SAMさん流ストレッチに約500人が笑顔
約500人の観客が椅子に座ったまま一斉に腕を伸ばしたり、リズムに合わせて足踏みをしたり。ゲストのSAMさんが壇上から「みなさんリズム感がいいですね!」と声をかけると、会場いっぱいに笑みが広がった――。
プログラムの一つ、「人生100年 カラダとココロの元気を保つ生き方」と題された講演での一コマ。TRFのメンバーであるSAMさんは、「体を動かすことで元気に過ごしてほしい」と、懐かしのヒット曲に合わせて踊る「リバイバルダンス」などを開発している。
講演では軽妙なトークを交えつつ、座りながらできるストレッチや運動を伝授。最後に「年をとって体は衰えるけれど、想像力や経験値は豊かになっていく。新しいことに興味をもってチャレンジすることが大切です」と呼びかけると、会場からは大きな拍手が送られた。
東京・府中市から来場した50代女性は「年を重ね、体のことが気になってきたので」参加。週1回ピラティスを行って体調管理に気を配っているが、「習った運動を生活にも取り入れたいし、母にも教えたいです」と笑顔で話していた。
協賛ブース、商品の認知から次のステップへの橋渡しに一役
講演会場の外では12の協賛ブースが展開。各ブースでは商品・サービスについて説明を熱心に聴く来場者の姿が多く見られた。
協賛企業の一つであるアートネイチャーは女性用ウィッグやヘアケア商品を展示するとともに、普段店舗で接客をしているスタッフを揃えて試着体験を実施。髪のおしゃれなどについてスタッフに尋ねようと、来場者が列をなす一幕もあった。
アートネイチャー広告宣伝部の中納礼課長は「新しいことをどんどん取り入れて楽しまれようとしている、知的好奇心が旺盛なお客さまが多かった」と振り返る。
テレビCMなどを見てウィッグに興味を持っていたものの、お店に足を運ぶまでには至らない……そんな方々と接点を持ち、スタッフの対応やウィッグを体験してもらうことで、お店やウィッグを気軽なものとして知って欲しい。
こうした思いから、アートネイチャーは2016年の第1回から協賛してきた。「前回のフェスティバルでブースに立ち寄られた後に、実際にお店を訪れてウィッグを購入された方もいらっしゃいました」と中納氏。認知から次のステップへの橋渡しに、ブースが一役買っているという。
さらに今回のReライフFESTIVALでは、プログラムの一つ、森山良子さんと清水ミチコさんのスペシャルトークショー「私のこと、あなたのこと。みんなの『今』を楽しもう」にも協賛。CMに出演中の二人はウィッグの愛用者でもあることから、トークの中で自然と「着けると自信がつく」などの感想を交わす場面もあった。「お二人が楽しんで使っていただいている様子が、お客さまにも伝わった」。このトークショーの終了後、ブースを訪れる人がさらに増え、トークショーがブースへの送客を促す形となった。
「大人の文化祭」リアルならではの熱気、来場者も協賛企業・団体も高い満足度
ReライフFESTIVALの特徴について、今回運営を担当したメディア事業本部シニア事業部・安富崇プロデューサーと同本部プランニング3部・坂井浩和次長は「コンテンツも協賛ブースも多彩であること」と説明する。(役職は二人とも2024年3月時点)
イベントの母体となる朝日新聞Reライフプロジェクトは、「子育てが一段落した」「定年退職を迎えた」などライフステージが大きく変わる50~70代を中心とする方々の暮らしを応援しようと、朝日新聞社が全社プロジェクトとして取り組んでいる。2014年に朝刊で「Reライフ」面がスタートし(2024年4月現在は毎週日曜日掲載)、ReライフFESTIVALは紙面から飛び出したリアルイベントとして始まった。
イベントの核となるプログラムでは、これまでに将棋棋士の加藤一二三さんや歴史学者の磯田道史さん、タレントの関根勤さん・麻里さん親子など、様々なゲストを招いてきた。今回も歌手のさだまさしさんや加藤登紀子さん、タレントの松本明子さん、小説家の今村翔吾さんらが登場。読者の反響を集め、参加申し込みは8680人を数えた。
これらのプログラムについて、安富氏は「テーマは美容や食、健康、文学から詐欺被害防止、実家じまいまであり、多種多様。しかしどのプログラムでも前向きになれるもの、元気になれるもの、そして役に立つものが揃っています」と話す。また、テーマが多彩であることが、好奇心旺盛な来場者の満足度につながっているという。
そんな注目度の高いReライフFESTIVALには、企業・団体も「プログラム協賛」と「ブース出展」を軸に、様々な形で参加している。
協賛プログラムでは、協賛企業・団体側が出演者をアサインするケースもあるが、キャスティングやテーマ設定などについて朝日新聞社がサポートすることもできる。「台本作りはもとより、ご相談に応じてプログラムの採録を紙面広告としてコーディネートすることも可能です」(安富氏)
一方の協賛ブースも、ファッション、食品、マネー、高齢者住宅などの不動産、旅行、健康機器など多彩な企業・団体が集まった。坂井氏は「人生100年時代を迎えてシニア層向けのマーケットは大きくなっており、様々な業種が注目しています」と説明する。
会場ではブースを巡るスタンプラリーを実施しており、今回全12のブースをまわった来場者は1000人近くに上るなど、関心の高さがうかがえた。来場者アンケートでは9割以上の方がブースについて「役立った」と回答し、「ブースが私たちシニア世代に特化していて楽しかった(女性・61歳)」「ブースで多くの新しい知識が得られた(男性・73歳)」など、高評価の声が多く寄せられた。協賛企業・団体からも「アクティブな来場者との直接のタッチポイントになり、とても大きかった」「200人以上の方に商品を体験してもらえた」など、好評を得ているという。「様々な業種の企業・団体に参加していただいていることで、ブースでも来場者のいろんな関心に応える構成ができています」と坂井氏。
一過性で終わらせないように企画をアレンジ
ReライフFESTIVALは1日限りのイベント。しかし一過性で終わらせないように企画をアレンジすることも可能だ。
今回のイベントでプログラムの一つとして開催され、作家の内舘牧子さんが特別選考委員として登壇した「Reライフ文学賞 授賞式」。文芸社が主催し、朝日新聞Reライフプロジェクトが共催するReライフ文学賞は、作品募集や選考委員の公募、授賞式や受賞作品の書籍化など、年間を通じて様々なタイミングで新聞紙上にも登場している。安富氏は「Reライフプロジェクトと継続的に取り組んでいただける企画の一環として、ReライフFESTIVALの場を活用していただくこともできます」と話す。
新しいものを知り、生活に取り入れようと行動する、熱量の高いアクティブシニアが集うReライフFESTIVAL。様々な協賛企業・団体に支えられ、来場者アンケートでは今回95%の方々から「内容に満足した」との回答が得られた。
春の風物詩へと成長を続けるReライフFESTIVALは、2025年も行われる予定だ。