taspo(タスポ)は、未成年者の喫煙防止に向けた取り組みのさらなる強化の一環として開発された成人識別ICカード。2008年3月より順次稼働が開始され、7月には全国稼働となった。このキャンペーンを担当した日本たばこ協会未成年者喫煙防止対策室主任の小澤博之氏に、キャンペーンの狙いやコミュニケーションについてうかがった。
── キャンペーンの背景にあったことは。
未成年の喫煙防止は、社会全体で取り組むべきテーマであり、たばこ業界はこれまで様々な取り組みを行ってきました。taspo導入を機に、その意識が広がっていくことを期待しています。
2004年に鹿児島県・種子島で導入検証を行うなど、準備を重ねました。また、キャンペーンを全国に広げるにあたり、たばこ販売店や行政の方々との様々な調整も行っています。
── どのようなコミュニケーションを展開されたのでしょうか。
全国に順次、導入していきましたが、稼働のタイミングにあわせてエリアごとに新聞広告を展開しました。taspoへの認知をしっかりと確立するには、活字を読んで理解し、メッセージが頭に残る新聞は適しています。また、新聞の主な読者層である成人にアピールできるとも考えました。
このキャンペーンは社会的な取り組みでもあるので、公共性の高い新聞で展開するのが適していると思います。新聞で広く伝えるとともに、各エリアの稼働の直前にテレビ、ラジオも使い、集中的に訴求しました。全国でtaspoカード「即時発行バス」イベントも開催。イベント会場には、各媒体社の方に取材に来ていただけることが多いのですが、そういった効果も狙いました。
──このキャンペーンの効果は。
taspoという言葉に対する認知は、早い段階で90%を超えました。7月の首都圏での導入に伴い、発行枚数が約700万枚、申し込み意向も高まっています。さらに保有を増やしていくために、2,000店ほどのたばこ販売店の協力のもと、その場で顔写真を撮りカードを発行するなど、申し込み手続きをしやすくしています。
── 今後はどのような活動を行っていきますか。
これまでは、taspoへの認知を形成するための広告展開でしたが、今後は、全国一律のコミュニケーションを行っていく予定です。taspoを“当たり前の存在”に育てていくためには、たばこ販売店や行政が一丸となって草の根的な活動を展開する必要があります。これからは売る側と喫煙者のモラル、そして大人としての認識の向上を主眼とした啓発活動を、各方面の協力を仰ぎながら行っていきたいと思います。