トランスフォーメーションはカタチにできるのか

ソーシャルメディア時代の社会の風をブランドの追い風に

博報堂 統合プラニング局 チーフPRディレクター 本田能隆氏/ ライター・編集者・PRプランナー 中川 淳一郎氏/ ライター ヨッピー氏
左から中川氏、本田氏、ヨッピー氏

 博報堂のクリエイティブ部門・統合プラニング局からさまざまな領域の強みを持つメンバーが登場し、変化するビジネスニーズにどのように向き合い実行しているかを紹介するシリーズ「トランスフォーメーションはカタチにできるのか」。第2回は、同社チーフPRディレクターの本田能隆氏と博報堂出身のネットニュースの編集者でPRプランナーの中川淳一郎氏、人気ライターのヨッピー氏が登場。中川氏とヨッピー氏は、博報堂と業務委託契約を結んだことでも話題となっている。さらに、本田氏と中川氏、ヨッピー氏の3人は、昨年発足した「風の間(かぜのま)」というチームのメンバーでもある。その活動の内容とは。

──本田さんは「風の間」のリーダーも務めています。「風の間」とは、一体どういったチームなんでしょうか。

本田氏

本田:「風の間」は「社内外の有力な専門スタッフと連携した、ソーシャル時代のPRを得意とするチーム」と定義しています。発足のきっかけは、中川さんとヨッピーさんが博報堂と業務委託契約を結び、統合プラニング局に週1回、勤務されるようになったことです。中川さんやヨッピーさんのように、専門スキルを持った社内外の方々と緩やかにつながってチームワークを図ることで、得意先によりよい提案をしていくことを目指しています。

現在のメンバーは社内外あわせて10人ほど。Yahoo! ライフマガジン編集長の秋吉健太さんや編集者の菅付雅信さん、Buzzfeed Japan創刊編集長の古田大輔さんも、社外メンバーとして参加してくれています。社内のメンバーも有志が集まり、20代も多い。組織の中にいると視野やネットワークが狭くなりがちで、それに危機感を持っている若い世代は少なくないのだと思います。そのため、「風の間」は、統合プラニング局以外の社員も参加できる、開かれたチームにしています。

中川:組織名については、統合プラニング局の茂呂譲治局長も含めてみんなで相談しました。多くの方がアイデアを出してくれていたのですが、どれもかっこいい名前で・・・・・・。

ヨッピー:そうそう。どれも横文字でした。「博報堂」は字面も言葉の響きも「お菓子屋さん」とか「旅館」のような日本風なイメージがあって、横文字じゃないよねという話になったんですよね。それで、旅館の客室名の「○○の間」みたいなイメージで「風の間」に決まりました。

中川:最初は、博報堂 別館「風の間」だったけど、「別館」はふざけすぎだって却下されました(笑)。

ヨッピー氏

本田:風という言葉を使っているのは、中川さんが日頃から「社会の風を読む」という姿勢で仕事をされているからです。PRの仕事をする上で社会の風を読むことは、基本中の基本ですので、チーム名に「風」を冠するのは最適だと思いました。

中川:社会の風を読むことは、編集者として常に意識していることです。

ヨッピー:中川さんも僕も、ネットの沼にどっぷりつかっているので、「雲がかかってきたから明日は雨だな」と天気を予測して船のかじ取りをする船頭さんのように、ネットでの反応を基に、少し先の社会の動きを、なんとなく予測できる。それと広告制作を組み合わせてみようという考えです。「この書き方だと違和感を持つ人が多そうだけど、こういう風に変えれば大丈夫」といった細かいテクニックがあります。そういったネット特有の文脈が、広告業界の人たちには意外と浸透していない。

本田:ヨッピーさんに指摘されて考えてみると、確かにそういう目はあるなと気づく。とても勉強になっています。

オントレンドかオフトレンドか。ネットの反応を基に風を読む。

──社会の風を読むために、具体的にネットの何を見ているのですか。

ヨッピー:ある老舗のネットメディアの方と話していて、気づいたことがあります。それは、インターネットで、ある表現に一部の人から批判のコメントがちょこちょこついたとして、2年くらい経つとその表現に批判的な人が主流になるという流れがあることです。ただ、僕らも風を確実に読むことは無理。インターネットにどっぷりつかっていない人よりは、多少は分かるかなというくらい。社会の風を読む努力はしているけど、読めるとは思っていません。

中川:僕が参考にしているメディアは、2ちゃんねる。「2NN.jp」というサイトは書き込みの更新スピードが早いスレッドが集まるまとめサイトで、それを読むとネットでの関心事が一目瞭然です。僕は単に見るだけではなく、ずらっと並んだスレッドのタイトルから、コメントの流れを予測するというトレーニングを毎日やっています。記事を開いてコメントを読むと、たいてい予測は当たっている。1,000件くらいコメントがあったら、6割はチェックしています。

中川氏

ヨッピー:僕は自分がつくったサイト「ニュートピ!」をチェックしています。ニュートピ!は、今、Twitterでバズっているツイートと記事を網羅的に見ることができるサイトです。Twitterのツイートと記事をアルゴリズムで解析して、新聞社や通信社などが発信している「かたいニュース」と、それ以外の「ゆるいニュース」に分けて、ランキング形式で表示しています。それを見て、今、どんなことがTwitterでウケているかチェックしています。

本田:ある企業のサービスがオントレンドかオフトレンドか、どうすればオンにできる文脈があるのか。それを知る手掛かりとして僕らはまず、TV、新聞やネットニュース、SNSの内容等をチェックしています。この間も、あるサービスについて調べてみたら記事件数は増えていました。ただ、中川さんに聞くと、「今は、コロナ関連の記事しか読まれていないから、オフトレンドだと思う」というご意見だった。そのことを踏まえた上で企画を練り、プレゼンしました。そのため、得意先には「今はこういう状況だから」と確信を持って企画の意図を伝え、社会の好反応を得られる形で実現することができました。

中川:コロナ禍の今は、テレビCMのキャラクターに起用するならシニアよりも若い世代にすべきだとか、夜の街を連想させるものは避けるとか、色々ありますからね。

ヨッピー:中川さんはネットニュースを発信しているので、社会の風の変化を日々感じていますよね。記事がどれくらい読まれて、どれくらいコメントがつき、その内容はどんなトーンか。常に自分事として見ていることは、中川さんの強みの一つだと思います。

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