“環境先進企業”としてのオンリーワンを目指し長期にわたり継続的に取り組みを伝える

 エコロジークラスでいきましょう」というスローガンのもと、一貫したポリシーを持って環境への取り組みをしてきたシャープ。コミュニケーションに関してもその考え方は同じで、2004年2月以来、毎月末の日曜日に、同社の地球環境保全の取り組みを紹介するシリーズ広告を掲載、今年3月で50回を迎えた。「液晶アクオスは、画面が大きくなっても、やっぱり省エネルギー」「シャープの太陽電池が、屋根の上以外でも大活躍しています」などのコピーと優しいタッチのイラスト。このロングラン広告の誕生や経緯を中心に同社の環境コミュニケーションについて、ブランド戦略推進本部宣伝部長の伊藤正裕氏にうかがった。

毎月末日曜に広告掲載読者にじっくりと訴求

伊藤正裕氏 伊藤正裕氏

── 環境への取り組みについてお聞かせください。

 当社は2004年の企業ビジョンを「環境先進企業」と定め、「2010年 地球温暖化負荷ゼロ企業」という目標を宣言しました。

 「液晶のシャープ」のイメージは強いと思いますが、実は太陽光発電への取り組みも来年で50周年になります。つまり、主力の「液晶」ではそれまでのブラウン管に比べて消費電力削減という意味で省エネルギーを、「太陽光発電」では創エネルギーを実現しているわけです。併せて、「スーパーグリーンプロダクト」や「スーパーグリーンファクトリー」といった厳しい社内基準を設け、商品はもちろん、工場の仕組みや材料、梱包(こんぽう)、物流に至るまで、全社的な取り組みを続けています。2010年に稼働予定の堺工場では、年間1ギガワットもの発電量の太陽電池を作ることができます。

── 環境シリーズ広告を始められた経緯をお聞かせください。

 始めたのは、04年の2月です。こうした全社あげての取り組みの内容を継続的にお知らせし、“環境先進企業”としての“ブランドの顔”を作っていこうと考えました。環境というと難しくなりがちですが、できるだけ分かりやすく表現し、消費者に身近に感じてもらえるようにしています。

── 狙いやこだわった点は。

 とにかく、短期集中的なキャンペーンではなく、長期継続的な展開にするべきだと考え、初めから毎月1回、3年間は続けるつもりでした。日曜日に掲載しているのは、環境に関するテーマを小学生からおじいさん、おばあさんまで家族全員で読んで話題にしてほしいと考えたからです。

 また、必ず特集記事「環境ルネサンス」の対向面に掲載しているのもポイントです。今でこそ環境特集を多く目にしますが、4年前、環境の特集記事を掲載していたのは朝日新聞だけでした。毎回、見開きで環境に関する話題を読者が目にする仕掛けにできたことは、意義深いと思います。

実績語れる媒体で企業理解を深める

── 環境コミュニケーションにおける新聞の役割は。

 私たちの考えを、継続的にしっかりと伝えるのに、新聞は最適です。テレビだと時間が限られていますから、どうしても商品中心の話題になります。

 新聞は基本的に読み物ですから、納得してもらえる中身や、裏づけを出して説得力を持たせることができます。ですから、環境に関する一般的なテーマではなく、具体的な取り組みや実績を語ることで、会社の考えや行動を理解してもらうことにつながります。

 さらに、小学生にも伝えたい内容ですから、朝日小学生新聞にもすべての漢字にルビをふって掲載しています。環境を今のような状況にした私たち大人には、将来を担う子どもたちに対する責任がありますから。

── 反響は。また、この4年間で変化は感じられますか。

 広告への反応は掲載当時から、「営利目的でない感じがいい」「シンプルで読みやすい」と好評でした。半年ごとのイメージ調査でも、着実に認知度が上がっています。狙いどおりに浸透していると思います。また、『ニューズウィーク』誌の今年2月13日号でのCSR(企業の社会的責任)世界350社ランキングでも2位になりましたが、その中でも、環境に関する取り組みが高く評価されています。

 さらに、社内報の裏表紙にも広告と全く同じものを掲載しています。社員は、月末の新聞紙上に載ったものを、翌月上旬に発行する社内報でも見るわけです。会社が言っていることと、自分たちの行動が一致していなければならない、とその度に意識する仕組みです。

 4年前は、世の中の環境への関心も今ほど高くはありませんでしたが、私たちは長期的な視点から、具体的な取り組みをスタートさせ、流れを作ってきました。きちんと語れる商品や技術がある。シャープだからこそできる、言える“環境オンリーワン”を伝えてこられたと思っています。

── 今後の展望をお聞かせください。

 環境については、どこか一社が飛び抜けたり、一人勝ちしたりするものではなく、全企業が取り組み続けなければならないものです。

 幸いなことに、50回を過ぎても話題に困ることはなく、次々に新しい技術、商品、取り組みが生まれています。これからもシャープの“環境オンリーワン”にこだわり、メッセージを発信し続けていきたいですね。

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毎週末日曜日の特集記事「環境ルネサンス」の対向面に広告を掲載