40代、50代の女性のためのファッションブランド「DoCLASSE」と機能性を追求したシューズブランド「fitfit」。カタログ通販でスタートし、新聞広告を戦略的に活用しながら、近年では実店舗の出店も拡大しています。
カタログから買うもよし、リアル店舗に行くもよし
創業以来40代、50代を中心とした世代の女性をターゲットにしたファッションブランド「DoCLASSE」。その経緯についてDoCLASSE経理財務部部長の黒岩篤氏は「弊社社長の林恵子が『自分と同世代の50代前後の女性たちをフォーカスした、おしゃれで高品質だけどリーズナブルな洋服が少ない』と感じたことが出発点でした。かつての50代と違い、今の50代女性はとてもアクティブ。子育てから解放されたことで比較的金銭的に余裕があり、旅行や習い事、中には海外留学に挑戦しようという人もいます。ところが、アクティブに出かけていくシーンにフィットする洋服がない。そこでこの年代の女性をターゲットにした『DoCLASSE』を2007年、創業しました」
シューズブランド「fitfit」については「やはり林自身の経験から、外反母趾の悩みが増える世代の女性たちのために、人間工学に基づいて開発された足に優しい靴でありながら、高いデザイン性とリーズナブルな価格を実現したシューズブランド『fitfit』も展開しています。機能性を追求するため、あえて別ブランドとして立ち上げました」と言う。
「DoCLASSE」ではカタログやウェブの通販に加え、近年は実店舗も展開している。通販と実店舗の客層の違い、また通販と実店舗をどう連動させているのかについては、「いずれもターゲットとしている年代の女性客が中心で、明確な違いはありません。カタログをお送りしているお客さまも、カタログから購入するのではなく、商品をチェックした上で実店舗に足を運び、試着して気に入れば購入する、というケースが多いようです。この世代の女性たちは、カタログで洋服を買う習慣があるのは10人のうち1人か2人と、マーケットとしては非常に小さく、実店舗で購入するお客さまのほうが圧倒的に多いのが現状です」と説明する。
魅力的な商品とそれを伝えるクリエーティブがカギ
「DoCLASSE」では新聞広告を戦略的に活用している。新聞広告については「カタログを送るためには新規顧客にアプローチしなければなりません。50代を中心とした女性は新聞の購読層でもあり、ターゲットに届く広告媒体としてもっともふさわしい。それが新聞広告を活用する狙いです。さらに『お客さま』になっていただくためには、実際に商品を購入してもらう必要があります。新聞広告では、その時期にオススメの一品で、かつ買いやすい価格帯の商品を紹介。もちろん返品・交換は無料です。新聞広告で興味を持ったお客さまがまず一品購入し、次に届いたカタログを見て、実際にその商品に触れるために実店舗に来店する。そういういい循環ができてきていると捉えています。また、新聞広告に掲載している商品が気になり、実際に見てみたいと実店舗を調べて来店されるお客さまも少なくありません。そういう意味では、直接的な送客効果もあると見ています」
さらに工夫している点については、「かなり以前から新聞広告を活用していますが、効果がある広告とそうでない広告がある、というのが実感です。効果がある広告には、二つの要素が必要と考えます。一つは商品に魅力があること、もう一つはその魅力をきちんと表現するクリエーティブであること。そこで、価格も含め、どの商品、どんな色や柄などがお客さまの心をつかむのか、さらに、どんなクリエーティブが伝わるのかを調査し、何種類か作って地方版など地域限定で出稿してみます。そして、『この商品をこのクリエーティブで出すと反応がいい』とわかった広告に絞って全国版に展開します。弊社ではこれを『テスト・ロールアウト』と呼び、徹底することで新聞広告の効果を高め、効率的な広告費の使い方ができると考えます。そのために、どの商品を選ぶのか、どんなスケジュールで出稿するのかは、年間単位で厳密に管理しています。こうした取り組みの結果、新聞広告に関しては、今年度前期は前年比の4倍のリターンを獲得できました。さらに、新聞広告を見て来店される方も多いので、同じ商品を実店舗でもオススメ商品として店頭で大々的にディスプレーし、連動感を持ってアピールしていきます」と黒岩氏は語る。
最後に、今後のコミュニケーションの展望について聞いた。「拡大期にある弊社ではこれまで、売り上げにつながりやすい商品を軸としたコミュニケーションが中心で、ブランディングという観点ではあまり取り組んできませんでした。単に40代、50代のためのブランドではなく、この世代の女性たちがよりアクティブにおしゃれを楽しみ、実年齢でいきいきと輝ける洋服を作りたい──。今後は、そのコンセプトを伝えていくようなブランディングのコミュニケーションも展開していきたいと考えています」