圧倒的な広告紙面で、液晶テレビ「CELLレグザ」の登場を伝える

 ものすごいテレビが誕生した。東芝の液晶テレビの最上位機種「CELL(セル)レグザ」だ。テレビの心臓部である処理エンジン(半導体)に、東芝、ソニー、IBMで共同開発した高機能半導体「Cell Broadband Engine」を搭載したことで、画像の処理能力を高め、従来の商品を超える美しい画像を映し出す。さらに、3テラバイトという業界最大容量のハードディスクを内蔵、地上デジタル放送8チャンネル分を同時に録画(一時保管)し、26時間前までさかのぼって番組を見ることができる。画質にも音質にも機能にも徹底的にこだわり、東芝が今考えられる技術を結集して完成させた次世代テレビだ。

「本物の黒」にこだわり黒を基調にしたカラー広告を出稿

東芝広告部国内広告担当主務 熊倉賢太郎氏 熊倉賢太郎氏

 東芝は12月22日と23日の朝日新聞朝刊に、このCELLレグザの30段見開き広告を展開した。22日はクレーターが広がる月面を、23日はクジラの横顔の写真をビジュアルに起用。一見モノクロのようだが、実はカラー広告だ。

 「『本物の黒』が表現できるのがCELLレグザの売りのひとつ。美しく、奥行きのある黒にこだわったクリエーティブにしました」と話すのは、東芝広告部国内広告担当主務の熊倉賢太郎氏。「真っ暗な宇宙に浮かぶ明るい月を表現した広告では画質と音質の高さを、翌日の広告では、録画機能などを鯨の高い知能にかけて表現しました」

 12月10日の発売に合わせた出稿も検討したというが、あえて商品が店頭でお披露目された後を選んだ。

 「発売前から広く情報を発信し、バラエティー番組やウェブ、専門誌などに取り上げてもらうことで、興味を持ってくれた消費者には情報が届くようにしてきました。マス広告は、今回の新聞のみです。いわば『最後のひと押し』。より多くの人たちに、東芝から圧倒的な技術力を持つテレビが出たんだと知ってもらいたかった。そのうえで店頭に足を運べば、実際の商品を見ることができるタイミングにしました」と熊倉氏は話す。

 CELLレグザは実勢価格が約100万円。だれしもが簡単に購入を検討できる価格ではないが、「CELLレグザは、当社のテレビの最高峰であり、レグザブランドの価値を高めていく商品。さしあたって購入を検討していない人や、現状では興味のない人も含め、次世代テレビがついに誕生したんだ、ということを幅広い層に伝えたかった」と熊倉氏。その登場感、存在感を演出することを重視し、あえてスペックは簡略な記述にとどめ、興味を持った読者はサイトに誘導するようにした。

 既存の薄型液晶テレビ「レグザ」の広告展開には、2008年から福山雅治さんを起用しているが、CELLレグザについてはイメージキャラクターなどを立てていない。

 「福山さんが登場するコミュニケーションは好評で、実績も上げてきましたが、CELLレグザは機能も価格も既存のレグザとはまったく異なります。同じレグザブランドではあるけれど、まったく新しい存在なんだということを伝えるため、あえてキャラクターは使わないことにしたのです」(熊倉氏)

色々な見せ方、切り口で話題を絶やさないコミュニケーションを目指す

 年末から年始にかけ、「家電芸人」(特定の家電製品について詳しく熱く語る芸人たち)がバラエティー番組で絶賛したり、ウェブや雑誌で特集が組まれたりと大きな話題になったこともあり、発売当初は注文が殺到し、予約できないケースも少なくなかったという。「当初、月の売り上げ目標を1,000台としていましたが、その目標どおりに推移しており、順調な滑り出しと見ています」(熊倉氏)

 地デジ全面移行を来年に控え、さらにエコポイント制度の延長も決定した。また、3DテレビやLEDテレビなど、新しい技術を使ったテレビも、近々各メーカーから発売される。テレビを取り巻く話題はまだまだにぎやかだ。

 「発売直後ということもあって今は大きな話題として取り上げてもらえています。でも、それが長く続くとは考えていません。CELLレグザの高い技術を語る切り口はまだまだたくさんあるので、見せ方を工夫しながらコンスタントに情報を発信していく考えです」と熊倉氏。

 CELLレグザで開発した最先端技術、いわば「CELLレグザのDNA」は今後、通常のレグザシリーズにも投入されていくという。「通常のレグザのコミュニケーションともうまく連動させ、話題を絶やすことなく提供していきたい」と、熊倉氏は意気込みを語った。

2009年12月22日付 朝刊 全30段 東芝「CELLレグザ」

2009年12月22日付 朝刊 全30段

2009年12月23日付 朝刊 全30段 東芝「CELLレグザ」

2009年12月23日付 朝刊 全30段