今年40周年を迎えた日本マクドナルド。「Beyond 40 MAKE WOW」というスローガンを掲げ、さまざまなメディアを通じて新メニューのキャンペーンなどを展開している。また、ここ数年は企業広告にも注力している。メディア戦略や昨今のコミュニケーションについて、同社マーケティングPR部 統括マネージャーの萩原和之氏に聞いた。
新規顧客獲得を目指し企業広告を充実
――広告展開の重要性をどうとらえ、実践していますか。
日本マクドナルドでは、年間60~70ものキャンペーンを実施しています。その告知を全国均一に展開するというのが広告戦略の基本で、活用メディアの中核に据えているのはテレビCMです。また、全国3,300店舗、並びに店舗が掲げる「M」のサインも重要なメディアととらえています。店舗までの生活動線も確実におさえ、電車移動の多い首都圏では電車周りの交通広告を、車移動の多いローカルではラジオCMを重点的に展開するなど、エリアに応じた広告投下を行っています。
――デジタルメディアも積極的に活用しています。
モバイル会員限定のクーポンや情報を提供する「トクするケータイサイト」を設置、現在2,000万人近くの会員を有します。一部店舗ではニンテンドーDSを接続できるインフラを整え、独自コンテンツやDSソフトの体験版を配信し、親子層の集客増をはかっています。
――生活者のメディア接触のあり方を見つめる中で、活用メディアの変化は。
前述のさまざまなコミュニケーションは、主に来店頻度を高めるための施策です。一方で、ほとんどマクドナルドに足を運ばない人もいます。そうした人に1カ月に1回でも来店してもらいたいとの思いから、ここ数年力を入れ始めているのが企業広告です。商品を作り置きせず出来立てを提供したり、店舗デザインに工夫を加えたり、社会活動を行ったりと、ブランド全体が進化してきたことも背景にあります。
一昨年に始めたのが長尺のラジオCMで、通常のキャンペーン訴求とは別に、ビッグマックやマックフライポテトなどレギュラーメニューのおいしさや品質へのこだわりを伝えています。さらに昨年、朝日新聞元日別刷りスポーツ特集(第3部)でラッピング広告を展開。反響の大きさふまえ、今年の元日も打ち出しました。
マス広告でファンを作るコミュニケーションを
――元日別刷りスポーツ特集の概要とねらいは。
“MAKE WOW”という新しいスローガンに込めた思いや弊社トップからのメッセージ、食育事業や病気の子どもを支える活動、社員の育成や夢の実現を目指す「オール・ジャパン・クルー・コンテスト」「ボイス・オブ・マクドナルド」など、多岐にわたる取り組みを紹介しました。こうした多くの企業メッセージを一度に伝えるなら、じっくり読んで理解を深めていただくことができる新聞というメディアは、とても重要です。特に元日は閲読率が高く、スポーツ記事のはつらつとしたイメージとの連動をはかることもできました。
新聞広告に期待するのは、新規顧客獲得ばかりでなく、インナーのモチベーションアップもあります。元日には、別刷りもマクドナルド全店に配りました。当社の販売経路は店舗のみで、お客様とのきずなづくりは3,300店舗で働く社員やアルバイトの接客にかかっています。彼らがマクドナルドの活動を深く知れば、職場や商品に誇りを持ってもらえると考えています。実際、新聞広告を見た店員から「こんなすばらしい取り組みをしていたんですね」という声がたくさん届いています。
――ソーシャルメディアが注目される中、マス広告に期待する役割とは。
新聞について言うと、元気な企業イメージを印象づけたり、プロモーションの転換期を印象づけたりする力は依然大きいと思います。ソーシャルメディアに関しては、当社もウェブサイトやモバイルツールを通じてさまざまな取り組みを行っていますが、マス広告での展開が前提にあってのソーシャルメディアです。というのも、当社は、比較的短いスパンで次々とプロモーションを打ち出していくビジネススタイルなので、ソーシャルメディアだけでバズを増やしていくような手法では時間的に間に合わないケースもあります。一方で、メニュー情報を中心として、お客様が継続的にソーシャルメディアで盛り上がっていただけるようになると、ブランド力はさらに底支えされ、継続的に強化されていくと思います。そういう意味で重要になってくるのがファンを作るコミュニケーションで、企業広告はその役割も担えるのではないかと考えています。
――今後の取り組みについて。
目下展開中のプロモーションは、昨年大好評を得たシリーズの第2弾「ビッグアメリカ2」キャンペーンで、1月7日から3月中旬まで4種類のハンバーガーを打ち出していきます。さらに40周年を迎えた今年は、40年を超える新しいメニューやおいしさ、居心地のいい店舗、便利なサービスなどを提供し、“WOW!”と喜んでもらえる企業を目指して活動まいります。
元日別刷りスポーツ特集