2012年をいい年に 一文字に託した消費者の願いに手応え

 新しい年を前に、例年12月の最終週ごろは歯ブラシの買い替え需要が通常の2倍近くに高まる。毎年この時期にキャンペーンを行ってきたサンスターでは、2011年末に「いい年にしよう!みんなの初夢・初福一文字募集」と銘打った企画を実施。テレビ面の広告(表札)で応募を募り、大きく広がった反響を、翌1月に全5段広告で報告した。

みんなでメッセージを出し合う、心温まる企画にしたい

金沢貞弘氏 金沢貞弘氏

 サンスター マーケティングサービス部 メディア室の金沢貞弘氏は「東日本大震災があった年が終わり、新たに2012年を迎える時期にふさわしい企画は何か? これまでは神社で祈祷(きとう)済みの歯ブラシを『祝い歯ブラシ』として売り出す企画を続けていましたが、今年は『みんながメッセージを出し合いながら心温まるようなものにしたい』という思いが当初からありました」と振り返る。

 2009年に「Doクリア」のCMに出演し、2011年テレビドラマで大ブレークしたタレントの鈴木福くんにキャンペーンのキャラクターを要請。彼の名前の「福」という一文字がお正月の書き初めを想起させることや、夢ちゃんという実妹がいることから、実現すれば、話題性の高い兄妹の共演となることが分かり、企画実施に向けて勢いづいた。

 「福と夢、どちらもめでたいインパクトのある名前です。2011年を振り返る漢字でなく、『2012年、こうしていこうよ』という前向きな思いを込めた企画なら、世代を超えてより多くのお客様に共感していただけるのではと考えました」

2011年12月7日付 朝刊 2011年12月7日付 朝刊

 キャンペーン期間は2011年11月10日から2012年1月10日までの2カ月間。店頭の専用応募はがきや郵便はがき、キャンペーンサイトを通じて受け付けた結果、幅広い世代から4,356件の応募を集めた。「たくさんの応募をいただくには、家電などの華やかな景品や金券が定石ですが、今回は人と人の絆というものを実感し、それを思い出に残せるものをと考え、スタジオでの家族写真撮影の機会を進呈することにしました。詳しい応募方法などの情報は、15秒のテレビCMでは伝わりません。手元に置いて、より多くの情報をしっかり確かめていただくためには、新聞広告が最適でした。幅広い世代の読者を持つ朝日新聞の信頼性や安心感も選択の基準となりました」

 全応募の1割以上の431票を集めたのは「笑」。以下、「幸」183、「愛」158、「希」128、「夢」115と続いた。金沢氏は「『笑』が上位に来るだろうとは予測していましたが、ここまで断トツとは予想外でした。笑うことの大切さ、笑える環境の大切さを、皆さん身にしみておられたのですね。お寄せいただいたコメントを読むうちに、これはできるだけ多くの人と共有すべきものだと思い、当初は予定していなかったキャンペーン結果報告の全5段広告を出稿することになりました。今回、お客様の感情に触れた手応えを感じていますので、今年の年末も違う形で今回のエッセンスを生かした展開を考えたい」と話す。

新聞広告を活用しオーラルケアを啓発

 今回のキャンペーンを貫くキーワードの一つは「家族」だろう。誕生後に歯が生え始めてから人生の終焉(しゅうえん)まで、「お口とカラダと日本の元気」を願うサンスターにとって、それぞれのライフステージを生きる家族の健康を考えることは、とても大切なテーマだ。
だからこそ、3・11後は被災地に、日本歯科医師会を通じて口腔(こうくう)衛生用品を支援物資として送った。また、今年20回目を迎えたサンスターファミリーミュージカルでは、昨年10月に仙台で特別講演を開催し、わずかでも被災地の親子の笑顔を引き出そうとする活動も地道に行ってきた。
「あまり知られていないことですが、阪神・淡路大震災の時、口腔衛生が悪化して誤嚥性(ごえんせい)肺炎を引き起こし、それが原因で亡くなられた方がいらっしゃったのです。災害発生時は、まず食糧や水ですが、その次にはオーラルケアも必要なのです」

 今後の広告展開では、電波媒体での商品PRと絡めながら、記事体で読ませる新聞広告を中心に、消費者への啓発活動を目指すという。「今回のキャンペーンを通じ、言葉のチカラを改めて実感しました。また、多くの情報をまとめて伝えられる点でも、新聞に魅力を感じています。歯を失う一番の原因が歯周病であり、歯周病は全身疾患にも関連しています。しかし、きちんとケアすれば80歳で自分の歯を20本残すことができる。こうすれば健康になれるという情報を、じっくり読める新聞広告で広め、さらにそれを店頭の販促ツールとしても二次利用するなど、多角的な活用も考えていきたいと思います」

2012年1月18日付 朝刊 全5段 サンスター

2012年1月18日付 朝刊 全5段