7月13日、Googleが新しいサービス「未来のためのQ&A」をリリースした。8月30日に行われた衆議院議員選挙に向けて、Google利用者と政治家のコミュニケーションを促進しようと企画したサービスだ。同サービスでは、ユーザーから政治家への質問を募り、集まった4,700件の質問の中から、26万の投票で選ばれた5つの質問に、政治家がYouTube上で回答した。
5つの質問に選ばれたのは、「子育て・教育」「年金・福祉」などのテーマ。公示日が迫るにつれ、投票所検索やGoogle マップ上から選挙区を選び、関連情報を整理して届けるなど、Googleの持つサービスを結集し、「Google 未来を選ぼう 衆院選2009」という選挙総合サイトへと進化させていった。
インターネットを通して、社会に貢献する
Googleが、日本向けにこうしたサービスを展開した理由を、Google シニアマーケティングマネージャー馬場氏に聞いた。
「Googleは、インターネットのサービスを提供する会社であり、インターネットを通じて世の中を良くしたいと考えています。社会のために何か貢献できることはないかを話し合い、今年の一大イベントである衆議院議員選挙に向けてできることを考えるところから、プロジェクトが始まりました」
アメリカ大統領選挙でオバマ氏が当選を果たしたことから、選挙でインターネットを利用することに注目が集まってはいるものの、まだ有効に活用されているとは言い難い。Googleが率先して、選挙向けにサービスを提供することで、今後、政治家がメッセージを発し、国民が政治を身近に感じてくれるようになってくれればという。
「国民が選挙で投票する際、なかなか整理された情報を得ることが難しいというのが実情です。今回立ち上げた『未来を選ぼう 2009』というサイトでは、各選挙区の立候補予定者への5つの質問に対する回答動画とともに検索技術を活用することで、情報を整理してすばやく届けることができました。ユーザーがこのサイトを見て、立候補予定者の人物像を理解し、投票できるような手伝いができたのではと感じています。また、文字情報だけでなく、動画によって立候補予定者の顔が見えることで、その人物についてより深く理解できるようになったと思います」
立候補予定者の回答動画をはじめとして、政党動画など、YouTube上のコンテンツは刻々と増えていったという。
将棋の羽生善治氏やコピーライターの糸井重里氏などの著名人が有志で質問に参加し、一般のユーザーからも大量の質問が集まり、政治への関心の高さをうかがうことができた。
公平に情報を届けるために社会性の強い新聞を活用
今回、「未来を選ぼう 2009」をプロモーションするために、新聞広告を用いたことについて、馬場氏はこう話す。
「基本的にGoogleのサービスは、自社のコンテンツやYouTube上でプロモーションを行います。今回は、『政治』がテーマでした。普段インターネットを利用しない人やGoogleを使っていない人などに届かないということがあれば、公平性に欠けてしまいます。そのため、現職の政治家をはじめ、選挙に立候補することを考えている人や有権者に広く告知する必要がありました。同時に、今回のサービスは社会性が強いものであるため、新聞広告を選択しました」
掲載後、読者からサービスについて多くの問い合わせがあっただけでなく、新聞広告を使ってサービスの説明をすることで、このサービスにかける本気度を伝えることにも役立ったという。
「Googleでは基本的に、シンプルでわかりやすいものが良いと考えており、新聞広告にもその考えを踏襲しています。また、今回の仕組みは、使用法として少し難しい所もあります。広告では、それをわかりやすく説明することに重点を置きました」
最後に今後の展望について、馬場氏に聞いた。「このプロジェクトは、初めての取り組みです。次回の選挙でも同様のサービスを提供するかもしれませんが、ただ同じことをするのではなく、よりわかりやすく、使いやすく、利用者にとっても、政治家にとっても利用しやすいものにできればと思います」