昨年10月に創立125周年を迎えた早稲田大学が、創立記念日とその前日、新しい時代に向けた大学改革の内容を、朝刊8ページにわたって伝えた。広報室・広報課長の村上裕二氏にお話をうかがった。
三つのテーマを軸にイメージを刷新
建学の精神に基づくアイデンティティーを明確化し、現代の感覚で伝えていくことだと考えています。周年の節目に宣言したのは、地球社会に貢献できる人材、人類が直面している課題を解決できる人材の育成です。これを教育・研究・国際化という三つのテーマでくくり、「第二の建学」として標榜(ひょうぼう)しました。
──広告表現で心がけたことは。
早稲田大学は、知名度が高い反面、「バンカラ」「マスプロ」「放任主義」といった時代錯誤なイメージを払拭(ふっしょく)できていません。他方、学生や親、教師や企業からは、透明性や、物事を単純化して示す配慮が求められています。実態が明快に伝わっていなければ、共感を得られません。そこで、少々文字が多くなっても詳細な情報を届けようと決めました。また、新たに開発したUI(ユニバーシティ・アイデンティティー)システムにより、新しい早稲田のイメージを打ち出すことにしました。
──新聞広告の訴求ポイントは。
入試広報と一線を画し、卒業生、教職員、現役早大生とその保護者を含む社会一般を対象に、「第二の建学」で目指す大学像ときめ細やかな教育プログラム、少人数英語教育や国際教養学部といった新しい早稲田を象徴する具体的な取り組みについて記事体で伝えました。
──広告の反響は。
大きな広告キャンペーンは、卒業生などから「その余裕があるなら教育環境を充実させて」とお叱しかりを受けることもありますが、今回はそうした声がひとつもなく、「先進的な授業内容に共感した」「自分が在学していた時から随分進化しているので驚いた」といった好意的な意見が多数寄せられました。
──コミュニケーションの重要性について改めて感じたことは。
早稲田大学は優れた教育環境を持ちながらも、世の中にうまく伝えることができていなかったということです。今回のキャンペーンをきっかけに、早稲田の真の姿を知っていただくことで、大学の再評価が進むことを期待しています。
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