住友林業総務部広報グループマネージャーの佐野惣吉氏に、環境に対する理念や取り組みをうかがった。
本業の発展が直接環境に寄与できる
── 環境への取り組みについてお聞かせください。
当社の創業は今から約300年前の1691年(元禄4年)です。100年単位で木を植え、育て、伐採して加工し、木の家をつくるなど、一貫して木に関するサービスを提供しています。最終的に切った分の木がまた森に戻るまでのサイクルを考慮した循環型事業を、永々として続けています。長い時間軸の中で持続可能な、いわゆる「サステナブル」なビジネスモデルです。
1950年からの高度経済成長期には、アジア材の取り扱いを開始し、70年代にはインドネシアに進出するなど、木材の取り扱いとしては早い段階でグローバルに展開。地域とのつながりを強め、92年には同国で「熱帯林再生プロジェクト」をスタートさせました。地域の人々と協力しながら、荒廃した熱帯林に木を植え、森を再生。今ではオランウータンも戻っているようです。
当社の事業のユニークな点は、本業の発展が、直接環境に寄与できる、ということです。当社は「住友精神」でもある、「社会を利する事業を行う」という経営理念を持っていますが、昨今、環境問題が取りざたされているから、と改めて何かを始める必要はなく、300年余り守り通してきた本業の姿勢を貫くことが、社会的責任や環境保護につながると確信しています。
── コミュニケーションの戦略は。
2005年度から3カ年計画で、シンボルキャラクター「きこりん」を起用したキャンペーンを展開中です。「住宅メーカー」のイメージが強く、300年以上の歴史や、国土の1,000分の1の山林を所有するなど、正しい姿が知られていません。「きこりん」を使うことで、新鮮な違和感を感じてもらい、当社にもっと興味を持ってもらえれば、と考えました。「サステナブル」を軸に、新聞、テレビ、雑誌とクロスメディアで展開し、さらに深く伝えたい内容についてはウェブに誘導するという動線を用意しました。
また、広告と同時にダイレクトなコミュニケーションの場として、主に子ども向けの「夏休みエコロジースクール」を開催しています。当社の木や森、木の家のプロによる体験型の授業です。こうした活動を通して、当社のファンとなって支持いただくことが、結果として環境保護につながり、そして私たちは収益という恩恵を受けることができる。これもまた、サステナブル企業を実現する構図ととらえています。
──コミュニケーションをするにあたり、新聞に期待することは。
新聞それぞれが持つ個性や読者層の違いを勘案したうえで、広告出稿しています。ターゲットを見据えたコミュニケーションを展開するためにも、各紙が培ってきた個性を、今後も大切にしていってもらいたいと考えています。