ユニリーバは、9月10日付朝日新聞の大阪本社版朝刊に、スポーツ新聞を模した全15段の記事体広告を掲載した。阪神タイガースとのタイアップキャンペーンの一環で、広告を掲載した前日には阪神甲子園球場で開催した阪神タイガース対読売ジャイアンツ戦の1日限りの冠スポンサーも務めた。試合当日の模様は「ニュースアド」として翌日の新聞広告に盛り込み、臨場感のある記事体広告として話題となった。
エリアに合わせてターゲットを絞り、ブランドの認知を広げる
「CLEAR」は、世界47カ国以上で販売されているシャンプーとコンディショナーのブランドだ。「CLEAR for Men」は、男性用シャンプーの売り上げで世界第1位(注)を誇っており、日本では2014年4月に販売を開始した。メーンターゲットは30~40代の男性で、世界共通のイメージキャラクターはクリスティアーノ・ロナウドさん。テレビCMも展開している。
「日本では新しいブランドなので、まだまだ認知を広げる必要があります。その方法として、エリアを絞ったコミュニケーションも実施しています」
そう話すのは、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの鈴木加純氏。エリアごとに施策は異なるが、関西ならではの施策として、阪神タイガースとのタイアップキャンペーンを展開。9月9日に阪神甲子園球場で開催した阪神タイガース対読売ジャイアンツ戦では、1日限りの冠スポンサーを務めた。
「男のシャンプーCLEARナイト『阪神タイガース』公式戦」と題し、先着2万人に「CLEAR for Men」のシャンプーとコンディショナーのサンプルセットを配布。試合前には、両チームの選手たちにも「CLEAR for Men」を贈呈し、同社の副社長兼営業本部長の高橋康巳氏による始球式も行われた。
また、その翌日の朝刊に新聞広告を掲載し、試合当日の模様を「ニュースアド」として盛り込んだ。当日の試合は、阪神タイガースが感動的なサヨナラ勝ち。そのニュースは大阪本社版のスポーツ面でも大きく扱われた。
新聞だから実現できた日付を限定したタイムリーな広告
9月10日に掲載された記事体広告では、記事の見出しに「クリア」という言葉をダジャレで見出しに用いて、商品名をアピールしている。しかし、あくまでも読みものとして楽しめるように、商品情報は下段に設けた広告スペースに集約した。
記事の内容は、阪神タイガースで活躍した元プロ野球選手の桧山進次郞さんがリーグ制覇するために必要な戦い方を伝授しながら、野球解説者として男性の身だしなみについても語るというもの。
「ターゲットの関西の男性に興味を持ってもらうためには、なにより面白みがあって目立つものが必要だと考えました。下段の広告部分は『トライ』を『虎イ』という当て字にしたダジャレを入れることで、読み手が楽しめるように工夫しました。また、記事の中心は桧山さんに阪神タイガースについての話をしてもらいながら、『強さは美しい』というCLEARの概念にも結びつくような内容にまとめています。」(鈴木氏)。
その狙いどおり、広告が掲載されると「面白い!」とSNSやブログに写真をアップする人もいたという。
また、「ニュースアド」ならではの苦労も。「雨天の場合は試合が中止になる可能性もあり、あらゆる場合を想定したいくつもの差し替え原稿を準備していました。この準備が大変でしたが、チーム一丸となって楽しんでできた部分もあります」
しかし当日は、無事試合も開催され、サヨナラ勝ちという展開。「ファンの方に新聞広告を見ていただくには万全な状況でした」(鈴木氏)
今回の広告は、日付やエリアを限定できる新聞のメリットを最大に生かした広告の好例といえる。商品のターゲットも明確で、阪神タイガースとのタイアップにも「迷いはなかった」と鈴木氏は振り返る。
「今回のような凝った広告は初めての試みでしたが、雨天によって内容が変わるニュースアドの制作についても、朝日新聞は協力的だったので実現することができました。社内でも評判がよく、今後もエリアを絞り、ターゲットにリーチさせることができる広告を考えていきたいと思っています」
(注)ニ-ルセン・カンパニーが報告したデ-タの一部に基づくシャンプー市場での42カ国(日本を除く) における売り上げ金額をもとにユニリーバが算出。対象期間:2014年6月-2014年8月までのデータの取得可能な直近12カ月 (データ可能な期間は国により異なる) 対象国: 42カ国