親だけでない、学生にも情報源となる新聞広告

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新聞広告は、子供を持つ親とのコミュニケーションだけでなく、子供(学生)本人にも有益な情報を提供できているのでしょうか。J-READとJ-MONITORの蓄積データを使って探りました。

学生のメインの情報源はスマートフォン

 J-READでは、様々な情報について、その入手媒体を尋ねている。

 図1は学生(中学・高校・大学生)の教育・進学情報の入手媒体を、新聞購読者と非購読者で比較したグラフである。情報源のトップは、どちらもインターネット(携帯電話・PHS・スマートフォン)で、半数が活用している。次いでテレビが4割弱と続く。

J-READ2018

 新聞は、購読者の2割が情報源にしている。新聞以外は、購読者と非購読者でほとんど差が見られない。

 学生にとって、新聞が他のメディアに代わる情報源ではなく、プラスアルファの情報源になっていることがうかがえる。

評価されている新聞広告

 では、新聞を購読している学生にとって、新聞広告から得られる教育や進学の情報は有益な情報となっているのだろうか。J-MONITOR定型調査の蓄積データを使って探った。

 使用したデータは、2011年4月から2019年8月までの朝日新聞朝刊に掲載された商品分類「学校・教育」の広告の定型調査データ(n=663件)である。

 表1は、「学生(中学・高校・大学生)」ベースで算出した定型調査項目のスコア平均を「全体」ベースで算出したスコア平均と比較した表である。「平均値の差」は学生のスコア平均から全体のスコア平均を引いた値である。

※使用したデータはJ-MONITOR定型調査データ(2011年4月~2019年8月 朝日新聞東京本社版朝刊 商品分類「学校・教育」の広告 n=663件)
※職業分類「学生(中学・高校・大学生)」ベースで定型調査項目のスコア平均を算出し「全体」ベースのスコア平均と比較
※「平均値の差」=「学生のスコア平均」ー「全体のスコア平均」。「平均値の差」をt検定で検定(有意水準5%)

 広告接触率(確かに+見たような)は、全体の方がスコア平均が高いが、広告理解度などの広告4評価はすべて学生の方が高くなっている。

  広告の印象についても、「センスがよい」「自分たち向けの」など、学生の方がスコアの高い項目が多く、総じて新聞広告に対する学生の評価が高いことが分かる。

他媒体にも接触し詳しい情報を得ている

 調査前企業(ブランド)認知状況は、「調査前認知(事業内容まで+名前は)」は全体の方がスコアが高いが、「事業内容まで知っている」のスコアは学生の方が高い。学生が大学などの情報を名前だけでなく、より詳しい情報を得ていることが分かる。

 広告による態度変容を見てみると、すべての項目で、学生の方が全体よりスコアが高く、「あらためて『広告主もしくは商品ブランド名』に注目した」の差が大きい。すでに知っている大学や予備校の情報に対しても、学生の注目度が高いことが分かる。

 他媒体での同一内容接触経験については、学生は「他媒体で見聞きした計」や「交通広告や屋外・店頭広告」「テレビ番組・CM」「インターネット」「ラジオ番組・CM」のスコアが全体より高い。学生が新聞以外のメディアからも積極的に情報を得ていることが分かる。

クロスメディアで新聞広告の効果アップ

 以上の結果から、新聞広告に対する学生の評価は総じて高く、新聞広告が学生にとって有益な情報源になっていることが分かった。

 学生は教育や進学に関する情報を得るため、インターネットを始めとした様々なメディアに接している。新聞広告の相乗効果をより一層高めるためにも、新聞以外のメディアも活用したクロスメディアマーケティングが欠かせない。

(朝日新聞東京本社 メディアビジネス局 マーケティング・ディレクター 真板 誠)


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調査概要

■2018年度全国新聞総合調査(J-READ2018)
調査地域: 全国47都道府県主要エリア
調査対象: 満15~74歳の個人
抽出方法: 過去調査対象者から抽出。不足分を「地点・個人」の多段抽出
調査方法: 調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効回収数: 12,242
規正標本サイズ: 80,178(推計人口に対応。単位:千人)
調査時期: 2018年10月21日(日)~10月27日(土)
調査主体: ビデオリサーチ
※標本サイズ(n数)はすべて規正標本サイズです

■J-MONITOR
調査地域: 首都圏【東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県】
調査対象: 調査対象地域に居住し、朝日新聞を朝夕刊セットで定期購読する15~69歳の男女個人
抽出方法: 新聞広告及びインターネット調査モニターパネルからの公募。応募者をJ-READの当該地域・対象者の性×年齢・職業・家族人数等の属性に従い割付
調査方法: パソコン・タブレット・スマートフォンを利用したウェブ調査
標本サイズ: 1パネルあたり約300人の複数パネルを交互に運用
実査機関・レターヘッド: ビデオリサーチ


◆PDFでもご覧いただけます
icon_pdf冊子『広告朝日』27号掲載 Data&Analysis(220KB)