニュアルセンター(現・グレイステクノロジー)を創業。2008年ウェールズ大学経営大学院(MBA)終了。日本翻訳連盟常務理事などを歴任。

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(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

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