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健康志向や少子高齢化など、社会の変化に対応できる店舗づくりを目指す

ローソン 代表取締役社長 竹増貞信氏

 「私たちは『みんなと暮らすマチ』を幸せにします。」という企業理念の実現に向け、商品・サービスの拡充や店舗のIT化を進めているローソン。代表取締役社長の竹増貞信氏に、「1000日全員実行プロジェクト」などの取り組みについて聞いた。

──ローソンに入社以前は、三菱商事で小林健社長(当時)の業務秘書を務めておられました。ローソンに入社した経緯について、教えてください。

ローソン 代表取締役社長 竹増貞信氏竹増貞信氏

 ある日突然、小林社長から「ローソンへ」と言われまして。私は初め、同じビルに入っていたローソンにおつかいに行くのかなと思ったんです(笑)。よくよく聞いたら、三菱商事を辞めて副社長としてローソンにいくという話。

 大変驚きましたが、ローソンの大株主である三菱商事とローソンの連携強化を図り、ローソンの企業価値を一層高めることが自分の役割ではないかと考え、入社を決めました。入社と同時に新浪さんは会長に、副社長だった玉塚元一さんが社長になられ、新体制がスタートしました。新浪さんからは「できるだけ多くの店をまわって現場の声を聞きなさい」とアドバイスを頂きました。それから数週間後に新浪さんがサントリーに移られることを知って「ええっ!?」となりました(笑)。とはいえ、「現場の声を聞く」という言葉にすべてが凝縮されていたと思います。玉塚社長は卓抜したリーダーシップと決断力を併せ持つ素晴らしい方だったので、私はその采配を現場に浸透させることに集中し、副社長としての2年間を過ごしました。

──社長として、「1000日全員実行プロジェクト」をけん引しました。

 少子高齢化による人手不足、コンビニ業界の再編、テクノロジーの進化など、事業環境の変化に対応するべくスタートさせたプロジェクトです。最新の情報技術の導入、多様化する人財に対応できる店舗オペレーションの開発、食品や日用品のラインアップの拡充などに注力しています。1000日と銘打ちましたが、1000日で終わるわけでは決してありません。キャッシュレス決済などテクノロジーの進化、人手不足、お客様のニーズの変化、いずれもプロジェクト発足当時の予想を超えるスピードで進んでいます。フランチャイズ加盟店のオーナーの皆さんはあらゆる変化に対応しなければなりません。そこで、この7月2日、店舗経営の相談窓口「ローソンオーナーほっとライン」を新たに設置しました。当社はこれまでにも、担当スーパーバイザーによる毎週の訪店時に加え、オーナー福祉会の理事会、エリア会、社長直行便など、加盟店からの意見や相談を聞く仕組みを構築してきましたが、未来の課題と常に向き合える態勢にブラッシュアップする必要があると思っています。

──食品ロス削減プログラム「アナザーチョイス」を開始しました。

ローソン 代表取締役社長 竹増貞信氏

 本来食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス」が大きな社会課題となっています。この削減のため、ローソンでは、AIを活用したセミオート発注導入による発注数量の精緻(せいち)化、鮮度管理の徹底による販売時間の延長、値引きによる売り切りオペレーションの推奨などを行ってきました。一方で、貧困問題も大きな社会課題となっており、厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査」によれば、およそ7人に1人の子どもが十分にごはんを食べられない状況にあります。

 「アナザーチョイス」は、消費期限の近い対象商品の購入が食品ロスの削減と貧困家庭の子ども支援につながる取り組みです。まずは6月11日から8月31日の82日間、愛媛県のローソン店舗(218店舗・2019年4月末時点)と沖縄県のローソン店舗(231店舗・同)で実施。今後はコミュニケーションにも力を入れ、活動の輪を広げていけたらと考えています。

──高齢化社会に対応する店づくりについても聞かせてください。

 健康志向や高齢化社会に対応するためOTC医薬品の販売を強化した「ヘルスケアローソン」や、薬・介護・栄養などの相談ができる店舗も始めています。お買い物のついでに気軽に相談ができるとして、地域のみなさんの交流の場にもなっています。

──海外展開の展望は。

 人口ボリュームのある中国や東南アジアを中心に、現地のパートナーとタッグを組んで店舗を増やしていきたいと考えています。大規模なショッピングモールが増えている一方で、小売店の近代化が進んでいないエリアも多く、最新のオペレーション機能や防犯機能を備えたローソンの店舗は、日本だけでなく海外でも求められていると感じています。

──リーダー信条は。

 社員一人ひとりの素質を伸ばせるような経営です。これは、松下幸之助さんの著書『人を活かす経営』から学んだことです。読んだのは三菱商事にいた30歳前後、当時の私はまだ血気盛んで、部下の欠点ばかりが目についていました。しかし、「人はダイヤモンドの原石のようなもので、磨き方いかん、カットの仕方いかんで、さまざまに異なる輝きを放つ」「人それぞれの素質が生きるような配慮が必要である」といった松下さんの言葉に触れ、社員の素質や価値を見いだし、それぞれが自分は輝いていると実感できるような職場環境を作ることがリーダーの役割だと気づかされました。

──愛読書は。

ローソン 代表取締役社長 竹増貞信氏

 先に触れた『人を活かす経営』と、小説では『流転の海』や『蒼穹の昴』の主人公たちに多大な影響を受けました。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)

ローソン 代表取締役社長

1969年大阪府生まれ。1993年大阪大学経済学部卒。同年三菱商事入社。2014年ローソン副社長に就任。16年6月から現職。

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(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

広告特集「リーダーたちの本棚」Vol.123(2019年9月16日付朝刊 東京本社版)1.3MB


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