企業・団体のSDGsへの取り組みをともに考え、発信 朝日新聞SDGs ACTION!

2020年10月に開設した全国紙初のSDGs専門WEBメディア、「朝日新聞SDGs ACTION!」。SDGsやサステナビリティに関する日本企業の取り組み事例や、有識者による解説など、次のアクションを起こすヒントとなる質の高い記事コンテンツを掲載。近年は企業のSDGs取り組み発信に力を添えるべく、イベントや研修も実践している。編集長の竹山栄太郎氏に話を聞いた。

 学生~若手ビジネスパーソンがサイトを訪れる

――「朝日新聞SDGs ACTION!」(以降、「SDGs ACTION!」)は どのような方に、どのようなシチュエーションで読まれていますか?

 主なターゲットは、SDGsやサステナビリティに関してアクションをしたいと思っている、若手ビジネスパーソンです。会社の中でも実務を担っているこれらの若い世代に対して、実用的な情報や気づきを提供することで、企業へアクションを促すようなメディアでありたいと思っています。

 実際の読者データでも、60%以上が35歳未満です。学生も多く、男女比はほぼ半々。平日の日中に特に多くの方にご覧いただいているのが特徴的です。仕事や勉強の中で「SDGs ACTION!」のコンテンツに辿り着いてくれているのだと分析しています。

朝日新聞SDGs ACTION! 媒体資料


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――SDGs ACTION!」の強みを教えてください。

 朝日新聞系列のメディアの中でも、SDGsに関しては突出した取材量と記事量を誇っており、月に約30本の記事を配信しています。何より専門メディアということで、より切り口を深く、広く持っているところが強みです。他にもSDGs関連メディアはあると思うのですが、その中ではトップランナーになりたいと思っていますし、実際に存在感を出せていると自負しています。

記事内写真①右寄せ

――どんなトピックスが読者から関心を持たれていると感じますか。 

 近年、企業が熱心に取り組んでいるのは、脱炭素、生物多様性、サーキュラーエコノミーなどの課題です。
 またSDGsの「誰一人取り残さない」というスローガンに基づいた、D&I(ダイバーシティアンドインクルージョン)も大切なテーマだと感じています。
 取り上げるトピックスに関しては、日本企業がまさに今抱えている課題の解決に寄与する内容であるかどうかを意識しています。

記事だけでなくタイアップイベントやウェビナー開催も続々

――イベントやウェビナーの実績も多数ありますよね。

 記事の配信だけではアプローチできていなかった方たちへ、どうしたら情報を届けられるのかが課題でした。そこで、2023年度からウェビナーの開催や、リアルイベントの企画に力を入れています。

――これまでの事例にはどのようなものがあるでしょうか。

 2024年3月には、「ERG(従業員リソースグループ)で進めるジェンダー平等」についてのイベントを開催しました。オランダに本社を置く人材サービス企業・ランスタッドの人事担当者と、ジェンダー平等に力を入れる住宅設備メーカー・LIXILの担当者をゲストにお招きし、両社のERG活動の様子や、女性も働きやすい会社づくりについて語っていただきました。参加者へのアンケートでは、「両社の具体的な取り組みや困難を聞き、たいへん参考になりました」といった声が寄せられました。

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2024年38日の「国際女性デー」に合わせて開催。登壇者と参加者の交流会も行われた

 環境保全団体の世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)とは、2023年から、「WWFと考える SDGsの実践セミナー」というウェビナーをシリーズで共催しています。WWFとのイベントでは、環境保全団体と企業という、時には利害が対立することもある異なる立場の方をお招きして、課題解決のアプローチについて一緒に考えています。参加者から「事例にもとづいた説明をWWF・企業側の双方から聞けてよかった」「生産地の現状がわかり、取り組みを知って共感できた」などの感想を伺いました。

 2024年9月1日「防災の日」に合わせて配信したタイガー魔法瓶の協賛企画「災害に強いまちへ、いま必要な自治体の備えとは」も話題になりました。2024年1月の能登半島地震を受けた、主に自治体の職員の方を対象にしたオンラインイベントです。防災力を向上するためにできることを、危機管理教育研究所の代表にお話しいただき、防災グッズとしても話題を集めるタイガー魔法瓶の調理器具「魔法のかまどごはん」の開発担当者にもご登壇いただきました。

――SDGs ACTION!が行うイベントとして、どういったところに特色があると考えていますか。

 参加した方には何かヒントを得て、次のアクションにつなげていってほしいという思いがあります。そのためできる限り現場に近い方をお招きし、「実務的に進めていくときにどのようなところが壁になったのか」、「何を工夫したらうまくいったのか」などよりリアルな話をしていただくことにこだわっています。

メディアならではの視点でコンサルタント的立ち位置にも

――専門メディアとしての知見を生かした研修もスタートされましたね。

 2023年12月には、愛知県名古屋市にある電子機器メーカーのダイコク電機にお伺いして、SDGsの視点を養う体験型社内研修をさせていただきました。
 「SDGs自分ごと化」というプロジェクトで、社員の方に「どうしてSDGsに取り組まなければいけないのか」や「先進企業の取り組み事例にはどういったものがあるのか」をお話しし、続いてワークショップを行いました。
 SDGsの取り組みを社内に伝え、広げていくためにどうしていいのか迷っている企業へ向け、日ごろ取材と発信で培っている私たちのSDGsに関する知見を、研修という新しい形でご提供できたのでは、と考えています。

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――研修は、社内には学びをもたらし、社外には取り組みをアピールしていく良い機会になりそうですね。

 企業は、自分たちのサステナビリティへの取り組みを発信し、情報開示をしていかなくてはいけない時代です。一方で、実態が伴っていないのにそうと見せかけるSDGsウォッシュにならない適切な発信を続けていく、というのはハードルが高いものです。

 そんな時は、ぜひ「SDGs ACTION!」も一緒に考えさせていただけたら幸いです。記事コンテンツでの発信はもちろん、イベントや研修などさまざまな角度から、よりインパクトのある発信のお手伝いをさせていただけるのではと思っています。

2030年を見据えマルチステークホルダーを束ねるハブ機能を

――今後注力される取り組みや展望を教えてください。

 ひとつに「マルチステークホルダー」があります。 どんなに先進的な取り組みをされている企業の方からも「自分たち1社では、SDGsの目標達成はできない」との声をお聞きします。これからは対立や競争の時代でなく、包摂と協働の時代かと思います。

 これまでライバルだった企業も、また企業×大学、企業×NGOのような異なる立場の方もサステナブルな社会の実現に向け一緒になって取り組んでいる。そのような事例により注目し、私たちがそのハブのような機能を提供できないかと考えています。

――202410月には関連イベントが開催されましたね。

 2024年10月9日には、「マルチステークホルダー未来会議」というイベントが行われました。9月下旬に行われた国連「未来サミット」の成果と課題の解説をしつつ、起業家とNPO、国際機関の駐日代表、そして若い世代の代表者、それぞれ異なる立場から、SDGs達成のためにどんなことが必要かをお話しいただくイベントでした。当日はさまざまなセクターや背景を持つ方にご参加いただきましたが、枠を超えて多くの方が時間を過ぎても会場に留まり、広く交流や議論をされる非常に熱い空間になりました。主催者としても大変うれしかったです。

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――目標達成のリミットとされる2030年まで、あと5年です。

 国連と連携する研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」が2024年6月に出したレポートによると、SDGsのターゲットで順調に推移しているのはわずか16%。日本の達成度は世界18位で、前年度の評価からは少しランクが上がっているものの、ジェンダー平等や気候変動対策など5つの目標については最低評価です。

 一方、国内のSDGs自体への認知度は9割を超えていると言われています。その中では「SDGs疲れ」のようなこともささやかれます。今、立ち止まらず目標達成へ向かっていくために、専門メディアとしてもっと多くの人に読んでいただき、貢献していかなければいけないと感じています。

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朝日新聞SDGs ACTION! 媒体資料

ユーザー属性やタイアップ事例などを紹介しています。

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竹山栄太郎(たけやま・えいたろう)

朝日新聞社のウェブメディア「朝日新聞SDGs ACTION!」編集長。2009年に朝日新聞社入社。京都、高知の両総局で勤務後、東京・名古屋の経済部で通信、自動車、小売りなどの企業を取材。2021年に「SDGs ACTION!」編集部に加わり、副編集長を経て2024年4月から現職。SDGs関連の取材執筆量は社内でも有数の第一人者。