華やかさを全面にイメージを刷新 ファッショナブルなシリーズ広告が話題

 エールフランス航空は、4月のグローバルキャンペーンのスタートに伴い、朝日新聞にシリーズ広告を掲載した。昔の名作映画のポスターをほうふつとさせる、ラグジュアリーブランドのように洗練されたクリエーティブは、多くの読者の心をとらえた。

モード誌のようなフランスらしいビジュアル

谷口亜矢子氏 谷口亜矢子氏

 世界213都市にネットワークを持つエールフランスKLMグループは、4月15、17、22日付の朝日新聞朝刊において、色鮮やかな3回シリーズの全15段広告を掲載した。
  このシリーズ広告は、世界13カ国で展開する大規模なブランディングキャンペーンの一環。同社のシニアエグゼクティブ マーケティングの谷口亜矢子氏は、「2014年半ばからビジネスクラス、15年の初めにはファーストクラスを含めた全座席をリニューアルし、『Best & Beyond(最高のその先へ)』という全社的なプロジェクトを展開しています。これに伴い、ブランドイメージを一新するため、3月31日からグローバルキャンペーンをスタートさせました」とその背景を話す。

 生まれ変わった同社の「お客さま志向、ハイクオリティ、楽しさ」を伝えるため、日本でも4月からキャンペーンを開始。新聞をはじめ、雑誌、デジタル、屋外広告を駆使して、これまでにない大きな広告展開を行った。
  何よりも目をひくのは、華やかなクリエーティブだ。これまではシンプルにロゴを置き、空や緑、白を基調とした、さわやかで透明感のあるビジュアルが多かったが、今回は、歴史、アート、グルメなどフランスの多様な魅力をテーマとした全12種類のクリエーティブが用意された。
「このようなクリエーティブは、私たちにとっても大きなチャレンジでした。ロゴに淡いピンクやライトグリーンを初めて施し、外枠をカラフルに縁取りしてまるでアートのように仕立てました。タグラインを全世界共通で『FRANCE IN THE AIR』としたのも初めてです」と谷口氏はいう。

 「FRANCE IN THE AIR」とは、「機内に一歩足を踏み入れれば、そこはもうフランス」という意味。目的地がフランスではない乗り継ぎ客にも、機内で「空の上のフランス」を満喫して欲しいという思いを込めた。これまではフランス語のタグラインを各国の言葉に訳して配していたが、世界のリーディングエアラインであることを示すため、英語で統一することを決めた。

エールフランス 朝刊 全15段 全3回シリーズ

2014年4月15日付 朝刊 全15段 エールフランス 2014年4月15日付
2014年4月17日付 朝刊 全15段 エールフランス 2014年4月17日付
2014年4月22日付 朝刊 全15段 エールフランス 2014年4月22日付

ブランドを刷新するキャンペーン
「Best & Beyond」を支えた印刷クオリティー

 12種類のクリエーティブのうち、新聞広告に3種類を選び、より多くの人に強いインパクトを残すため、3回に分けて掲載した。4月15日に掲載した広告では、パリのナイトライフをテーマに、扇の支点部分を世界のハブ空港であるパリに見立て、同社のネットワークをアピール。ビジネスクラスの広告では、豪華なドレスを身にまとった女性が、本物のビジネスクラスの座席にゆったりと横たわるビジュアルで、心地よくくつろげる空間であることを伝えた。
  22日の広告では、昔の名作映画のようなクラシックなイメージを大切にしつつも、女性モデルで若々しさを表現し、エッフェル塔をのぞかせてパリ観光のすばらしさをさりげなく訴求した。これらの広告のメーキング動画は同社のフェイスブックページでも公開されている。

谷口亜矢子氏 谷口亜矢子氏

 谷口氏によると、このキャンペーンにおいて欠かせなかったのは新聞の存在だという。
「フランス本社では日本の新聞は効果的な媒体と捉えています。海外において新聞は、読者自身がニューススタンドに買いに行くもの。ところが日本では、雨の日も雪の日も数百万世帯に必ず届けられます。本社からすると、なぜこれほど多くの人に愛着を持って受け入れられているのか想像もつかないようですが」

 望み通りの発色を実現できる印刷技術にも全幅の信頼を寄せる。「色のノリもよく、裏写りや版ずれもありません。グラフィック表現を重視するグローバル企業としては安心してお任せできます」(谷口氏)。

 駅構内のデジタル広告やモード各誌への多面的な出稿など、新聞広告以外にも新たな試みを行ったキャンペーン。中でも注目を集めたのは、東京都内で行った屋外広告を使った「街中ジャック」だ。4月7日から一週間、表参道ヒルズの壁面や表参道の沿道フラッグなど街全体を4種類の広告で埋め尽くし、さらに表参道や六本木の駅のデジタルサイネージを24時間ジャック。ここを訪れた人に、フランスにいるかのような非日常感を演出し、華やかさやラグジュアリー感を存分に伝えた。

屋外広告での展開  表参道ヒルズの通り側ではためくフラッグ(左)とビル壁面のビルボード

 新聞広告掲載後に実施したモニター調査によると、若年層だけでなく幅広い年齢層から、フランスらしさや明るさ、楽しさが伝わったという感想が相次ぎ、狙い通りの成果を得ることができた。谷口氏は「私たちには機体や機内サービスの提供だけでなく、フランスの文化や魅力を伝える使命もあります。それがエールフランス航空の利用へとつながればうれしいですね」と、今後の取り組みにも意気込みを見せた。