航空機開発と製造に関わる日本のパートナーへの感謝の気持ちを伝える

 人を前面に出した写真に「ともに 歩む。」というキャッチコピー。4人の男性が並ぶ、力強いクリエーティブのボーイングの企業広告が、2月18日付の朝日新聞朝刊に掲載された。このキャンペーンについて、ボーイング ジャパンのコミュニケーションディレクターのロブ・ヘンダーソン氏にその趣旨や狙いを聞いた。

日本企業と築いた信頼関係を 日本独自のクリエーティブで表現

ロブ・ヘンダーソン氏 ロブ・ヘンダーソン氏

 ボーイングは、1953年に日本に拠点を構えた企業だ。1970年代の初めからは日本企業も同社の民間航空機の製造に関わっている。ボーイングにとって、日本はアメリカ本国を除いた世界最大のサプライヤーパートナーで、最新航空機の787ドリームライナーは、三菱重工、川崎重工、富士重工の3社が主翼をはじめとする機体の35%の開発・製造を担当。さらに数十社の日本企業が名を連ねる。

 「ボーイングは日本に腰を据え、日本企業と長年にわたってウィンウィンの関係で学び合いながら信頼関係を築いてきました。世界でベストセラーとなる数々の航空機を製造することができたのは、日本企業のおかげでもあります。そこで、パートナー企業をはじめ日本の皆さんに感謝の気持ちを伝えようと、企業広告を制作することになりました」とヘンダーソン氏は、その狙いについて説明する。

 広告クリエーティブで特にこだわったのは、日本語によるキャッチコピーと、飛行機を背景に人物を前面に出したビジュアルだ。同社のこれまでの企業広告は「Made with Japan」というキャッチコピーと日本的な風景を組み合わせた、抽象的なイメージで展開していた。

 今回は、ボーイング ジャパンが日本で制作したオリジナルのクリエーティブだ。
   「ボーイングが長年使用してきた『Made with Japan』というキャッチコピーをさらに発展させて、より日本人の心に響くように、読みやすく伝わりやすい日本語の表現にこだわりました。そして生まれたのが『ともに 歩む。』というキャッチコピーです。

社員モデルはオーディションで選出 共同に開発したことを体現

2015年2月18日付 朝刊 2015年2月18日付 朝刊

 4名の男性はモデルではなく、ボーイングをはじめ、三菱重工、川崎重工、富士重工で実際に働いている人物だ。あえてモデルを起用しなかった理由を、ヘンダーソン氏は次のように語る。

 「できるだけ本当の社員の方々に出てもらい、リアリティーを実現しました。特に787型機は最先端の技術を搭載し、環境にも乗客の方々にも優しく、さらに航空会社の経営にも貢献できるようにと、努力を重ねて完成しました。そうした苦労を乗り越えられたのは、皆が航空機への愛着を持っているからこそ。そうした航空機への思いは写真に表れると思い、実際に787型機の開発や製造に関わった方々にご登場いただきました」

 人選では、参画企業にキャンペーンの趣旨を伝え、オーディションも開催した。「ともに 歩む。」という姿勢は広告づくりでも体現された。

 今回のキャンペーンのメイン媒体は新聞広告。「当社はB to Bビジネスの企業なので、ステークホルダーをはじめ、決定権のある方やインフルエンサーにも見ていただくため、幅広い方々に届く新聞をメインに選びました」とヘンダーソン氏。新聞広告の他には、品川駅の通路に並んで設置されている電子掲示板にも掲出。さらに、トレインチャンネルをはじめとする首都圏の交通媒体と成田空港や中部国際空港など、空港関連の広告スペースも活用した。中部国際空港は、日本で製造した787型機の翼や胴体を米国の工場に運ぶ際の拠点でもあり、「大事なビジネスパートナーでもある」とヘンダーソン氏。

   

 「いずれも新聞広告をアレンジしたビジュアルで展開しました。ボーイングと関わる企業に勤めている方はもちろん、一般のビジネスパーソンにも私たちの活動を知ってもらえるようにビジネス系の雑誌にも広告を掲載しました」

 2月18日に掲載した新聞広告は「歴史編」という位置づけだ。今後については「人を前面に出したシリーズはこれからも継続していく予定です。今回の広告は社内でも評判が良く、『ポスターにして関連企業に配布したい』という声も多いので、その準備も進めています」。感謝のメッセージはまだしばらく続く。