2007年8月に発行されて以来、39刷170万部を売り上げたベストセラー『夢をかなえるゾウ』。2008年10月からはテレビドラマの放映が始まり、映画化も決定した。関西弁を操るおかしな象の神様が登場する抱腹絶倒の自己啓発本である。版元の飛鳥新社出版部副編集長の畑北斗氏と営業部係長の沼田洋介氏にお話をうかがった。
── 本が生まれるまでの準備期間は長かったそうですね。
著者の水野敬也さんは2003年、自らを『ミズノンノ』というキャラクターに見立て、ファッションリーダーになるとネット上で宣言して、自分の洋服を全部燃やしてしまった。これは随分ユニークで面白いことをやる人だと思って、コンタクトを取ったのが発端です。いろいろな自己啓発本を読み込んでいた彼は、それぞれにいいことが書いてあるのに、レベルが高くて実践するのがなかなか難しいものが多いと感じていた。そこで誰でもできる成功法則のバイブルを作ろうということになりました。2004年から2年くらいで200ほどの法則を完成させました。ところが、それをいかに本にして、心に響かせるように伝えられるかがなかなか浮かばない。その時、「神様が薫陶を垂れるような、ナンセンスな絵本をいつか出せたら」と水野さんが言い出し、「水野さん、それだ!」と。
── それで、象の神様「ガネーシャ」が誕生した。
関西弁であんみつ好き、たばこ好きの変な神様が、選えりすぐりの30の法則を主人公に実践させていく、小気味よく展開していくストーリーが仕上がりました。内容にあわせて表紙には思い切って象のイラストを採用しました。
── 反響は。
いくら装丁がこれまでにはないユニークでやわらかなタッチのものでも、内容は自己啓発本なので、当初は男性読者をメーンに据えていました。しかし実際には女性の読者も多く、最近では女子高生の間でも評判になっているようです。
売れるのは、いいコンテンツであればこそ。いいものはクチコミで広がっていって女性に読まれ、結果、ベストセラーになるのだと実感しています。
── 具体的な販促活動は。
本を世に送り出してからスタートしました。まずは関西エリアの書店さんが面白がって下さり、売れ始めは関西圏で突出していました。15万部売れたところで、水野さんと全国行脚の旅に出て、3週間で約300の書店を巡りました。著者が通常行かないようなところも行こうと、水野さん自身がノボリを持って回るほど力を入れました。
── 新聞広告の展開について。
表紙のイラストとともに書店のコメントや読者の感想などを広告内容に盛り込んだところ、大きな反響がありました。また、テレビドラマ化が決定した時点での新聞広告にも手応えがあり、新聞広告の影響力の強さを感じています。