自然派のスキンケアやボディーケア商品が人気の南仏・プロバンス生まれのブランド「ロクシタン」から、2010年10月、男性向けの「ヴェルドン」シリーズが発売された。ラインアップは、洗顔料、シェービング、化粧水またはアフター シェーブローション、乳液、そして香水の全5種。同社にとって、男性に特化したラインは初となる。
初の男性向けラインで ブランド認知拡大を目指す
発売の経緯、ねらいについて、ロクシタンジャポン マーケティング部マーケティングマネージャーの平賀敦巳氏は次のように話す。
「『ロクシタン』は日本に上陸してから約20年。現在では国内で78店舗を展開するなど、成長を続けているブランドです。しかし、女性からのブランド・商品の認知が非常に高いのに対し、男性からはあまり知られていないのが実情です。今後、さらなる成長を見据えると、男性層を取り込むことが大きな課題でした。2010年6月、フランス本国で『ヴェルドン』が発売されたのを機に、日本でも男性への認知拡大と男性層の取り込みを進めたい、と考えました」
名前の由来は、「フランスのグランドキャニオン」とも呼ばれるヴェルドン渓谷から。美しい山々の間を流れるトルコブルーの豊かな水流をイメージさせる、さわやかな香りとシンプルなパッケージが特徴だ。
同社のコミュニケーション展開は、実店舗とDMが中核だという。 「店舗のディスプレーを3~4週間に1度は変え、そのときどきに力を入れている商品に注目していただくようにしています。さらに、すでに当社製品を利用してくださっている顧客に対しては、DMで新商品や注目商品を訴求しています」
しかし、ヴェルドンについては、男性向け初の商品ということもあり、さらに幅広い層に訴求したいという狙いがあった。そこで、店舗やDMに加えて使ったのが、新聞広告だった。
発売日の10月28日を皮切りに、朝日新聞朝刊に5回にわたり広告を展開。俳優の佐藤隆太さん、Jリーガーの遠藤保仁さん、写真家の藤代冥砂さん、俳優の別所哲也さん、プロライフセーバーの飯沼誠司さんと、各界で活躍する5人の男性が登場し、仕事や家族について、自らの人生観とともに、ヴェルドンの使用感についても語っている。
「ヴェルドン的」な大人の男性を通し イメージやコンセプトを伝えたい
「これまでも、ストーリー性を打ち出すことを大切にしてきました。今回も、ブランドイメージや商品に込めた思いなどを、わかりやすく伝えたいと、『ヴェルドン的』なライフスタイルを体現されている5人の男性に語っていただいたのです」と平賀氏。さらにこう続ける。「皆さんに実際に商品を使っていただいたところ、ご本人が気に入ってくれたのはもちろん、奥様方にもとても好評だったとか。女性、特に一緒に生活する家族に支持されると、男性もうれしいでしょうし、リピートにもつながります。手ごたえを感じましたね」
さらに、週刊誌『AERA』でも新聞に登場した5人のうち4人が登場するタイアップ広告を展開。女性の読者が比較的多い同誌への掲載にあたっては、「女性目線」も意識したという。 「スキンケアや香りに興味があっても、何を選べばいいのか、どこで買ったらいいのかがわからないという男性は少なくありません。妻や彼女から教えてもらったり、買ってきてもらったりして使い始めるケースが多いようなので、男性に訴求するのと同じぐらい、女性に知っていただくことも重視しました」
『AERA』でもタイアップ広告を4回シリーズで展開
発売から2カ月余り、販売は非常に好調に推移しているという。「ターゲットである30代、40代はもちろん、50代、60代と、幅広い男性に使っていただけているようです」と平賀氏。香りはもちろん、男性の皮膚を考えた高い機能性も「売り」で、平賀氏は「一度使っていただければ、その使用感や効果から固定ファンになる男性も少なくないはず」と自信を見せる。12月のクリスマスに続き、2月にはバレンタインデーもあり、女性のギフトニーズにも期待が高まるところだ。
今後について聞いた。
「発売後のクリスマスで、女性から男性へのギフトニーズがあることが確認できたので、今後も季節のイベントなどに合わせ、コミュニケーション展開していく考えです」と平賀氏。自然派のロクシタンの商品は大人だけでなく、子どもにも安心して使えるため、同社では「生活シーンに合わせたラインアップをさらに充実させ、ファミリーで使ってもらえるブランドを目指していきたい」と、言葉を結んだ。