生活雑貨専門店の「ロフト」は、今年の7月上旬から8月中旬にかけて実写映画「進撃の巨人」とのタイアップキャンペーンを全98店舗で実施した。7月24日には、キャンペーンの一環として「進撃の巨人」にふさわしい超特大サイズの「メガ新聞」を発行。福岡県の一部と関西(大阪府・京都府・兵庫県)の一部エリアの朝日新聞に折り込んで配布した。
夏のセールとキャンペーンを盛り上げるタイアップ企画
「ロフトでは毎年1月7月に『イエローバザー』というセールを開催しています。7月のイエローバザーが終わると、夏休み期間を盛り上げるキャンペーンも実施しています。今回、進撃の巨人とのタイアップは、イエローバザーと夏のキャンペーンを横断する企画でした」
そう話すのは、ロフトの営業企画部・販売計画の山田純治氏。『進撃の巨人』は、諫山創さんが『別冊少年マガジン』で連載している人気漫画だ。8月1日に実写映画の前編が公開され、そのタイミングに合わせてロフトとのタイアップキャンペーンが企画された。
7月8日から20日までのイエローバザーは「進撃のイエローバザー」と題して展開。「巨人襲来。価格の壁が崩壊する。」というキャッチコピーと、進撃の巨人の手のみでデザインしたポスターを店内に掲出した。
7月21日からは、「進撃の夏ロフト」と銘打ち、進撃の巨人の顔をのぞかせたビジュアルで展開。「巨人がロフトで販売する商品を使ったとしたら・・・」というテーマを基に、漫画の世界観を生かしたPOPやつり下げ看板なども制作した。POPや看板には、面白みのあるコピーを添えているのが特徴だ。
「進撃の夏ロフト」
この流れを受けて、7月24日には朝日新聞朝刊に折り込まれる「メガ新聞」を発行。これが8月16日まで続くキャンペーンを盛り上げる原動力にもなった。
映画公開前にメガ新聞を発行
メガ新聞とは、新聞1ページの約4倍にもなる大きさで、左右790mm×天地1063mmとかなりのインパクト。表面には、巨人が顔を半分だけ出したビジュアルを採用した。「その大きさだけでも十分にインパクトがあるので、表面のデザインはシンプルな方がかえってサイズ感が際立つと考えました。裏面は表面の巨人と同じサイズで、きちんと表裏一体となるように工夫し、商品を手のひらに載せている上半身を入れました」
これまでロフトのキャンペーンのデザインは、かわいらしいものが中心で「今回のようなインパクトの強いビジュアルを使用することは初めての試みだった」と山田氏。巨人は、見る人によっては怖いイメージもあり、独自の世界観を壊さずに中和することは課題の一つだったという。
一方で、あまりに中和しすぎると、ロフトらしい「遊び」がなくなってしまう。「巨人の顔を半分だけ出したメガ新聞の表面のデザインは、その解決策として考えられたものです」
配布エリアは、福岡県の一部と関西(大阪府・京都府・兵庫県)の一部エリア。計22.5万部を朝日新聞朝刊に折り込んだ。また、全国のロフト各店においても、メガ新聞をラックに設置し配布した。
ロフト自体の広告宣伝活動は、店内のポスターなどが中心で「テレビCMや新聞広告などはほとんど活用していない」と山田氏。メガ新聞の存在も、今回の企画を通じて知ったという。
「広げてみると想像以上に大きいので驚きがありますよね。いろいろな企業がやり尽くしたものではなく、まだ目新しいものでしたので、今まであまり使ってこなかった新聞広告に挑戦してみる価値があると、社内の意見も一致しました」
メガ新聞が発行されると、ツイッターやフェイスブックなどSNSで「ロフトが巨人と面白いことをやっている」といったつぶやきが拡散されていた。「進撃の巨人ファンのつぶやきも多かった。それは新聞広告に期待した狙いどおりの反応でした」と山田氏。
ネットユーザーが拡散したくなるレアなコンテンツをいかに生み出すか――。新聞広告とロフト、そして実写映画「進撃の巨人」とのマッチングは、その成功事例とも言えるだろう。