かつてはプリンやゼリーなどと同列の「デザート」として位置付けられていたヨーグルト。1973年、ある商品の誕生でその常識が覆った。「明治ブルガリアヨーグルト」だ。日本初のプレーンヨーグルトとして発売され、「毎日の健康習慣としてヨーグルトを食べる」という食シーンを確立。以来、現在に至るまでトップブランドとして、ライフスタイルやニーズの変化に合わせた、様々なヨーグルト商品を開発、提供してきた。
「料理に使う」という新しいヨーグルト体験を広大なスペースで伝える
そして、発売40年目の今年、まったく新しいタイプのヨーグルトが登場した。「ブルガリアヨーグルト レシピひろがるプレーン」は、クリームチーズのようなしっかりとした食感で、料理にも使いやすいのが特徴。実はヨーグルトには、漬け込むことで肉を柔らかくし、魚の臭みを消す作用もある。調味料として使えば味わいにコクが加わり、さらに栄養価も健康効果もアップするなど、とても便利で優秀な食材なのだ。
「従来のように『朝食やデザートの一品として食べる』のではなく、『料理に使う』という新たなヨーグルトのスタイルを提案しようと開発した商品です。魅力を最大限に伝え、新しいヨーグルト体験への興味と期待をいかに醸成していくか――。そこを核に、プロモーション全体のプランニングを進めました」
そう話すのは、同社マーケティング推進本部宣伝部制作グループの堀越槙吾氏。この狙いを達成すべく同社が注目したのが、朝日新聞のエリア広告「パノラマワイド」だった。新聞8ページ分のカラー紙面を使うことができ、 配布エリアも選定できる。4月6日に関東エリア100万世帯に配布した。
第1面には商品名を大きく掲載して読者の目を引き、紙面を開くと利用シーンとともに「レシピひろがるプレーン」が料理をおいしくするワケを解説、ヨーグルトなのに包丁でカットしているという今までにないビジュアルも興味を喚起する。圧巻は、4ページ分のワイドな見開き面。「レシピひろがるプレーン」を使ったヨーグルト料理のレシピが、ところ狭しとふんだんに紹介されている。
「デザートはもちろん、前菜やメーン料理まで幅広く万能に使えるという、この商品の実力をビジュアルで伝えたいと考えたとき、パノラマの大きな紙面はうってつけでした」(堀越氏)
独立した折り込み媒体なので、レシピとして保存しておけるのも魅力。発色の良い紙を選んでいるので、料理の写真もおいしそうに映えている。何より8面ものスペースで見せるダイナミズムはインパクト大。同社にとっては初の試みだったが、「商品名、利用シーンや特徴、そして具体的なレシピが、紙面をめくるごとにストーリーをもって展開していて、非常に分かりやすい」と、社内はもちろん流通業者の間でも高い評価を得た。配布後に広告を増し刷りして、営業担当者の販促ツールとしても大いに活用しているという。
マスでの情報発信と体験機会の提供で浸透を図る
新しい価値でさらなるブランド向上に
朝日新聞の広告に加え、テレビのインフォマーシャルを展開。さらに、売り場でのデモンストレーション、料理教室とのタイアップ、レシピサイト「クックパッド」でのレシピコンテスト、レシピ本 『明治ブルガリアヨーグルトおいしいレシピ60』(角川書店)の監修など、具体的にどう料理に使うかを、ターゲットである料理好きや健康志向の主婦を意識した様々な顧客接点で展開した。「マスメディアで興味、関心を喚起しながら、具体的にどう使えるのかを発信し、実際に体験していただく。情報発信とトライアルの機会提供を両輪で進めることが、今回のような新しいタイプの商品に関しては重要だと考えました」(堀越氏)
ヨーグルトの市場規模は、現在約3,400億円。少子高齢化の影響で食料品のパイが縮小する中でヨーグルト市場は伸びているという。その上で「朝食やデザートで、というシーンだけでなく、料理として食べるシーンや習慣を創造することで、ヨーグルト市場全体を広げていきたい」と語る。そして、新しい価値を提供することは、「明治ブルガリアヨーグルト」のブランド向上にもつながる。
「正統、定番としての安心感、そして40年続いている伝統を守りながらも、次代に合った取り組みを進めることで、常に進化するブランドでありたい」と堀越氏。「今回の広告のような斬新なコミュニケーション手法に挑戦することも、ブランドの活力を訴求するには意味のある取り組みと考えます」
同商品は現在、関東甲信越地区の限定発売だが、今後、拡大していく予定だ。今後のコミュニケーションの展望について聞いた。「『レシピひろがるプレーン』については、料理に使うという新しいスタイル、価値観を、しっかりと理解した上でファンになっていただくためにも、地道に継続して情報を発信していきたいと考えています」