1989年4月にアパレルメーカーとして創業したアズノゥアズ。創業25周年を迎えた今年、記念すべき年を盛り上ようと様々なメディアでプロモーションを展開している。4月25日には朝日新聞朝刊に全15段広告を掲載し、25周年を迎えられた感謝の気持ちと「洋服を通じて自分らしく生きる女性を応援する」という企業メッセージを発信した。
会社に関わるすべての方々に新聞広告で広く伝える
「私たちは『アズノゥアズに関わるすべての人が幸せになること。それが私たちの幸せです』というビジョンを掲げています。25周年を迎えられたのも、お客様はもちろん、様々なセクションで働くスタッフや取引企業の方々、そしてその家族など、アズノゥアズに関わるすべての方々のおかげです。そこで、25周年を記念した広告では、広くそうした方々に向けて、感謝の気持ちを発信しようと考えました」
同社の執行役員経営企画室室長兼プレス部部長の大平幸一郎氏は、広告の狙いについてそう説明する。ターゲットを限定せず、社会に向けてインパクトのある広告を発信したい。その目的に最もふさわしい媒体として新聞を選んだという。「例えば、娘を通じてアズノゥアズを知っていた母親が新聞広告を目にすることで『新聞広告を出すような真面目なブランド』と信頼性が高まる可能性もありますよね。それくらい幅広い方々に向けて発信するには、新聞広告が最適だと考えました」(大平氏)。
モデルとして起用したのは、シンガー・ソングライターの竹澤汀(たけざわ・みぎわ)さん。夢を追いながら自分らしく生きる姿と「洋服を通じて自分らしく生きる女性を応援する」という企業姿勢を重ね合わせている。メーンビジュアルとなる写真は「横顔が少しだけ写る後ろ姿」という大胆な構図。これは、アパレルメーカーの広告らしく見せる工夫であったという。
「あくまで当社の企業広告なので、竹澤さんのパーソナリティーにフィーチャーせず、私たちのお客様である『自分らしく生きる女性』という空気感を伝えていくことを目指しました」(大平氏)。
紙面の中央には「1枚のCDに恋をした。」という一文から始まる長めのコピー。夢を追う竹澤さんの姿をつづったものだ。「誰にも染まらない、私を着る」という一文で締めくくり、企業メッセージとして成立させている。こうしたクリエーティブについては、「制作会社の方が、竹澤さんにインタビューをして、さらに弊社の代表や各セクションの責任者やベテランのスタッフなどにヒアリングも行い、社風や考え方などを集約した上で提案していただきました」(大平氏)
デザイン性の高い衣装で、ファッションブランドらしさを表現
アパレル企業としてのアズノゥアズらしさを視覚的に表現するために、衣装選びにもこだわった。同社の商品は、例えば裏地の付け方や布の切り替え方、ボタンの形や付け方などディテールにまで配慮しながら、着心地がよく、洗濯や手入れなど扱いやすいのが特徴だ。デザインもトレンドを取り入れながら、品が良く遊び心もあり、リバーシブルのデザインのように1着で二通りに着られるデザインも多い。新聞広告で竹澤さんが着ている服も「コピーを際立たせるために無地であることは必須だったので、前にも後ろにも着られるデザインが個性的なワンピースを選んだ」(大平氏)という。
今回の25周年記念プロモーションでは、新聞広告の他に、雑誌広告とテレビCM、そして電車内のモニターで放映する動画広告も制作した。「働く都会の女性」を顧客に多く持つ同社は交通広告の効果にも期待を寄せている。各メディアの広告とも、一連のシリーズとして、モデルはすべて竹澤さんが務めている。
今後のコミュニケーションについては、次の世代のお客様も視野に入れた販売促進活動を検討しているという。「表層的なブランドイメージに縛られず、新たなチャレンジもしていきたいと思っています。次世代に向けて、今回のようなマスに向けたイメージ戦略と同時にコアなターゲットに向けた宣伝活動をしていく必要があると考えています」